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トラッシュ!-この街が輝く日まで-

  トラッシュ!-この街が輝く日まで-

 

 “若者の洋画離れが深刻だ”とどこかのサイトに記事が載っていた。でも、若者の大勢という括り自体が、もはや時代に即していないんじゃないか?という昨今。昨年末に観た2本も若い観客の数もまばらだったが、人口に占める割合が少ないんだから、ある意味当然かも?マスメディアは衰退期に入り、ネットの情報にはご用心のご時世、映画を情報収集に役立てるのはそれほど的外れじゃないよ。

 

 旧態依然とした宣伝戦略は巧を奏しなくなった。なにせ映画祭にノミネートされることがここ2、3年で意味なくなっちゃたんだから(インディペンデント・スピリット賞まで)。でもインターネットで瞬く間に評判が駆け巡るようになってからの流れは未知数。個人的な認識を述べるなら2009年頃には決定的で「扉をたたく人」で触れてるし、「小悪魔はなぜモテる」なんかでも書いてるもんな。

 

 現段階ではインターネットを重宝している一人、この作品も過剰な宣伝からではなくallcinemaを漁っていてたどり着いた。監督は「ものすごくうるさくて、ありえないほど近い」のスティーヴン・ダルドリーで、脚本が「アバウト・タイム 〜愛おしい時間について〜」のリチャード・カーティス。もちろん決定打はルーニー・マーラで、女優に関して浮気症だけに、メラニー・ロランから目移りしそう。

 

 「her/世界でひとつの彼女」では出番が物足りなかった彼女、今回も少ないんだけど新たな魅力を発揮で、ますますお気に入りになった。作品選択眼がしっかりしている俳優は、宣伝より有効なことはジョニー・デップが証明してきたものね。それにしても化粧っ気のない彼女は美しく、少年たちと一緒に映ると大人ですよ。ちょっと「メタルヘッド」の時のナタリー・ポートマンみたいなんだよね。

 

 「奇跡」と似ていて彼女は脇に徹して、たくましいガキどもの冒険を引き立てている。ワールドカップが開催されている昨年に公開するのは無理かもしれないけど、上っ面ばかりに焦点を当てていては、ブラジルという国を知ったことにはならない。もちろん「シティ・オブ・ゴッド」のフェルナンド・メイレレスだって一枚噛んでいるんだから、実態に即している。

 

 ゴミ処理ドキュメンタリー「トラブゾン狂騒曲」で描かれた方が、よほどマシに思えるゴミ溜めで暮らすガキの2人、ラファエルとガルドが主人公。たまたま拾った財布にはとんでもない秘密が隠されていて、命懸けの冒険が始まる。ネズミがウヨウヨいる下水で暮らすラットが加わって、物語はTV映りが悪い場所で展開。今の日本には存在しなくなったけど、雨をしのげる場所には子供がいっぱい。

 

 ロッカーの鍵がきっかけで始まるホームレスの「東京ゴッドファーザーズ」なんて平和なものだ。コレは「明日の空の向こうに」「スラムドッグ$ミリオネア」「ヒューゴの不思議な発明」の合体技みたいだけど、彼らを追うのが賄賂もらってナンボの警察だけに、バイオレンス映画の様相まで呈してくる。“誘拐されたら殺されたも同然”はメキシコと変わらない。

 

 「ボーダータウン/報道されない殺人者」にも出ていたマーティン・シーンは、とうとう足元もおぼつかないジイさん神父。でも神様を信じるって部分がなかったら、ただの現状批判映画に終始してしまう。教会もボランティアも機能していて、ガキどもはアホじゃなく、ちゃんとネットを使って隠された秘密に迫る知恵を持っている。その生命力は得難く、ぜひ「それでも生きる子供たちへ」も参考までに。

 

 命懸けのサバイバルの果てに万事解決ではなく、希望の光が射し、未来が拓けていく印象を残すのは、ブラジルならではだと思い知らされた。これからドンドン今まで出来たことが無理になる日本とは雲泥の差。不自由な環境には何より生命力が宿り、なに不自由ない環境には・・・。その意味ではちょっと我が国の子供たちが気の毒になる。

 

 観賞前に食堂に入り昼食をとっていて周囲を見渡せば、47才の自分より年上の人ばかりだ。至るところにある“便利の押し売り”みたいな機械に囲まれて“何一つしなくてもいいんだよ”と囁かれている国になったのは、いつの頃からか。最初から在ったのと、誕生の瞬間に立ち会うのとでは、“なくなって残念”という気持ちも湧いてこないだろうに。今はもう無用の長物、CDとかVHSとか宝に思えたもんだけどねぇ。

 

 リニアモーターカーが象徴する50年前の夢を実現するために、せっせと子供たちの未来を食い潰しているエライ人達。それを傍観しているより多くの大人たち。TVは“可哀想な発展途上国の子供”たちとして、我が国の消費者たちを洗脳してきたけれど、ハッキリしちゃったね。機械化の果てには緩慢な最期が待っている。もはや「銀河鉄道999」で星野哲郎が憧れ、ついには破壊したいと宣言する場所こそ・・・。

 

 時間は巻き戻せないし、失ってしまった生命力も取り戻すことは不可能だ。やれやれホントだったら、あのラストを観て元気になって帰ってくるはずだったのに。「THE NEXT GENERATION/パトレイバー第7章」を引きずっているもんだから、ブラジルに嫉妬してしまいましたよ。“守るべきもの”なんて余計なことは考えずに、ひたすら生き続けられるのはホントの幸福なのですね。

 

現在(1/13/2015)公開中
オススメ★★★★☆

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  シティ・オブ・ゴッド

 

 公開された時にかなり話題になっていたし、周囲の人からも凄いよと言われていた。監督のフェルナンド・メイレレスの実力は「ナイロビの蜂」「ブラインドネス」「360」と観てきて知ったつもりになっていたけど、肝心の本作をとうとう見ずに10年以上が経過した。なんで今回重い腰を上げたかといえば、「トラッシュ!-この街が輝く日まで-」の関連作で思い当たったからで、メイレレスが製作総指揮として参加していることにニヤニヤしてしまう。

 

 昨年ワールドカップが開催されたかの国ですけれど、TVに映らない歴史を60年代からおさらいする事もできる優れもの。またジャーナリスト映画でもあるし、スラムのギャングを冷静に描いた作品とも言える。出現した当時は衝撃的だったでしょう、でもその後「スラムドッグ$ミリオネア」もあったし、「闇の子供たち」なども観て世界の貧困なんてそう簡単になくなるどころか、拡大している真っ最中だなという認識がある。

 

 慣れっこになったんじゃなく、ますますTVの見せる幻想が忌々しくなった。偏屈で頑なな人間にどんどんなりそうですけれど、鉄砲と麻薬はそう簡単になくならない。むしろこの現実を見ると、我が国がまだソコ=極限の格差、警官の腐敗まで堕ちていないことを、もっとありがたく感じなければなぁなどと逃げ腰になる。どこから手を着けるかではなく、子供が鉄砲持って走り回っているんだからね。

 

 2002年に公開されたのがアレハンドロ・ゴンザレス・イニャリトゥの「アモーレス・ペロス」で、本作は翌年。その後「ボーダータウン/報道されない殺人者」とか「瞳の奥の秘密」スティーヴン・ソダーバーグチェ2部作などを通じて、かすかに認識出来るようになった中南米。合衆国のテロ行為が横行しているこの地域で、果たして「トラッシュ!-この街が輝く日まで-」はどんな奇跡を見せてくれるのか?ぜひご一緒にお試しあれ。
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