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ナイトクローラー

  ナイトクローラー

 

 今年初監督作品を観たのはライアン・ゴズリング「ロスト・リバー」で、コチラもダン・ギルロイの処女作。もっともこの人の脚本家としての経歴は長く、私めのお気に入り作品が多い(有名どころは「ボーン・レガシー」)。で、してきた仕事は違えど、冒頭からけっこう近い印象。ライアンの方でも銅線を売っていたけど、コチラのジェイク・ギレンホール扮するルイス・ブルームも盗品を売り付けようとしている。

 

 ジェイクの主演作「複製された男」が去年で、またまた新宿はシネマカリテにやって来ての観賞。それにしてもかつてないくらいの変貌には驚かされた。「プリズナーズ」「エンド・オブ・ウォッチ」などは警察官で、血が通ってる人間に見える。対して本作の彼は同じ人間とはとても思えない、ずーっと瞬きしないし、ほとんど表情も変えない。印象は「ダーティハリー」のサソリか、「セブン」のジョン・ドウ。

 

 見たことないですよ、犯罪者が主役の場合どこか観客が感情移入できる部分があるのに(「羊たちの沈黙」のレクター博士とかさ)、嫌悪以外抱かせない男なんて。見せつけられるのはエスカレートする犯罪のキャリア。事件現場にいち早く駆けつけて、“ショッキングなシーンをビデオ撮影すれば金になる”ことを学んだ男は、その天職に邁進する。ホームレスの若者を下っ端に、事業を拡大。

 

 警察無線、インターネットの情報などを駆使して現場に駆けつけるまではなんとかカタギのラインに留まっていたけれど、現場を演出することを覚えた辺りから悪魔の仕業に・・・。熾烈な視聴率争いのケーブルTV、昨今はインターネットもライバルだけに、より早く、より過激にが進行しているニュース。ハッキリ言って、今のTVニュースはあまりに酷いので、ホントに目を背けている。

 

 ただし劇中ルイスが暴露しているように、人々が見ているのは過激なネタばかり。TVばかりを見てきた男は、その種の需要があるのを知り抜いているから、罪の意識やら道徳なんて何ら持ち合わせていない。「ハンティング・パーティ」でジリ貧のジャーナリストがアチコチに売り込んでいるのとは別次元。ジェイクの芝居がとにかく凄くて肝を冷やします、ホラーかと思うくらいだ。

 

 で、「ナイトホークス」は夜鷹ですけれど、本作のタイトルはちょっと聞きなれない。調べてみて得心ですWikipediaによると、“クローラ(Crawler)とは、ウェブ上の文書や画像などを周期的に取得し、自動的にデータベース化するプログラムである。”とされていて、まさに主人公のやっていることそのもの。また本来は爬虫類という意味で、ジェイクがまぶたを閉じないわけだよね。

 

 では、素材を見せて、げんなりさせるだけかといえば「トゥー・フォー・ザ・マネー」の離れ業に近いモノをやってのけた。ラストのカーチェイスがそれで、欲に駆られて突っ走る男の姿を見せて、観客をエキサイトさせるとは。マイケル・サンデル先生のそれをお金で買いますか 市場主義の限界のもっと先にある、世も末の合衆国。良くなるどころか、より悪くなる過渡期のお話なのかもね。

 

現在(8/25/2015)公開中
オススメ★★★★☆

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  トゥー・フォー・ザ・マネー

 

 ギャンブルの本質を突いているなかなかに見応えある1本。「ナイトクローラー」のデータからダン・ギルロイ、レネ・ルッソがヒット、遡ってこちらに至る。政治、テクノロジーが激動の今、映画の探し方だって前世紀とは違ってきます。“博打に婬する”とは内田樹氏のブログにあった表現で、まさしくその通りと頷いてしまいます。パチンコなんかあっという間に有り金吸い取られちゃうもんね。

 

 合衆国でもいちおう禁止されているスポーツ賭博。予想屋がいるのも納得で、情報提供で稼ぐ人たちに焦点を当てるのは新しい。このポイントは脚本のダンのものでしょう、また遡るとこの人が関わった作品をけっこう見ていた。「落下の王国」「リアル・スティール」などなど。また製作総指揮と出演を兼ねている奥さんのレネも気合い入っている(「マイティ・ソー/ダーク・ワールド」だと出番少ないんだよね)。

 

 彼女に関しては「メジャーリーグ」「ゲット・ショーティ」辺りがオススメで、ダンとは「フリー・ジャック」が縁だったのか?もう一度見たい。主演のマシュー・マコノヒーは青春スターを脱皮しつつある感じで、元選手というキャラクターだけに「マネーボール」ブラッド・ピットと見比べてはいかがでしょう。アレの前に肉体美もご披露で、紆余曲折を経て本道に戻るという役はやはり「評決のとき」主演。

 

 アル・パチーノはギャンブルが題材だけに、「ランナーランナー」ベン・アフレック「ウォール・ストリート」のマイケル・ダグラスの役回りと思いきや、ちょっと違う。この人の若手の共演作は「リクルート」などもありますけれど、同じようなのでは納得しない。そうそう、ダンの兄トニーが脚本担当の「ディアボロス/悪魔の扉」もやったんだっけ。

 

 博打の情報屋がTV番組持ってるとは恐れ入る。コレは洗脳装置だと言わんばかりに出演の面々は実に悪そう。監督のD・J・カルーソーはコチラがあるので、「イーグル・アイ」などはお手の物だったわけだ。悪魔の所業=博打と、スポ根映画を合体させるとはさすが。ちょっと「フォーカス」にも通じる大人の社会科見学の要素もありで、ちゃんと収めてしまう離れ業はぜひご覧になってご確認を。
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