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天皇と軍隊

天皇と軍隊  天皇と軍隊

 

 「終戦のエンペラー」が2013年、昨年は第二次世界大戦に関係した作品をこの時期に観ていたかな?と振り返ると、泊まりがけで行った「VHSテープを巻き戻せ!」。世間様に日本のことを考えている人がどれだけいるのやら、などと偉そうなことは言えない。今年の3月に「イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密」があり、付随して「エニグマ」「カティンの森」を見て前大戦のことが頭の片隅にあった。

 

 自分に愛国心があるかどうか分からないが、祝祭日には玄関先に国旗を掲げ、式典などで国歌を斉唱するのは当然、という感覚が身体に染み込んでいる。正月でも近所であまり国旗を見かけないのは不思議に映るし、頑なに君が代を歌わない人々には、国際感覚が欠如しているとも思う。だらかと言って、国旗掲揚、国歌斉唱を強要する輩には虫酸が走る。

 

 ワールドカップサッカーでもオリンピックでも、もしプレー開始前に国歌を歌わなかったら、他の国の人々に怪訝な顔をされるだろう。国歌というものはそういうもので、国際感覚の欠如とはそういう意味で使っている。現段階で多くの人類は国家なるものに属していて、十分ではないものの機能している。国家以上に機能する共同体が出現すれば話は別だけど、今のところ私めは日本人。

 

 で、原田眞人が監督した「日本のいちばん長い日」でも良かったんだけど、予告映像でコチラになった。2009年の作品なのだそうだけど、昨今の問題を考える材料として申し分ない。昨今の問題とは現内閣が進行させている安全保障政策で、完全に内田樹氏のブログ、Twitterに毒されているので、絶対反対。ただし、鵜呑みにするだけでは簡単に逆にも転ぶわけで、自分の中の情報を自分なりに蓄積する必要がある。

 

 原子力発電所再稼働も心中は“ありえない”と思っているけど、大人の事情とやらで押し切られない、自分なりの芯を持たなければ。よって「何が何でも反対じゃないですよ、放射能を除去する方法があって、核廃棄物の安全な処理場があって、いかなる災害にも対処できるんなら賛成」と涼しい顔をすることにしている。要は福島第一原発の処理が終わってからじゃないと、お話にならない。

 

 このドキュメンタリーは私めにとって再確認の1本となった。内容は既に「太陽」「終戦のエンペラー」で知っていたことと変わらない。ただしここが重要で、重複しているということは、安心材料でもある。1つの作品ではどうしても偏った見方ともなるけど、複数の作品が同じように描いているのであれば、それほど的外れでもあるまい。

 

 さらに「オリヴァー・ストーンが語るもうひとつのアメリカ史」も加わっていて、第二次世界大戦時の日本を知る材料は増えている。無条件降伏した日本を占領するにあたって、マッカーサーは天皇制を維持する決定をする。これが大戦前との連続性を生み、ドイツとの相違点になる。日本国憲法はわずか7日間で完成しており、天皇陛下は全国に足をお運びになり、国民を勇気づけた。

 

 前半が天皇陛下の戦争責任についてで、後半部分は憲法第九条、靖国神社などが語られる。フランス語だからか、かなり冷静に見ることができるのだ。「東京画」に雰囲気近くて、TVの特集とはまるで別物。監督は日本人だけど、フランス人に向けて作られているので、日本を紹介する側面もある。ただ母国に対して無知な私めが、知らされていない事実を理解するのに役立つ。

 

 憲法第九条に関しては最大の盾だという認識でいる。一水会の代表、木村三浩氏の「戦後の日本史は欺瞞だ」は恐ろしく説得力があるんだけど、戦争せずにここまで来た武器を手放す気にはなれない。靖国神社に関してはじいさんが「戦犯が合祀されてるからな」と言ってた記憶があり、陛下もそれを機に参拝されていないから、敢えて行く政治家には疑念を抱くことになる。

 

 いろいろ見せてもらい、考える機会を提供してくれた監督に感謝ですね。1日に1回の上映で、伊勢崎町にある横浜ニューテアトルは「スーパー!」以来なんだけど、8割の入り。皆さん47歳の私めよりご年配、もうちょっと若い人が観に来ても良さそうだ。このバイアスがかかった状態で、小津安二郎の「秋刀魚の味」を見ると・・・。終戦から70年もの間、平和を維持してきたことは誇らしいけどなぁ。

 

現在(8/18/2015)公開中、ただしすぐに終わってしまいます
オススメ★★★★☆

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  秋刀魚の味

 

 日本映画のみならず、世界の映画史に残る小津安二郎監督作品を、第二次世界大戦を知るための映像資料として見るとはアホですけれど、スゲェとしか言いようがない。いやー映画ってホントに恐ろしい、「二十四の瞳」も美談からは程遠いですけれど、後の人間が当時を知る手がかりをたっぷり残している。それは「ゴジラ」もまたしかり、これだから生き残った名作は危険、新しい映画が観られなくなる。

 

 本作を「天皇と軍隊」の関連作にしようと思い立ったのは内田樹氏のブログ経由(国旗国歌について)。触れられている笠智衆扮する艦長と加東大介の乗組員の会話だけでなく、東野英治郎(水戸黄門としてしか知らない)演じる元教師の描き方は凄まじいものがある。戦争前にはたぶん生徒に威張っていたんでしょう、戦後は客から不味いと言われるラーメン屋をほそぼそと営む。娘役が杉村春子だもんね。

 

 当時の人々にとっては見慣れた光景でも、我々庶民にとっての戦争とは?の疑問に十二分に応えている。高度経済成長は輝かしいかもしれんけど、人々はなんとか生きていたのだ。そこかしこに戦禍の跡が残っている。物語は娘を嫁にやる父の物語で、辛辣なギャグ、軽やかな劇伴もあってホームドラマの体裁なんだけど、見方を変えれば観客へのサービスに過ぎない。

 

 岩下志麻はチャーミングなんだけど、24才とは驚かされる。もっと大人に見えるし、わざわざ彼女の年齢を連呼するのも、後の人々に手がかりを残したのでは?という気になる。監督が実は後で気がつくはずだ、と思って描いたわけではないでしょうけれど、当時を再現する作品はどこまで行っても不完全になってしまう。「オリヲン座からの招待状」も良く出来てはいても・・・。

 

 佐田啓二演じる長男が住む団地は私めの原風景にある。子供の頃を懐かしく思えば、記憶にいくらでも装飾が施され、“あの日に帰りたい”などと感慨が浮かぶかもしれない。しかし悪いけどもう一度住めと言われたら、勘弁してくださいとしか言えないよ。昭和時代を知るには文句なしの作品群ですけれど、もう一度「東京物語」を見たらどうなっちゃうんだろう?
オススメ★★★★★

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