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マイ・インターン

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 “河岸を変えて正解だった”2本目は、「アデライン、100年目の恋」終了から5分後に開始。映画観るのになんでこんなに・・・、とは言っても終わったらド田舎に帰らないとならないですからね。また本作の主人公も気の毒なくらい忙しそう。殆どのシーンで主演のアン・ハサウェイはネット端末をいじっている。wiredの記事“人工知能に恋をしてはいけない”にお金のない貴族と、社畜と呼ばれるお金のある奴隷とあって、アンが演じる女社長ジュールズはまさに機械の奴隷。

 

 そんな仕事に忙殺されている彼女とは対照的に、ロバート・デ・ニーロ演じるベンはリタイアして退屈な日常を過ごしている。ジャック・ニコルソンが先に「アバウト・シュミット」でやってましたけど、デ・ニーロも「ラスト・ベガス」があり、もうこの人もそんなトシになったのだなぁと感慨ひとしお。あくまで私めの傾向ですけれど、この人がやり過ぎないとその作品の好感度上がります。なにせつい最近「アンタッチャブル」を見たもので。

 

 退屈な日常を歎くでもなく、カムバックの野心があるわけでもない元勤め人のベンは、貼紙を見て再就職しようとする。この自然な感じはさすがデ・ニーロ。彼がクリアしなければいけないのは、IT機器が当然の今なんだけど、別に無理難題ではない、という描き方になっている。分からなければ孫に聞けば良いだけなのだ。かなりスイスイ進行して、観客は気楽な感じに社会科見学もできるスタート。

 

 現代の仕事風景を盛り込んでいるのもお得で、新進気鋭の成長企業が買い取った工場の中で何やってるのかな?の素朴な疑問への解答にもなっている。働いている皆さんはレイヤーてんこ盛りのパソコンモニターに、目を凝らしながらせっせと働いている。社長のジュールズも短時間に運動不足解消するため、社内を自転車で移動したり。ただ過酷な労働環境でなく、開放的な職場という描き方。

 

 成長しつつある会社だけに、社員の数は増える、社長はますます外向けの仕事に邁進中。これじゃあパンクするから、経営のプロを雇うかどうしようか、という岐路に立っている時期。そんな時に新入社員としてベンがやって来る。効果があるらしく、試しに入れてみたシニアの社員なんだけど、もちろん彼は様々なことを巻き起こしてくれちゃうってわけ。

 

 しかし“この様々なこと”が決して押し付けがましいわけでも、昔はよかった風の予定調和にもなっていない。これはロバート・デ・ニーロに監督が期待していた通りになっていたと思う。ベンは過去の自分を過度に評価するタイプではないから、若い人の中にあって自然に溶け込んでいく。この過程が素晴らしく、アホな「オーシャンズ11」作戦に参加する3馬鹿トリオとの掛け合いも楽しい。

 

 デ・ニーロが小さな奇跡を起こすだけに、アンの方は苦い現実的なパートを担うことになる。眉間に寄せるシワもアクセントに、「プラダを着た悪魔」メリル・ストリープや、「私がクマにキレた理由」ローラ・リニーに近いキャラクターのジュールズ。仕事中毒が災いして家庭が危険水域になる。もっとも「ゲームばっかやってないで」と3馬鹿トリオに説教したり、爆笑のイビキをかいたりと笑いをとってシリアスに傾斜し過ぎない。

 

 そしていつの間にかジュールズにとってベンがかけがえのない存在になっていく。これは予想の範囲内なんだけど、アンデ・ニーロが絶妙に仕上げている。さすが「ハート・オブ・ウーマン」の監督ナンシー・マイヤーズの技ですかな。工場がベンの元職場だったってエピソードがさりげなく入っていたり侮れない。軽すぎず重すぎず、笑いをまぶしてのご都合主義けっこう、アメリカ映画はあくまでポジティヴでなくちゃね。オマケながらレネ・ルッソを介して、またまたアル・パチーノにデ・ニーロが繋がるんですな、ご参考までに「トゥー・フォー・ザ・マネー」をどうぞ。

 

現在(10/19/2015)公開中
オススメ★★★★☆

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関連作

   ブルックリンの恋人たち

 

 アン・ハサウェイが製作も兼ねている彼女の代表作。自然に映し出される彼女の美貌に恍惚となり、ブルックリンの描写に目がなごむ。撮影担当がジョン・ガレセリアン、「今日、キミに会えたら」「アバウト・タイム 〜愛おしい時間について〜」の人だからとデータを覗いて納得。物語はallcinemaの解説にある通り、「ファミリーツリー」っぽいけど、「エイプリルの七面鳥」に近い印象。冒頭が一発で好きにさせてくれるんだけど、地下鉄で歌っている若者。Susan cagleも好きですが、最近はJaszのMetroもオススメ。

 

 母親を演じるのがメアリー・スティーンバージェンで、彼女の登場がこの作品にお墨付きを与えているよう。そして弟が憧れるミュージシャンがジョニー・フリン。この人は数日後に観る「アクトレス/女たちの舞台」にも出ていたり。本作はつくづく見逃したことを後悔ながら、まだまだオレも映画の神に見捨てられてない。ジョニーは芝居で見せるというより、本物のミュージシャンにしか出せない雰囲気を作品に刻む(「はじまりのうた」だってそうだ)。去っていくのが吟遊詩人、でも涙が止まらないハッピーエンドはぜひご覧になってご確認を。
オススメ★★★★★

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