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天使が消えた街

天使が消えた街  天使が消えた街

 

 外は台風通過でドシャ降りです、そんな中で酔狂にも映画観ているなんて呑気なもの。しかしながらココのところ見逃していたマイケル・ウィンターボトムの新作ですから、帰りの電車がひょっとすると止まっちゃうかも?の状況下でもわざわざ来てしまいました川崎。前回の「キラー・インサイド・ミー」もココだったなぁ、と思い返すともう4年経ってる。

 

 「トリシュナ」「愛しきエブリディ」を経て、映画監督マイケル・ウィンターボトムの関心がどの辺りにあるのかは判然としませんが、「スティーヴとロブのグルメトリップ」の続編「イタリアは呼んでいる」ではかの国を題材にしている。「マイティ・ハート/愛と絆」まではアジア、中東地域を描くことが多かったんですけれど、8年経過してどんな感じになっているのか。

 

 ただ過去作品を忘却の彼方に置いてきて、新たな段階に進んだワケではなさそうです。むしろ増えた情報量を整理して、新作に組み込んでいる。本作の主人公は映画監督のトーマス。“イタリアの古都シエナで起こったイギリス人留学生殺害事件”をモチーフにして、映画にするためその地を訪れる。このイントロで予想されるのは、渦中のすぐ外で事象を見る者の物語。

 

 映画製作の過程で、その準備段階が描かれるのはちょっとお目にかかれない。事件が起こればカメラマンやジャーナリストが現場に駆けつけ報道。次いで小説家が題材にして本を書き、映画になるのはその後。本作はもう幾つかノンフィクションが出たあとに監督が当地を訪れている。事件の裁判は進行中で、蜂の巣をつついた騒ぎはまだ継続中。

 

 そんな中でトーマスはこの事件をダンテの神曲になぞらえて映画にしようと提案。ジャーナリストのシモーンとも仲良しになって、脚本を書こうとするけど一向に進まない。映画監督の受難は「ウィズアウト・ユー」も好きだし、「ホワイトハンター ブラックハート」は痛快だったけど、「映画に愛をこめて アメリカの夜」が近いかな?ずーっと考えてるからうなされたりするところなど。

 

 恐らくマイケルが体験してきたことが、かなり反映されているのでは?と思われる。映画に金を出す人たちの関心は誰を出演させてくらいで、ジャーナリストたちは早く売り込もうとしかしていない。これを訴えるように描かないで、関わって悩む映画監督にしたのが上手くいった。インターネットで嫌というほど情報は溢れているし、ほんの一部分を茶の間でついているTVに映せばいいのだ。

 

 しかしセリフには「TVの向こうの殺人だから、みんな平気なのだ」とされていて、もう一度腰を据えて見ても発見はありそう。マスコミの騒ぎはアッという間に過ぎて、人々が忘れちゃえば、映画のお話なんてあっさりポシャるのが常だよという部分も監督が身に染みていることでしょう。「ウェルカム・トゥ・サラエボ」「グアンタナモ、僕たちが見た真実」を撮ってきているんだから。

 

 ダニエル・ブリュールは監督の分身になりきって、控えめな感じがさすが。「フィフス・エステート/世界から狙われた男」「誰よりも狙われた男」も良いけれど、「セブン・デイズ・テン・ハバナ」がオススメ。ケイト・ベッキンセイルもいつの間にか大人ですな。以前は本作の魅力的な少女たちに負けなかったんだぜ、「から騒ぎ」とか「シューテイング・フィッシュ」の頃はね。

 

 それにしても美少女のオンパレードでしたな、もっともトシなので見分けつかなかったんだよね。裁判にかけられている子と殺害された子などは。ただ監督に協力するエル・ファニングに似ている子は、今後も売れっ子になるでしょう。見所はそれだけじゃなくて、わざわざ田舎にしたのは美しい景色を入れたかったのでは?まだまだかの国には知られていない所がいっぱいある(「四つのいのち」を参考までに)。

 

 世間が注目している間だけ事件が存在するわけでもない。また自分の意図したようにならないのが映画で、確かに人生を棒に振ってもおかしくないけど、うまくいくとは限らない。そんな中で、準備段階とはいえ知り合えた女の子、帰りを待っていてくれる娘があるという事実。この題材で「ひかりのまち」に似た穏やかなラストとはさすが。しかしエンドクレジットを眺めていると“映画は世界に伝え、残す”と訴えていたような気もするんだよな。

 

現在(9/9/2015)公開中
オススメ★★★★☆

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関連作

  スティーヴとロブのグルメトリップ

 

 タイトルは恐ろしくシンプルでTRIP。オッサンの食べ歩きだから「サイドウェイ」っぽいのかと思いきや、邦題になっているスティーヴ・クーガンとロブ・ブライドンは実名で、どこからがフィクションだか判らないように作ってある。これが新作「天使が消えた街」にも反映されてる要素なのかなぁ。スタートは「リスボン物語」っぽくアッサリしているだけに引き込まれる。

 

 男の珍道中だから「宇宙人ポール」も思い出すけど、2人はコメディアンだけに掛け合いが可笑しくて仕方ない。「ヒート」だけでなく、バットマンの執事=マイケル・ケイン、初代ジェームズ・ボンドのモノマネは絶品。また食のドキュメンタリー要素も入っていて、調理場の風景は実物でしょう、「エル・ブリの秘密 世界一予約のとれないレストラン」と見比べるのも悪くない。

 

 ただ食べ歩いて旅するだけだったら映画は退屈になる。そこにコメディ俳優を持ってきたところが新鮮で、マイケル・ナイマンの音楽が良く合う風景の描写は絶品。なおスティーヴ・クーガンがモノマネするとは驚きでしたよ、「ルビー・スパークス」「メイジーの瞳」で知ったからね。マイケル・ウィンターボトムが得意なドキュメント・タッチがこういう風に開花するとは。続編の「イタリアが呼んでいる」もぜひ見たい。
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