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クリード チャンプを継ぐ男

  クリード チャンプを継ぐ男

 

 今年は懐かしのシリーズが多々あって、夏から暮れにかけてずいぶんと楽しい映画体験になるハズだった。ところが激変する世界の流れに、どこまで映画が、特に“劇場観賞という習慣”が存続するのか?が問われているのが現時点なんでしょう。それはシネマライズ閉館の一報からもうかがい知れる。あくまで妄想ですけれど、下手したらスポーツだって変化にさらされて・・・。

 

 しかしスパイ映画(「007/スペクター」「ミッション・インポッシブル/ローグ・ネイション」)、SF超大作(「ジュラシック・ワールド」「スター・ウォーズ/フォースの覚醒」)があるのにスポ根モノが欠けては、今イチ感を抱えたまま年を越すことになります。作ってくれたシルヴェスター・スタローンに感謝です。消耗品軍団のシリーズとて“漠然と”作ってしまう、今となっては得難いアクションスター

 

 「ロッキー・ザ・ファイナル」というくらいで、終わったハズのバルボア氏の物語。“まだやんのかよ”という“ダメな大人の逃避心理”を吹っ飛ばしてくれたのが、担当の監督さん。「フルートベール駅で」のライアン・クーグラーを起用とは、さらに主演もマイケル・B・ジョーダンとは行かない理由がありません。「ジュラシック・ワールド」も監督2本目のコリン・トレヴォロウだったし、新しい人が次から次へと出てくる、作り手側の新陳代謝は健全です。

 

 気になるのは劇場にてソレが感じられないことで、若い人にぜひオススメです。劇場で観た方がいいよ、握りこぶしでスクリーンに目が釘付けだよ。もう物語なんてスラスラと復唱出来ちゃうくらいシンプル。少年鑑別所でも持て余されている少年が、実はアポロ・クリードの隠し子で、その子をアポロの奥さんが引き取る。アポロの家は金持ちだから、引き取られたアドニスはネクタイ締めてホワイトカラーのお仕事。

 

 ところが継いだ血が彼に安定した生活を捨てさせ、ボクシングの道へと導く。メキシコで連勝なれど、合衆国のプロは甘くなくて、親父の親友ロッキーを頼ってフィラデルフィアに。このネタは今だと「ウォーリアー」の方が説得力ありそうだけど、敵役の面々がホントに強そうなんで、ぐいぐいと入っちゃう。大筋は変えなくとも、細部は他にも楽しくて、前作同様に街の風景がこの監督らしくてニヤリとしてしまう。

 

 時代記号もさりげなく入っていて、ロッキーの書いたメモをスマートフォンで撮って、「大丈夫か?」と聞かれると上を指して「クラウド」という辺りはホッとする。全体的にロッキーを継承しつつ、シャープに自分のモノにしている監督に唸ってしまいます。「ベストキッド」ほど好きなスターへの思い入れを出していない感じも、この監督に才能を感じさせる。

 

 しかしベタなければ映画じゃないとばかりに、最後に炸裂するんだよね、ぜひご覧になってご確認を。映画はさ、クライマックスまでにどれだけ溜められるかです。あのテーマが鳴り響いた瞬間に力入ります、理屈じゃありません。ほとんど「リアル・ステイール」そのものの構造なれど、2011年からご無沙汰だった。ま、脚本段階から関係者は分かっていただろうし、どれだけ膨らんだモノを削いでスッキリさせるかですな。

 

 久しぶりにニューライン・シネマのクレジットがあったし、ボクシングのシーンは寄りの画が多く新鮮だったし、たぶん3Dを考慮していたんだろうけど、2Dでも興奮です。スタローン=ロッキーも眠そうなジジイが板についていて、アーノルド・シュワルツェネッガーとは違った味です。縄跳びしている横で新聞読んでる姿は微笑ましかった。観ている私めも一緒にトシ取ったことを実感したりして。

 

現在(12/28/2015)公開中
オススメ★★★★☆

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  ロッキー

 

 見る側がトシを取ると魅力が分かってくる作品は、関連作探しをしているとけっこう出くわすものです。まさかコレもそうなるとは20年前には想像もしなかった。3は疲れた時によく見る滋養強壮剤になったが、なんと48歳になってコレを見直すと、賞をあげて人々に伝えたアカデミー賞に感謝したくなった。

 

 ラストの場面はあえて語る必要のない感動シーン。でも、最初に見た時からずっと印象に残っていたのは、“ロッキーってかなり頭悪いよな”なのだ。3から観はじめたし、映画分かっていなかったし、若造で傲慢だったから、本作の魅力は1割も味わっていなかった。もう素晴らしいの一言に尽きます、はからずも自然に映し出された当時のフィラデルフィア。

 

 映画は庶民の物で、賢いセリフに辟易したらまずこの生々しい会話がオススメ。エイドリアンの兄貴ポーリーもいなければならない重要なキャラクターだと気がつくのは、やはりトシ取らないと無理なのかもね。画面の粗い感じも、低予算ならではの撮影も、もう絶品。「フルートベール駅で」の監督が飛びつくわけだよ。

 

 このテイストが気に入ったらぜひ、監督ジョン・G・アヴィルドセンの「パワー・オブ・ワン」「ワイルドチェンジ」もどうぞ。ボクサーがタバコ吸ってて、借金取りの手先でなんて、70年代の映像資料を求めるのなら間違いなくこちら。街の汚さが凄いったらありゃしない。でも、チンピラのくせにロッキーは近所の女の子に説教したりする。ここなんか、失ってしまった大切なものの一つ。
オススメ★★★★★

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