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チャイルド44 森に消えた子供たち

  チャイルド44 森に消えた子供たち

 

 この1、2週間トム・ハーディのファンだったら、たまらない時間を過ごせるでしょう、3本が現在公開中。「マッドマックス/怒りのデス・ロード」、「オン・ザ・ハイウェイその夜86分」、本作。後で後悔しそうなのは間違いなく、見逃した1本なんだけど仕方ない、時間は有限です。このケースはこれからもっと増えるのかな?観客はますます忙しくなっていくのです。

 

 トム・ハーディなくしては成立しない1本で、少ないながらも共演者が彼を引き立てている。彼が演じるのは民衆を弾圧する政府の手先レオ。とは言っても孤児院で育って、兵隊になり、ベルリン陥落の際に写真撮影された英雄。作りこんである小説が原作なだけに、キャラクターを構成する要素が随所で機能する。彼を通してソビエト連邦に無知な私めはかなり勉強になりました。

 

 孤児院のひどさは並じゃないし、兵隊を適当に雇っちゃうのは「あの日の声を探して」でもあったけど、あの国の軍隊って凄まじい。それはベルリン陥落の戦闘に参加している部分もで、略奪行為は日常茶飯事。勝利の旗を立てるといっても米軍とはエライ違います(「父親たちの星条旗」を参考までに)。米軍は物資窮乏という事態がなかったから、略奪行為が横行しなかったのか?

 

 戦後はというと国家の手先になって反抗分子を摘発する仕事に就くレオ。それにしてもお国柄ですな、なんの疑いもなく命じられたままに人々を逮捕。拷問も平気でやっちゃう様がハマっているトム・ハーディ。ただし、子供の前で親を撃ち殺す仲間のワシーリーには激怒。戦場でビビって役に立たない男も、無抵抗の相手なら強気の卑怯者を演じるのがなんと「ロボコップ」をやっていたジョエル・キナマン。

 

 デミトフとワシーリーにはラストに至るまで因縁が続き、妻のライーサもそこに絡んでくる。ノオミ・ラパスが演じてますが、「ミレニアム/ドラゴン・タトゥーの女」で注目され、「シャーロック・ホームズ/シャドウ ゲーム」を経て、「デッドマン・ダウン」などどんどん国際的になっていきます。さらに後半ゲイリー・オールドマンが登場、トムと一緒に逆サイドの「裏切りのサーカス」に2人して出演していたのは3年前か。

 

 物語の構造は練られていて、良く出来ているし、「それでも生きる子供たちへ」リドリー・スコットがプロデューサーも納得なんだけど、“人を見たらスパイと思えの国”とはどういう代物かを思い知らされた。「瞳の奥の秘密」でも時の政権によって法の執行が不能になりますが、現在の我が国が、着々とこの状態に近づいていることが怖くて仕方なかった。いるからね、身の回りにワシーリーに化けそうなの。

 

 資本主義は確かに腐敗を生むが、それは全員加担してのことで、それを正すのにこの手口を使われちゃあたまらない。「カティンの森」も震え上がりましたけど、あんなにスパスパ人の頭撃っちゃうって、どこに人間らしさを置いてきたのか?そんな中で孤児を引き取るデミトフ夫婦のしていることが、我々にできるせめてもの善なのか?感動のラストながら、もはや人事ではないからね。疑心暗鬼で日々を暮らすなんて御免こうむる。

 

現在(7/72015)公開中
オススメ★★★★☆

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関連作

  デッドマン・ダウン  

 

 「ボクのエリ 200歳の少女」の監督トーマス・アルフレッドソンなど、北欧方面から進出しているのは「チャイルド44 森に消えた子供たち」のダニエル・エスピノーサだけではない。本作のニールス・アルデン・オプレヴも「ミレニアム/ドラゴン・タトゥーの女」が当たったし、合衆国に進出するのも納得。共通項はノオミ・ラパスを起用していることか。

 

 処女作に続いてアメリカ映画初監督作も気合が入る。題材はジェームズ・グレイ(「裏切り者」「アンダーカヴァー」)が手がけそうだけど、画の感じは「複製された男」ドゥニ・ヴィルヌーヴに近いのかな?なかなかに魅せてくれます。そして映画好きを唸らせるキャストを結集させることも可能。コリン・ファレルが出ている段階で気がつかなきゃいけなかった(「ニューヨーク/冬物語」は観たのにね)。

 

 ドミニク・クーパーも「ドラキュラZERO」とは別人で、テレンス・ハワードはちょっとワルの親玉が板につくには早いのか(「ハンティング・パーティ」が忘れられない)。「インサイド・ルーウィン・デイヴィス 名もなき男の歌」同様にチョロっと出てきてもF・マーリー・エイブラハムはいい味してるし、イザベル・ユペールも老けたんであんぐり、「パッション」を年の初めに拝んだだけに。

 

 合衆国は移民の国で、今回はハンガリー、アルバニアなど。大好きな「ステート・オブ・グレース」「イースタン・プロミス」同様に潜入ネタが絡んだ復讐ものなんだけど、背景が今ひとつ掴めなかった。私めが世界事情に疎いからで、アメリカ人だったら“ああそうか”で済みそう。ビトー・コルレオーネの時代から、自分のことは自分で始末をつけなくちゃなんないお国柄。

 

 正体がバレちゃいけないから、もちろん無口なコリン扮するヴィクター。ハードボイルドなドラマが展開するのも魅力で、こういう男はもはや媒体の露出品度が邪魔をして、トムブラッドジョニーも無理になった(キアヌはまだいけそう)。トム・ハーディならOKで、ジョセフジェシーには無理そう。また「THE NEXT GENERATION パトレイバー第5章」にも出てきたドラグノフって機関銃が登場。中国と違って合衆国でロシアは相変わらずワルの源泉(「イコライザー」)。


さらにオススメなんですけれど、「バッドタイム」「ハード・クライム」「リプレイスメント・キラー」などもどうぞ。 

オススメ★★★★☆ 

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