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エール!

  エール!

 

 “河岸を変えて正解”の作品もあれば(「アデライン、100年目の恋」「マイ・インターン」)、配給元を変えると映画が新鮮に映るケースもあります。加えておすぎさんのお墨付き(CDT-NETビデ・シネプレビュー2015.10をご参考までに)。「アメリカン・ドリーマー/理想の代償」「パパが遺した物語」などヒット連発のギャガ(GAGA)ですけれど、「シドニアの騎士 第九惑星戦役」クロックワークスも見逃せない。

 

 冒頭クロックワークス、「アメリ」のアルバトロスがクレジットされて、ムムっとなる珍客、本日は海老名のTOHOシネマズでの観賞。比較的足を運んでいるシネコン(前回は「ジョン・ウィック」)ですが、どこで観るかを調べる、ソコに至る経緯をネットを使って探すなど、面倒だけどその行為自体を楽しむようになってきた今日この頃。ザ・プラットフォーム:IT企業はなぜ世界を変えるのか?を読んでておぼろげながら今が分かった気になってる。

 

 そんな21世紀ですけれど、先進国フランスの片田舎にはIOT(「バイナリ畑でつかまえて」)だらけになっていない酪農一家が気楽に暮らしていたりする。もっともこのベリエ一家はワケありで、長女のポーラ以外は耳が聞こえない。「最強のふたり」にも驚かされましたが、フランス人は障害者を主人公にコメディを撮ってしまう。彼らに比べるとアメリカ人は生真面目(参考までに「セッションズ」をどうぞ)。

 

 それにしても手話の出てくる映画はホントに久しぶり。登場人物のほとんどが操るとなると「愛は静けさの中に」以来。聞こえない家族の中で、歌の才能が開花するポーラですから、音楽映画の要素も入っている。描かれるテイストがずーっと昔に観た「ザ・カンニングIQ=0」みたいで、どんどん入り込んでしまう。「JUNO/ジュノ」とか「サンシャイン・クリーニング」などと2本立てだったら・・・。

 

 感動作としても優れていますし、熱演のベリエ一家の面々も素晴らしいのですが、キラッと光ったのがポーラの友達マチルダ。彼女のキャラクターはありがちで、私めがもっと若かったら“いらん”とまで思ったかもしれないけど、本作がベタな感動作過ぎない為には必須。「プリティウーマン」のローラ・サン・ジャコモみたいって言ったら近いかな?ハッキリ言ってヤリなんだけど、笑いをもってっちゃう。

 

 もちろん感動作としても文句なしで、クライマックスは二回用意されている。一度目は観客にベリエ一家と同じ状態でポーラの晴れ姿を分からせるシーン。この部分が批評家に受けたんでしょう。「パパが遺した物語」も二刀流だったけど、泣かせるだけでは不十分な21世紀。そしてそのジャブを効かせたまま、涙が止まらないラストへとつなぐ、ぜひご覧になってご確認を。なお「陽のあたる教室」は未見の方にオススメです。

 

 町長選に出ようとする気骨ある父ちゃんですけれど、トラクターだけでなく車でパリまで行ってしまう部分にさすが先進国フランスと唸った。じゃあ我が国は?と思ったら心配ご無用。今月免許の更新した時初めて知りましたけど、日本でも聴覚障害の人がちゃんと運転できます。大丈夫か?ではなく、前向きに受け止めて知らせているマークを見逃さないように心がけようと思う。ただこういう一歩前進の、素晴らしいニュースは知らせようとしないよね。

 

現在(11/2/2015)公開中
オススメ★★★★☆

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  愛は静けさの中に

 

 30年近く前の作品で、VHSで何度も見た。もっともパッケージソフトでの観賞は、記憶から遠ざかるもので、正統派ラブロマンスだった印象のみ覚えている。ただし手話の映画というとすぐにコレが思い当たり、再見してみて意外にも「エール!」との共通項を発見。ただのラブロマンスではなく、主人公は音楽好きで、師と弟子ものの要素があるのだ。

 

 冒頭に今(「ニューヨーク 冬物語」)からは想像もできないウィリアム・ハートが出てきて、チョッと笑ってしまった。なんとなく「僕、ハンサム」って感じに見えたからだ。要はコチラがトシ取った証拠で、以前はお兄さんに見えたワケ。時は80年代、障害者に対する人々の接し方も参考になるけれど、一番気づかされたのは熱意ある先生に説得力があることだ。

 

 「ワイルドチェンジ」とコチラを先生に着目してご覧になった後、現在の姿「デタッチメント 優しい無関心」「パリ20区、僕たちのクラス」を見比べると時代の違いが浮き彫りになるかもしれません。人々に信頼があるからやり甲斐をもって取り組む。学校を渡り歩いて教えることに生きがいを感じられる時代と、圧倒的にどうしようもない現実の中でなんとかしていくか。

 

 景色の描写は心和むもので、「アクトレス/女たちの舞台」でもスイスの描写が良かったんですけれど、昨今なかなか拝めない。ウィリアム・ハートは僕ちゃんに見えますが、ヒロインのマーリー・マトリンはやはり美しい。現在40代の人が80年代を思い出す効果もあるかもしれない。マーリーの髪型は「フラッシュダンス」のジェニファー・ビールスそのもの。ネタ本に彼女の手話は雄弁とあるけど、むしろ「エール!」と比べると饒舌に見えたりして。
オススメ★★★★☆

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