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太秦ライムライト

  太秦ライムライト

 

 「ラストサムライ」(もう10年以上経ったんだなぁ)で、トム・クルーズ扮するオルグレン大尉から、ボブと呼ばれる“寡黙な侍”は世界的な知名度があるだろう、演じた福本清三が主役なんだから気になる。今回もallcinemaでたまたま見つけた本作、映画好きとしてはたまらなかったですね。時代の進行が秒進分歩の21世紀にあっては、日本映画の宝=時代劇もその流れに抗えない現実がある。

 

 特撮の代名詞「ゴジラ」をギャレス・エドワーズに撮られちゃったし、お家芸の消えゆく様を日本人が描かないでどうするの?で、30代の落合賢という監督の実力はというと、帰ってすぐに「タイガーマスク」を見ることになるほどの人。映画のどの部分にその才能を発揮しているとかではなく、最新のVFXも使いこなすが、人物描写も文句なし、ダテに合衆国で映画を学んでいないみたい。

 

 その辺の経歴は荻上直子もだけど、よく研究しているというか、人々が記憶している視覚情報を喚起するのが旨い。それは後半の田舎風景に発揮されている、と勝手に思ってますが、ぜひ「ラストサムライ」と合わせてご覧になってみてください。映画製作の技量が問題ないので、洋画ばかり観ている者でもグイグイと作品世界に入ってしまう。掴みが肝心の映画ですし、それももちろん合格。

 

 ただし合衆国で映画を学んだといっても心は日本人の監督、素晴らしい物語です、ジーンときちゃいます。大部屋俳優を扱った作品には「蒲田行進曲」がありますけれど、深作欣二の激しさではなく、淡々とした描き方は「京都太秦物語」に近い。映画の内幕を覗かせてもくれる造りで、配役作業一つとっても勉強になる。主役級はプロデューサーが決めるとして、エキストラは撮影所のお仕事。

 

 エキストラが“仕出し”と呼ばれることや、張り紙でその日の仕事を知ることなどワクワクします。時代劇の“斬られ役”が定番なれど、本作の福本清三は70代の現代人も同時に演じている。プロデューサーなどのいい加減さは「トラブル・イン・ハリウッド」とか「ワグ・ザ・ドッグ」を見ればいいんだし、職業として映画を支えている人々の日常に迫っているのが本作最大の魅力。

 

 もちろん映画ですから華がなくてはならない。成長するヒロイン=伊賀さつきを演じるのが山本千尋という新人。スタイルがねぇ細すぎなくて良いのだ。勇ましくも力強くて、もうおっさんメロメロ。「THE NEXT GENERATION/パトレイバー」の真野恵里菜も、浮世離れしていないスタイルですが、映画館でアイドル見ても仕方ないもんね。

 

 「エージェント・マロリー」で総合格闘家ジーナ・カラーノ嬢を起用したソダーバーグでしたが、殺陣が肝心の本作だけに武術経験は必須のヒロイン。チャンバラは我が国の専売特許で、腰が入ってなくちゃ「ハイランダー悪魔の戦士」とか「スターウォーズ」と比べれば一目瞭然ですよ。彼女と斬られ役一筋の香美山との物語は“孫とじいさん”ではなく、「RD潜脳調査室」に近く互いに欠けている部分を補う関係というかな?

 

 「トイレット」で問題児の3兄妹とばーちゃんには、心が通じたかどうかは判然としない。でも本作は同じ職業に就いた者同士の師弟関係が成立する。しかし師が一方的に教えるのではなく、弟子から支えられる部分もあって泣いてしまうのです。ラストは圧巻で、幾度となく繰り返されたシーン“主役の侍がバッタバッタと有象無象を切り捨てる”が逆転している。

 

 TVドラマの延長線上にある日本映画はどーも苦手で、実写作品は「家路」に続いてという体たらくですけれど、2014年の邦画ナンバー・ワンは決定。「LIFE!」が紙媒体の衰退を刻んだのと同じで、本作は失われつつある日本映画の伝統的な製作現場を残している。ただしそれは副次的な要素で、映画を支えてきた多くの中の1人の物語は感無量。今後はね、斬られ役の人にばかり目がいきそうだ。

 

現在(7/19/2014)公開中
オススメ★★★★☆

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  タイガーマスク

 

 プロレスは高度なお芝居なので、わざわざ映画にする必要はない。そのことを知っている監督の落合賢は、タイガーマスク実写化に際してどういう戦略を採ったか。“子供たちのために戦う男”、“虎の穴”というエッセンスだけを抽出して、特撮ヒーローとして復活させている。佐山聡による初代タイガーマスクが、映像として残っているので大正解ですね。

 

 「THE NEXT GENERATION/パトレイバー」に合わせて特撮ものをいくつか眺めましたけれど、どーしても国産の範囲内で収まってしまう。それはそれで悪くないんだけど、この作品は一歩抜け出しそうな雰囲気があって侮れない。確かにゼブラーマン=哀川翔や「修羅雪姫」を演じた釈由美子も出ていて、和製特撮映画への配慮がある。でもガリガリの美青年=ウエンツ瑛士が、伊達直人に成長していく姿こそ本作の持ち味。
オススメ★★★☆☆

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