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トランセンデンス

  トランセンデンス

 

 橋本で「her /世界でひとつの彼女」を観終わって、海老名まで移動して本作。しとしと雨の中、よく考えると最新IT 事情を盛り込んだ2本立てなわけだ。ホアキン・フェニックスの方は批判というより、ほろ苦いファンタジー仕立てで、IT 依存の我々を揶揄せず出口に導くような内容。もちろん大作にそんな細やかさは許されなくて、多くの観客にどんなふうにアピールしていくのか?

 

 監督は初仕事のウォーリー・フィスター、「サイド・バイ・サイド フィルムからデジタルシネマへ」に出演している時は、撮影監督としてだったのだろう(思い出せない)。キャリアはクリストファー・ノーランとコンビを組んでいて、フィルム撮影された「ダークナイト・ライジング」もこの人の手腕だ。「マネーボール」も画面の感触が良かったし、今回も陰影のつき方はフィルム撮影の賜物と言える。

 

 映像は古くもあり、デジタルでは難しい色彩を放っているが、肝心の物語はどうなるか。人工知能の研究をしていた科学者がテロの銃弾に倒れる、死が目前に迫った夫を共同研究していた妻が、その記憶をアップロードして生き続けて欲しいと願う。そしてその“良かれ”と思って始めたことがいつの間にか・・・、は予告編から察せられる通り。人々が期待するお話のラインなんだけど、チョッとだけ着地点が違っている。

 

 終盤近くの展開をハッキリしない、手ぬるいとする人がいてもおかしくない。「ザ・ホスト/美しき侵略者」を無理やり引き合いに出すけど、観ているこちら側の努力次第で駄作にもなるし、時間の浪費にならずに済むケースの作品では?憲法を独自解釈するのは明らかに誤りなれど、映画は見ている人の自由に委ねられるよう設計されているし、ダテにジョニー・デップモーガン・フリーマンが出ていないでしょう。

 

 出演者に視線を注げば見所は多々ある。ジョニーに期待される役は奇抜な方面が圧倒的だけど、機械化する前は実にごくフツーの男だ。妻役のレベッカ・ホールがある意味主人公で、彼女の出番が全編に渡っているのは嬉しい限り。さらにポール・ベタニーはねぇ、「ランズエンド/闇の弧島」などの地元映画で見せる地味かつ真っ当な男が良く似合います。

 

 同じく英国出身のキリアン・マーフィも「麦の穂をゆらす風」が絶品で、「TIME/タイム」っぽい硬い捜査官に無理がなく、出番は少なくとも切れ者の感じが良く出ていた。そしてモーガンに関しては監督に“お任せ”されているのが一目瞭然で、このメンバーだと控え目の方がバランスが良い。キラリと光ったのは環境テロリスト役のケイト・マーラで、ルーニー(「her/世界でひとつの彼女」)の姉じゃん。

 

 一見ピッとしていないようで、後々分かってくる作品かもしれない。というのは個人的なスパイク・ジョーンズ作はOSに特化して描けば良いけど、世界的な科学者が主人公となれば、描いておかなければいけない要素は多々ある。医療格差、環境テロリストなどは現実に存在していて、「エリジウム」「ザ・イースト」が既に映像化しているんだから抜かるわけにはいかない。

 

 ラストは合衆国の田舎が舞台になるだけに「ラストスタンド」みたいになるけど、オチがよくあるパターンを回避して成立させているのが真骨頂でしょう。もし警鐘を鳴らしていると受け取れば、永続する命か?運命を受け入れるか?をテーマにしていることになる。ぜひご覧になってご確認を。“一時的に全世界が停電したくらいで、人類は滅びたりしない”もメッセージかも?“なくてはならない”と思い込んでいるコンピュータも、メガソーラの電力でまかなえるってのは、原子力発電に対して一石を投じた部分だと思うがいかがなものか。

 

現在(7/5/2014)公開中
オススメ★★★☆☆

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関連作

  エレクトリック・ドリーム/Electric Dreams

 

 ネタ本(知的新人類のための現代用語集)に“映像を音楽が伴奏するのではなく、音楽を映像が伴奏するプロモーションビデオというものの手法”とあって、このテクニック(MVT的手法とも呼ばれる)は80年代より見られる傾向。本作の冒頭部分も「フットルース」とか「摩天楼(ニューヨーク)はバラ色に」を思い出させる懐かしい作りになっていて、オッサンの顔もほころぶ。確か初見では2本立てだったような。

 

 で、「her/世界でひとつの彼女」の時に気になって、日本版のDVDないもんだから、英国から取り寄せて見たわけですけれど、元取れました。“自分の記憶がいかにいい加減か”を教えてもらっただけでも。だってコーヒーこぼしてコンピュータが目覚めるんじゃなくてシャンパン。更に30年前にもかかわらず、後の21世紀を予感させる設定には舌を巻く。

 

 確かに液晶モニターではなくCRTが使われていて、ボタン操作もあるけど、音声入力は予見されていて、会社のデータベースにアクセスしたりする。ネットワーク環境が観客にピンと来ない時代ゆえの描き方なれど、現在実現していることだけでなく、未だに不完全なものもあって驚かされます。スマート・フォンを使用しての家の管理なんて、まだ普及はしていないもんね。

 

 ヴァージン・ピクチャーズ第一回作品なんだそうで、気合も入っていたのでしょう。コンピュータ・グラフィックスも、流麗なカメラワークも、流れる楽曲も観客を飽きさせないし、字幕なしでも十分に楽しめます(音楽映画ってセリフあんまり重要じゃありません)。もちろん華はなんといっても少女っぽさの残るヴァージニア・マドセン。彼女がチェリストで、ニヤニヤです。男の子の方は若い頃のジョン・キューザックっぽく、ドジっ子坊やは定番。

 

 “変化し続ける視聴環境の元で”21世紀の我々は生きていて、30年前の作品と先月観た作品(「トランセンデンス」「her/世界でひとつの彼女」)を見比べて、“自分の生きている世界を知る”手掛かりに、映画は図らずもなるんだなぁなどと感慨深げです。そしてITガジェットを中心に眺めると、見えてくることもある。もっともそれは副次的なことで、お気楽なデートムービーとしてトントン拍子に進む、嘘みたいな80年代的展開こそお宝映像です。
オススメ★★★★☆

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