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ラッシュ/プライドと友情

  ラッシュ/プライドと友情

 

 1976年のF1日本グランプリは記憶している。当時8才のワシの祖父は国鉄を退職して、富士スピードウェイの隣にある冨士霊園で働いていた。その関係なのかじいさんがワシに、グランプリの公式プログラムをくれた。そこにはニキ・ラウダが写っていて、タイレルの6輪車も脳内にメモリされている。当時「グランプリの鷹」(「ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q」でコネメガネ=マリが歌っている)というTVアニメも放映されていて、スーパーカーブームなどもあった頃が懐かしい。舞台はその後鈴鹿に移り、アイルトン・セナの時代にF1ファンを大量発生させた。

 

 F1にまつわる個人的なデータは以上で、合衆国の愛国者ロン・ハワードがこの題材に挑むのは興味深い。トニー・スコットが既にストック・カーレースを手がけているからなのか?映画に疾走感は必要なれど、スペースシャトル戦闘機だけでなく、時速300Kmで突っ走るF1マシーンの早さを描くのはなかなか難しい。つい最近も「ローン・レンジャー」が証明しているように、馬が映画にとって一番。ただロンが車に関心があるのは「ガンホー」前作でも明らかだし、監督デビュー作なんて「バニシングIN TURBO」だもんね。

 

 でも最新CGの効果もあるのか、見たことのないアングルが随所に散りばめられていて、レースのシーンにはエキサイトする。ル・マンの大会に実際にカメラを持ち込んで撮影したのが「ミシェル・ヴァイヨン」だったけど、進化する映像技術はわざわざその地に赴く必要をなくすのか?もっとも現在の富士スピードウェイは38年前とは随分と様変わりしていますから、この手法はアリ。ま、マラソン大会(富士マラソンフェスタ)で走りましたけど、「サーキットって平らだろ」などとナメてかかると、山あり谷ありでエライ目に遭います。

 

 ただ本作が中心に据えているのはスポ根物語で、やっぱり感動してしまいました。映画化するのに適している図式のライバル関係を築いていたのが、ニキ・ラウダとジェームズ・ハント。方やオーストリア出身でメカニックに適切なアドバイスをして、マシーンの性能を向上させる堅実な知性派。英国出身のジェームズは典型的なドライバーで、命知らずで、飲んべえで女たらしの野生派。強引に例えると「ミシェル・ヴァイヨン」のミシェルと「デイズ・オブ・サンダー」のコールといったところ。F3のレースで出会って、その後はサーキットの内外で“ヤツには負けん”関係が続く。

 

 そして運命のドイツ・グランプリでニキは大事故を起こしてしまう。競り合ってたジェームズがその要因を招き、結果としてポール・ポジションに・・・。ところが大ヤケドを負いながら、日本グランプリで復活するニキ。“映画のために用意されていた実話”としか思えないドラマティックな物語の結末は、ぜひご覧になってご確認を。「アポロ13」でもどうなるか分かっているのに、観客を釘付けにしたロン・ハワードさすがです。「アメリカン・ハッスル」より分かりやすく、スッキリと仕上げる手腕は衰えしらずです。

 

 ライバル同士となったダニエル・ブリュールとクリス・ヘムズワースは文句なし。ダニエルは母想いの少年も、新しい気風をドイツに吹き込む先生もできますが、ニキ・ラウダに肉薄している。こんなに化ける人だとは「パリ、恋人たちの2日間」からは想像もできない。またトンカチの神様ではありますけれど、クリスには被り物ジンクスはなさそう。既に「スノーホワイト」があるし、カークの父親を演じた「スター・トレック」も見直すとイイ感じだし、「キャビン」などにも嬉々として出てくるし。今後この両名はまだまだ活躍が期待できる。

 

 キャッチ・コピーは“壮大なヒューマン・ドラマ”なれど、完全にスポ根ドラマとして観ちゃってもうたまらなかった。「マイウェイ」ほど永遠の平行線ではないけれど、命をかけたドライバー同士にベタな友情は成立しない。ところが“なくてはならない存在”として、よそ者の無遠慮さには断固たる態度で臨む。大やけどから復帰したニキに無神経な質問を浴びせた記者をジェームズはボコボコにするけど、当たり前だよ。文句なしの直球勝負で、ロン・ハワードを見直した。だって、正攻法で描いてヒットさせる手腕は「バックドラフト」などでも証明してたけど、ストレートだもん。

 

現在(2/9/2014)公開中
オススメ★★★★☆

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関連作

  アイルトン・セナ 〜音速の彼方へ

 

 日本でも認知度が高かったF1レーサー、アイルトン・セナの軌跡を追ったドキュメンタリー。彼は1984年のモナコ・グランプリで登場するわけですけれど、驚くべきことに同じレースをニキ・ラウダが走っていて、ジェームズ・ハントの声まで入っている。「ラッシュ/プライドと友情」のその後を垣間見ることができるわけだ。ニキにはジェームズがいたが、アイルトンのライバルはアラン・プロスト。

 

 あくまでこのドキュメンタリーの描き方に沿って解釈すれば、ブラジル人のセナはフランス人プロストに、政治的駆け引きでハンデがあったことになる。ニキとジェームズの時代にはなかったのか?顕在化しなかったのか?ただしもともと金のかかるF1レースに当時の金持ち国家=日本が色濃くなってくると、複雑な様相を呈し始めるのかもしれない。

 

 英国製なのにやたらと日本の映像が挿入されているし、ステアリングにはHONDAのマークがある。エコノミック・アニマルと揶揄された時代記号は、現在の若者には見せたくないけれど・・・。裕福な生まれは成功するF1ドライバーには必要かもしれないけど、そのおかげでプライベート映像満載。ベサニー・ハミルトンの例もあるし、悪いことじゃない。

 

 資金が集まると共に、テクノロジーの実験場でもあるモーター・スポーツの最高峰だけに、ドライバーはその犠牲にもなってしまう。最初は幼くも若々しく、明るい表情だったセナがだんだん険しいそれを見せ始めた94年に・・・。スティーブ・ジョブズじゃないけど、何年後かにセナとプロストの物語は整理されて、賞にノミネートされる映画が出現するのかもしれない。今はまだ生々しいのだ。
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