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プリズナーズ

プリズナーズ   プリズナーズ

 

 本日は新宿ピカデリーで3本立て、10:00〜18:00まで入り浸りの一日になる。ところがロビーに人がギッシリ、ガンプラまで売っているではないか。なんのことはない「機動戦士ガンダムUC episode 7 虹の彼方に」の上映が始まったのだ。限定上映ったって4週間あるでしょ、2週間の「THE NEXT GENERATION/パトレイバー」よりいいじゃん、ワシも来週くらいに観るけどさ、そんなに焦ることないって。

 

 混んでる劇場に辟易しつつも10代だったら、聞く耳持たないよな。これは大ヒット驀進中のディズニーCGアニメもそうだけど、立ち見があったらみんなガッカリして帰らずに済むのに(ミニシアターと私2を参考までに)。ただ媒体の露出頻度と連動している大ヒット作をちょっと避ければ、腰を据えてスクリーンを眺めることができる。ドゥニ・ヴィルヌーヴという監督は見逃せない。

 

 データ的には撮影のロジャー・ディーキンスが、アカデミー賞にノミネートされている。またマーク・ウォールバーグまで製作総指揮。みなさん「灼熱の魂」でこの監督の才能に惚れたのかな?キャストもヒュー・ジャックマンジェイク・ギレンホールを筆頭にポール・ダノ、テレンス・ハワード、ヴィオラ・デイヴィス、マリア・ベロ(「サンキュー・スモーキング」の彼女はチャーミング)などかなり美味しい布陣。

 

 ま、キャストでビビーンと来たんだけど、全員もれなく監督の映画世界に溶け込んでいる。白馬に乗った王子様とは思えないヒューは、娘をさらわれた怒れる父親だ。同じく愛娘の誘拐に遭遇してしまった父はテレンスだけど、気弱な感じで「大統領の執事の涙」の時ともちょっと違う。奥さんがヴィオラで、「ものすごくうるさくて、ありえないほど近い」っぽいかな?

 

 化け具合はポールが抜きん出ている。「それでも夜は明ける」の鬼畜演技とは真逆。10歳程度のIQの持ち主アレックスに説得力がある(作家まで演じられるのに)。「エンド・オブ・ウォッチ」の警官から、捜査全体を仕切る地元の切れ者刑事になったのがジェイクで、次回作「複製された男」も楽しみになってきた。疲れた感じと冷静な感じの見事な融合を見せ、実際にモデルの警部とかがいそうだ。

 

 出演者が揃って監督の描くまっとうな日常を実体化、異常で残酷な事件に遭遇する。ただし、犯人が誰かなど絶対に触れられません、台無しになります。ぜひご覧になってご確認を。伏線も随所に散りばめられ、配置は絶妙。一瞬も目が離せないのではなく、眺めていたって引き込まれる。淡々とした展開のようで、突然思いもしなかったアクセントが効いてくる。

 

 グイグイ入り込んでしまったので、ジェイクが出演した「ゾディアック」を思い出すのに時間がかかった。基本路線は異常者に誘拐された少女を、刑事が必死に探し出す物語だから「ダーティハリー」「ドリームハウス」のような雰囲気もあるけど、実話を元にしていないのに、現実のようなこの迫ってくる感触は他に類を見ないと唸らされる。サスペンスの傑作は数あれど、ヒッチコックには適わない。ただし独自のテイストを貫いて果敢に挑戦のドゥニ・ヴィルヌーヴ、7月の「複製された男」も期待できる。

 

現在(5/17/2014)公開中
オススメ★★★★★

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  灼熱の魂

 

 1年近く前まだレンタル屋で働いていた頃、お客さんに「凄い」と勧められてスルーしていた。ところが「プリズナーズ」の監督ドゥニヴィルヌーヴ知るために見たら、冒頭からその才能を確信。人の言うことは聞かんといけませんね。母の遺言に従って、その故国を訪ね、足跡を追う双子が主人公。ただしその故国がどこかは見ていて分からない(内戦当時のレバノンらしい)。

 

 その傾向は「プリズナーズ」「渦」にも通じていて、時代は判るけど、何処かを明確にしないのがこの人の特徴なのかも。チャプター形式で物語が進行、出てくる文字の感じは「ヴァルハラ・ライジング」を思い起こさせる。ニコラス・ウィンディング・レフンとこの人と、今後若者の支持を集めていくのかもしれない。ま、意味不明な「オンリー・ゴッド」など好きな人いそうだもんな。

 

 内容は紛争地域の実態、宗教対立が何を生むかが淡々と、その独特の画の中で語られていく。「サラエボの花」「あなたになら言える秘密のこと」の要素もあるけど、「ウェルカム・トゥ・サラエボ」すら回避した残酷なシーンには思わず「ひでぇ」と呟くことになる。宗教の対立によって人々はどんなに酷いことでもしてしまうのか?年端もいかない女の子を射殺できるものかね。

 

 「ミラル」とか「もうひとりの息子」などに負けず劣らずの出来栄えで、この題材に挑んでいる監督は並じゃない。双子が辿りついた結末に慄然とさせられる。弛緩する部分、笑いの要素もなく、ひたすらその独特の語り口を貫くこの人は、今後注目の監督となり、「複製された男」も楽しみだ。なお余すところなく冷静に描く人だけに、廊下にまでベットが置かれているカナダの病院は「みなさん、さようなら」とご同様。
オススメ★★★★☆

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