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ニンフォマニアック Vol.1

ニンフォマニアック Vol.1   ニンフォマニアック Vol.1

 

 ラース・フォン・トリアーは「ダンサー・イン・ザ・ダーク」がダメだったので、そっぽを向いていた監督。でも感性が全てのセミプロ・ミュージシャン(ギタリスト)の仕事仲間は「奇跡の海」から見逃さない、と断言していたのはもう10年以上前だ。「アンチクライスト」も「メランコリア」もすっ飛ばして、なんで観に行く気になったのか?それはキャストの豪華さに目がくらんだからかもしれない。

 

 シャルロット・ゲンズブール、シャイア・ラブーフ、ステラン・スカルスガルド、ユマ・サーマンにクリスチャン・スレイターなどなど。シャルロットは「恋愛睡眠のすすめ」以来お見限りで、女優に関しては自分が浮気症なのがよく分かる。今のところメラニー・ロランがお気に入りだが、そのうちにルーニー・マーラ(「her/世界でひとつの彼女」)かタイッサ・ファーミガ(「記憶探偵と鍵のかかった少女」)になりそう。

 

 久方ぶりのシャルロットは鼻血出して路地裏に横たわっている。「君と歩く世界」マリオン・コティヤールもですけれど、欧州の女優さんは必要とあらばなんでもやっちゃうのね。「アンナ・オズ」とか「ぼくの妻はシャルロット・ゲンズブール」の可愛らしい彼女が・・・。で、ステラン扮する紳士風の男に拾われて、彼の部屋で披瀝する“私の性遍歴”は、観ているコチラをもっと“あんぐり”させてくれる。

 

 ヤリ(英語でbitch、訳すとアバズレ)女の年代記と言えばそれまでなんだけど、人の性遍歴は往々にして笑えます。直近で「ドン・ジョン」がありますが、ジョセフ・ゴードン=レヴィットの着眼点は間違ってなかったわけだ。感動作とか実話を元にした作品とかに飽きてきて、万人に共通するテーマを選んでいったらココに落ち着くのかも。
それにしても若き日のジョーを演じるステイシー・マーティンの露出度は凄いなぁ(エヴァ・グリーンに近い印象)。

 

 「アデル、ブルーは熱い色」なども“衝撃的”とか“赤裸々な”と評される性描写ですけれど、中年には効果がない。むしろ見せない方がい“イヤラシイ”場合があって、「とらわれて夏」なんて良く出来ておりましたよ。ですから、殆どのエロ場面が可笑しくて仕方ない。むしろあんなにヤリまくって忙しくないのかな?ご飯食べてる時間あるのかな?などと思ってしまう。

 

 で、乱れた性習慣には修羅場が待っていて、亭主とられたユマ・サーマンが乗り込んでくるシーンは含み笑い。「友だちのうちはどこ?」みたいな煩わしさも込みでなかなか印象的。「キル・ビルvol.2」のユマも「スマイル・アゲイン」とかでお母さん役です。ま、世の中には“浮気相手で満足”という女性がいることを「存在の耐えられない軽さ」でレナ・オリンが演じましたが、家庭的な人にそんなことは通用しない。

 

 ただ笑える性遍歴とその考察だけでは終わらず、きちんと家族のことを描いているのでコメディと片付けられないのが本作の魅力。あの「忘れられない人」で内気な青年だったクリスチャン・スレイターも、「海が飛ぶ夢」のハビエル・バルデムに負けてません。「みなさん、さようなら。」とか「突然、みんなが恋しくて」みたいな役を演じるようになったんだなぁ。

 

 それにしても相変わらずボカシに関しては困りますよホントに。男性性器が次々に映し出されて大爆笑必至のはずが、「おいおい、見えないじゃないか」になってしまう。子供が見に来ているわけでもないのに、何のための年齢制限か。「愛のめぐりあい」では論争で、「ぼくのエリ200歳の少女」「モールス」で触れてますけど大問題です。AV世界一というくらいスケベ映像を産出し続けている国のくせに・・・。

 

 冒頭のKMFDM-っぽい楽曲はちょっと「ワイルド・アット・ハート」を思い出させてニンマリ。2部構成は「キル・ビル」とか「マクロス・フロンティア」もやってたけど、vol.2はまず間違いなく観に行くことになる。観賞後に川崎の街を歩いていると、ココで描かれていることの方が、よっぽどマトモに感じられる。蒙を啓いてくれたと言うと大げさだけど、帰宅して見た「コンタクト」も再発見できたし監督に感謝。

 

現在(10/11/2014)公開中
オススメ★★★★☆

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関連作

  アンチクライスト

 

 愛する我が子を失った哀しみから再生する物語だと思ったら、観賞が苦行になってしまうラース・フォン・トリアーらしい1本。ま、「ニンフォマニアックvol.1」が珍しいわけで彼のファンでないと・・・、だからこの人は映画作家なのかもね。シャルロット・ゲンズブールは恐ろしいくらいになりきっていて、夫役のウィレム・デフォーがまともな我々の領域に留まっている。

 

 精神を病んだ人を見舞い客の視点で描いたものは多々あれど、監督の実体験なのか実に生々しい。ヘンリー・カーターが診ている患者は常識の範囲内。狂気に陥るとはこういう事かとも解釈できるし、キリスト教徒だともっと理解しやすいのか?まあ、反発があって当然で、センセーショナルなので宣伝材料にもなるでしょう。でもラストに捧げられている映画監督の名前を見て、腑に落ちたりするんだよね。
オススメ★★★☆☆

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  キル・ビル Vol.2

 

 血の雨がドバドバ降ったvol.1とは趣が180°違う、劇場観賞を見送って大損した2部作完結編。チャプター形式で描かれている共通項に加えて、「アンチクライスト」と同じくとにかく痛そうなんだよね。クェンティン・タランティーノは暴力描写に手を抜かない。そしてビルが語るアメコミのうんちくは、さすが元ビデオ屋店員などとニンマリしてしまう。

 

 後の「イングロリアス・バスターズ」にも通じる会話劇はこの人の特徴で、美に昇華する惨劇のための下地といったところか。「パルプフィクション」から観ているワリにはこの人の実力はまだ分かってないな、と10年ぶりに再見してつくづく思い知らされる。個性的だという点ではラース・フォン・トリアーに一歩も譲らない映画作家ですよ。「ニンフォマニアックvol.1」のオバサンぽさが微塵もない、若い母にして凄腕の殺し屋に体当たりのユマ・サーマンは美しい。
オススメ★★★★☆

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