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誰よりも狙われた男

   誰よりも狙われた男

 

 海老名から鴨居に移動して、15:45に終映となる「グレース・オブ・モナコ 公妃の切り札」からすぐ次の劇場にダッシュ(上映開始が同時刻なの)。クタクタになりそうなのに、眠気も襲わず退屈なんて微塵もしない、地味系スパイ映画で3本立ての本日は終わる・・・わけではなく帰ってからティム・ロスが出演しているおかげで発見した、エリック・ロシャン監督の「メビウス」というお楽しみが待っている。

 

 ショッピング・モール(ららぽーと)では、アイドルのショーが開催されてたり賑やかなんだけど、この手のミニシアター系は地方都市のシネコンが穴場。「プロミスト・ランド」の時はシャンテに行くなんて書いてるけど、公開2日目に空いてるわけないもんね。インターネットのおかげで、離れた場所での3本立てというのが可能でもあり、電車の乗り継ぎなんかも込みで、映画観賞を満喫ってところでしょうか。

 

 さて、今年の2月に突然亡くなってしまったフィリップ・シーモア・ホフマン。元ビデオ屋なもので“埃かぶっていた品をほじくり返してきて、無理やり追悼作品として儲けるのか?”と疑っていましたけど、まるで違います。正真正銘、彼の遺作として文句なしの傑作です。監督のアントン・コルベインは「ラスト・ターゲット」より「コントロール」の方が好きなんだけど、インディ系らしさが素晴らしい。

 

 「哀しみのスパイ」で監督のエリック・ロシャンは「ジョン・ル・カレの小説のような作品にしたかった」と語っていますが(パンフレットに書いてありました)、本家ですからね。また「裏切りのサーカス」はヒットしましたけど、好みからすれば私めの場合本作になります。だってレイチェル・マクアダムスも、ウィレム・デフォーも、ロビン・ライト(「ハウス・オブ・カード」)も出ているし。 

 

 更に脇でニーナ・ホスがいい感じなのだ、彼女の「東ベルリンから来た女」が見たくなったし、ダニエル・ブリュールの控えめさは得難い。ニキ・ラウダまで演じてしまうのに、テロ対策チームの一員として画面の隅に収まっちゃう。地味といえば主演のフィリップからしてそうで、ギリシア出身のCIAエージェントとも、イーサン・ハントの前に立ちふさがる悪党のボスとも違う。

 

 「ヨルムンガンド/PERFECT ORDER」のブックマンが近いようにも見えるけれど、フィリップ演じるバッハマンという男は手段を選ばない割に、私欲が極端に少ない(呑んで、吸ってを繰り返すけど)。任務遂行のため当然ながら、情報源に対しては細心の注意を払っている。それは苦い過去を持つ男ゆえ。「フェアゲーム」でも触れられましたが、エージェントから見放されたら情報提供者は消されてしまう。

 

 ドイツの憲法に抵触する任務を遂行する以上、バッハマンが率いているテロ対策チームは法的に存在しない。「ナイロビの蜂」も書いてるジョン・ル・カレだけに設定は手抜きなし、“イスラム教徒は頼ってきた人を見捨てない”こともきちんと物語に盛り込んでいる。昨今読んでいる一神教と国家 イスラーム、キリスト教、ユダヤ教 と合致するので、間違った描写ではないはず。

 

 9.11以後テロリストの手口は巧妙になり、故のない差別は蔓延、金融機関のいい加減さは浮き掘りになり、世も末になってきている21世紀。でもこれが今我々が生きている世界で、嫌だけど見せつけられた方がむしろ安心する。テロリストに対抗するチームもテクノロジーを駆使して、行く宛のない人を助けようとする弁護士まで脅して、虎視眈々とターゲットに迫るけど、説得力あります。

 

 そんな中で情報源を活かして使うスパイはまだマシなのかもしれない。原題の“most wanted man”は邦題の通りに訳せるけど、“非情な世界で求められている男”と勝手に解釈。バッハマンが最後に放つ、怒りの咆哮に涙してしまう。彼のようなエージェントがいたら、「ブローン・アパート」のような悲劇はなかったのか?それとも繰り返されるのか?

 

現在(10/18/2014)公開中
オススメ★★★★★

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  ブローン・アパート

 

 ミッシェル・ウィリアムズが「ランド・オブ・プレンティ」以来関わっている題材=9.11というのは考え過ぎかもしれないけど、2作を並行してご覧になってみてはいかがでしょう。少女を演じた方では傷ついた人々を癒す側で、母を演じる年齢になると悲しみと共に生きる姿は痛々しい。浮気の最中に息子と夫がテロによってこの世を去ってしまうとは、悔やまれて仕方がない。

 

 「彼が二度愛したS」のすぐ後でユアン・マクレガーと共演しているのが興味深い。ユアンがワリと軟派な男を演じるのは珍しいと思っていたら、それが変貌する後半のため。彼が演じる浮気相手はゴシップ記事を書いているジャーナリストだけど、テロに遭遇して記者魂に火がつく。当事者や警察関係者の次に事実に近づけるのは彼ら。ただし、知っていることを公表できるかが・・・。

 

 “テロとの戦いは情報戦だ”はけっこう、“警告して国中がパニックになるのを防ぐため”も抗弁として成立するかもしれない。でも死者は帰ってこない、残された者は背負って生きていくしかない「誰よりも狙われた男」のバッハマンでも未然に防げなければ、許してはもらえないだろう。また爆破されるのは何もサッカー場に限ったことではなく(「ダークナイト・ライジング」)、我が国では地下鉄でテロ=無差別殺人が起こっている。こんな21世紀なのに、情報統制して、マスコミを抑圧していられる日本はまだ平和なのかもしれない。

オススメ★★★★☆ 

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