キック・アス/ジャスティス・フォーエバー
2010年に「キック・アス」で衝撃のデビューを飾ったヒットガール。主役のアーロン・テイラー=ジョンソンより、クロエ・グレース・モレッツちゃんに釘付けになった。彼女は成長と共に知名度アップ、吸血鬼になったり、夢見る文学少女に変身したかと思えば、不死身のバーナバス・コリンズに「我が家に娼婦がおるではないか」などと言われたり。
現実でもフィクションの中でも、“女の子にこそ希望がある21世紀”は当たり前で、彼女たちが軸で男の子達は脇に回っている。でも脇役こそ映画俳優の醍醐味で、「野蛮なやつら/SAVAGES」では主役ですけれど、ヒットガールを奮い立たせる役回りはアーロンならでは。肉体改造も気合が入っていて、服を着ててもガッチリした体型がありありと分かる。ジョン・レノンにもなる役者根性の人。
そして強力な2人のヒーローに対抗するのがクリストファー・ミンツ=プラッセで、亡き父(マーク・ストロングだったんだよねぇ)の悪どさを薄めず、笑いも同時にとっている。前回はコスプレするとレッド・ミストながら、今回はあなた“マザー・ファッカー”ですよ、手下に扮したジョン・レグイザモも「俺の名を言え」と迫られて、「それだけは勘弁」なんて逃げ腰だったし(ジョンもアメコミ経験あるんだよね)。
スタッフもお色直しされていて、監督はマシュー・ヴォーンからジェフ・ワドロウにバトン・タッチ。この人の「ネバー・バックダウン」は未見だけど、格闘物が得意なのかな?バタフライ・ナイフで悪党を串刺しが前作だったけど、今回は殴る蹴るのアクションが際立つ。なんと誰だか見当もつかないマッチョ姿で、ジム・キャリーが出ているではありませんか。
で、パート2はキャストも予算も増えて派手になるのは定番。でも新キャラは出過ぎず駒に徹していて、ポイントはあくまでキック・アスとヒットガールの成長に絞られている。方や新しい彼女=ナイト・ビッチができて、精悍さが増してくる。惚れ惚れする筋肉美で、演じるリンディ・ブースは本作最大の収穫。方やお年頃の娘に変身で、クロエは透明感すら漂わせる女子高生。
ところがフツーの高校生は無理なのがヒットガールで、学校の意地悪グループにハメられた仕返しに、対暴動鎮圧用“ゲロゲリ棒”をお見舞。「スタンド・バイ・ミー」でも吹き出すゲロが圧巻でしたけれど、下の方もとなると爆笑。このシリーズの持ち味は健在で、悪役の名前も、家でキック・アスが着ているTシャツに“I hate reboots:リブート大嫌い”と書いてあったり、このくらいしてくれないと。
「スーパー!」みたいなコスプレさんが大挙して出てきて、物語が拡散するかと思いきやキック・アス&ヒットガールVSマザー・ファッカーの壮絶な戦いに収束していく。オチは笑いながら、流れは王道で、それぞれ映画を背負える実力者に3年でなった、ぜひご覧になってご確認を。バイクに乗って颯爽と走り去る、ヒットガールは刻みつけられる。「アイ・アム・ナンバー4」、「ドラゴン・タトゥーの女」しかりです。でも「プレイス・ビヨンド・ザ・パインズ/宿命」だけは負けてないけどね。
現在(3/2/2014)公開中
オススメ★★★★☆
関連作
“ついに映画館も死んだな”と思えるスポ根映画の傑作。「これをレンタル屋ストレートにしてしまうのは、関係者の怠慢だ」っていうのは意地悪だけど劇場で拝みたかった。ボクシングではなく、総合格闘技を高校生が繰り広げる。ジーナ・カラーノ嬢もそうらしいけど、プロレスは高度な演劇なのだ。一昨日「パシフィック・リム」に握りこぶしで燃え上がったが、たまりません。いいトシこいてなんだけど、、定番の盛り上がる試合ではなく場外乱闘のところで絶叫。「おい、外でスゲェ事してるぜ」でみんなすっ飛んでいく。
エリック・バナ(「ハルク」)とトム・クルーズを合わせたような美貌の若者ショーン・ファリス、中田英寿の最上級顔をしている敵役カム・ジカンデイ、この辺りをチェックしとかないと。彼女役のアンバー・ハードは「ラム・ダイアリー」で知名度は上がっているし、「マチェーテ・キルズ」が楽しみになってきた。監督ジェフ・ワドロウの今世紀に適した描写はどうだ。「小悪魔はなぜモテる?!」でネットの使い方は恐ろしく限定的だったが、これですよ。もはや古臭いものしか映さないTVではなく、YouTUBEで若者は情報を得ているのは当たり前なのだ。
kanye
westのstrongerを入場行進に使用したりと今の感覚は頼もしく、ジャイモン・フンスー(「コンスタンテイン」)とレスリー・ホープを出演させてくれたのは嬉しい限り。白髪交じりのヒゲがアクセントのジャイモン演じる師匠がまたカッコ良いのだ。レスリーは昨今「メンタリスト」が良かったけど、「メン・アット・ワーク」はもう一度見たいなぁ。「ベストキッド」などの格闘要素だけでなく、主人公の弟の部分は「ボビー・フィッシャーを探して」みたいだし、街の空撮は絶品だ。「キック・アス/ジャスティス・フォーエバー」がイントロで、こちらが本命になっちゃった。
オススメ★★★★★