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黒執事 Book of Murder 下巻

  黒執事 Book of Murder 下巻

 

 上巻を観たのが9日前で、今度は川崎までやって来て観賞。道中の車内では昨日発表された解散総選挙の新聞の見出しも目を引くが、映画好きに重大なのは高倉健さんの訃報。もっとも劇場観賞したのは「鉄道員」、「ホタル」のみだから知った風なことは慎まなくては。もっと観ておけばという残念な気持ちと、大丈夫じっくり見ていける数のタイトルがあるんだから、などと自分を納得させたりして。

 

 意味不明にしか思えない解散総選挙はどれだけ考えたって仕方ない、せいぜい誤った候補者を選ばないように心掛ければ良いのだ。第一に選挙カーを走らせる人、原子力発電再稼働、集団的自衛権、特定秘密保護法に与した人を除けばグッと減るし、最優先事項に経済より原子力発電所事故収束、震災復興を掲げている人が私めの選考基準。あとはメディアのお喋りを無視して投票するだけ(「選挙」をぜひ)。

 

 さて黄昏れムード著しい日本より、とっくに枯れてた大英帝国。とは言ってもシエルとセバスチャンが生きた19世紀後半は、支配が世界各地におよび、ドイツが国としての体裁を整い始めている時期。古い国だが、先進国の意地もあるし、奴隷貿易は割に合わないからさっさと廃止。もちろん名探偵が出現してもいる。

 

 和製ゴシックアニメなんだけど、設定に手を抜いていないからこそハマリこんで2年が経過。前回は死ぬはずのないセバスチャンが死体で発見されて、閉じ込められた面々はその後どうなるのか?で幕になった。序章だからおとなしめで、ギャグも控えめ。これが下巻のための準備運動で、炸裂していましたね本来の持ち味が。とっ捕まった牧師のジェレミーはもう途中から、セバスチャンの変装だってバレバレ。

 

 ただし声が化けてんだよね。小野大輔は「009 RE:CYBORG」のジェット・リンクと「宇宙戦艦ヤマト2199」の古代進と同じ人が担当しているとは思えない。で、ジェレミーという役名はニヤニヤですよ。TVでやってた「シャーロック・ホームズ」の主演俳優ジェレミー・ブレットから頂いちゃってるわけでしょ、ソックリだったもん。この遊び感覚がたまらない。

 

 で、名探偵モノにつきものの、例のクドクド説明するタネ明かしが始まると、シエル&セバスチャンの陰険漫才がスタートする。なんで死体のふりしたセバスチャンが濡れていたってところは笑えるし、生真面目なアーサー君を前にして、悪意にまみれた裏社会の番犬が、その本性を顕にする様こそ黒執事らしさ。執事と主人だった場合、シエルのダークな面が際立たないから、作家志望の若者は絶妙な配置。

 

 いちおう英文科でしたから、推理小説の国とは老人の国なのだと教わった記憶がある。狡猾で老練な女王との腹の探り合い、騙し合いこそ舞台を大英帝国にした甲斐ありです。他にも出てきてほしいレギュラーいたんだけど、「鳴ったの初めて・・・」のアンダーテイカーで止めておかないと収拾つかないもんね。引き続き「黒執事 Book of Circus」のDVDリリースが楽しみになってきたし、ファンサービスに徹した優れものでした。

 

現在(11/19/2014)公開中
オススメ★★★★☆

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 アカデミー賞も獲得しているロバート・アルトマンのミステリーを「黒執事 Book of Murder 下巻」の関連作として挙げるとなると、映画通からは怒られるかもしれない。でも若い人には英国貴族を皮肉も込めて描いているので参考になるでしょう。英国の館とか風景とか、はっきりと主従が分かれていたり、仮面の下には、生々しい人間の本性が隠されていたり。時は1932年ですから、シエルの頃より今に近い。

 

 遺作「今宵フィッツジェラルド劇場で」まで継続するアルトマンのスタイルは絶品だ。クドクド犯人暴露がなされなくとも、観客は信じられないほど印象的な群像劇の中に、その愛憎の目撃者となる。集った面々が本物の館で遭遇する殺人事件、よく見なくとも、誰にアリバイがあって、誰が怪しいかはだいたい予想できる。そして結末は・・・、絶対触れられないんだよね、傑作だと唸ってしまうラストに至るまで。

 

 アルトマンのファンにとってはアカデミー賞も獲ったし、毒は控えめに映るかもしれないけど、英国貴族の様は辛辣に描かれている。使用人に無慈悲なことはしないけど、笑っちゃうほど能なし。セバスチャンがシエルに対してやらかす意地悪は、本作におけるアルトマンの視線でもある。それにしても豪華な面々で、出演者は主役級(それぞれに触れると長くなりますので割愛)。もちろん現在も経年熟成中。
オススメ★★★★★

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