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ジャージー・ボーイズ

  ジャージー・ボーイズ

 

 “君の瞳に恋してる”はすぐに「陰謀のセオリー」を思い出させてくれる曲で、「恋のゆくえ」でもミシェル・ファイファーが歌っていたような。カバーは幾つか聴いてきて、Pet Shop BoysがU2の“Where the streets have no name”と合体させたものはなかなかです。現在スマート・フォンの中に収まっているのはThe Boys Town Gang、山中千尋、Q;indivi、Fried Pride版で、本作の予告を見て聴きまくり。

 

 オリジナルを歌ったフォーシ・シーズンズを描いているのだから、その点でも気になる。さらにクリント・イーストウッド監督作なんだから、行くしかない。この人は野球映画は撮ってこなかったけど、音楽映画はキャリアのそこかしこに見受けられる。チャーリー・パーカーの伝記カントリー・シンガーの感動作。確かにDJが主人公のデビュー作は、後の変態趣味の原型ながら、今回は文句なしの直球感動作。

 

 出演だけの「人生の特等席」と監督作「J・エドガー」は2012年で、昨年はこの人の映画に接しませんでしたが、あまり待たされた気にはならない。むしろこの人から比べたら“若造の作品”を観てきて、映画の底力を再確認できる。ウディ・アレンなどは「ブルージャスミン」を監督後に出演した「ジゴロ・イン・ニューヨーク」があるし、もっと撮って頂きたい。北野武はご無沙汰だし、もう無理かもしれないからね。

 

 健在ぶりは冒頭でハッキリするんだけど、夜に店に忍び込んで金庫をかっぱらう部分で唸ってしまう。照明の加減から何から、ちゃんと当時の外灯が照らしたであろう“暗さ”を背景にフィルムっぽいというか、ハイヴィジョンに慣れた目にとっては“ああ、映画観てんなオレ”と気づかせてくれる。時代劇なんだけど“再現してます”という押し売りっぽさがない。「最後のマイ・ウェイ」を見たから余計にそう感じるのかも。

 

 異常な公務員エドガー・フーバーを、涼しい顔で映画にしてしまう巨匠は遠慮なしに伝説のグループもその過去から丁寧に描いていく。芸で身を立てていく人たちに品行方正さは嘘っぽく、刑務所の常連みたいなのがリーダーのトミー。前科もので地元の顔役とも仲良し。顔役ジップがクリストファー・ウォーケンなんだけど、この人も健在だよなぁ「25年目の弦楽四重奏」もなかなかでしたけど。

 

 顔役やトミーに大事にされているのがフランキー・ヴァリ。この人の声がなかったらフォー・シーズンズも成立しなくて、後に作曲も担当のボブが合流するとバンドとしての体裁が整い始める。タイトルがジャージー・ボーイズというくらいで、後にかの地は「コップランド」で描かれますが、大都会ニューヨークがすぐ近くにあるのに貧しい。「ブロンクス物語」に似た感じで街を仕切っているのがイタリア系。

 

 でもイーストウッド作品でマフィアを描いたものってあったっけ?逆の側はいっぱいやったけど、“新しいもの”に挑戦し続けている最中なのはさすがの84歳。で、音楽業界を描くのはお手の物だし、このグループと同時代を生きてきたんだから、批評家も突っ込みようがないでしょう。あのTVドラマに映る自分をカメオ出演させたりして。サクセスの部分などはパターン通り。

 

 ただ主人公のフランキーが本作のキモで、金でもめて空中分解はバンドのよくある話なんだけど、ダチの借金返済のためにドサ周りするんだよねぇ。で、返済済んでホッとしたら娘が・・・。外に女を作ってるミュージシャンと言えども、娘への愛情は不変。友情とともに家族の絆をキッチリ込めてのストレートな感動作。あの“君の瞳に恋してる”の背景にあるエピソードは、ぜひご覧になってご確認を。

 

 もうさぁ、巨匠の健在ぶりを確認じゃなく、素晴らしくてこの人亡くなったら映画館に行く気になれるんだろうか?とハラハラですよ。今後は“君の瞳に恋してる”はカバーも含めて聴いた途端に泣きそう、「ライク・サムワン・イン・ラブ」を聴くと笑いがこみ上げてくるみたいにさ。音楽映画のベストを拝ませてもらったので、次は何で来るのか今から楽しみ。それにしてもジョー・ペシ(「いとこのビニー」)が関係していたとは驚いたなぁ。彼は時代記号としても重要、特にボーリング場のトコとか。

 

現在(9/27/2014)公開中
オススメ★★★★★

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  最後のマイ・ウェイ

 

 てっきりフランク・シナトラの代表曲だけに、彼のオリジナルかと思いきや、書いたのはフランス人、しかもアイドル歌手(の原型)ってのは驚き。“マイ・ウェイ”は現在46歳のオッサンが若い頃、“中年たちに愛好されていた歌”という認識がある。「グッドフェローズ」のエンディングに聴こえてくる、シド・ヴィシャス版は異色ながら、今でもディナーショウの定番なのかな?

 

 ただこの作品は生みの親=クロード・フランソワの生涯を丁寧に追っていて、名曲誕生秘話はその一部に過ぎない。ま、音楽家の典型的な人生かもしれなくて、この人も父親を怖がっている。フランス映画ながらエジプトからお話はスタート、エディット・ピアフのようにドン底からではないものの、恵まれた環境がお国の事情で雲散霧消。そこから苦労を重ねながらのし上がっていく。美容整形もその一部で、大人の国フランスにだってバッチリ、キャーキャーと追いかけられるアイドルは実在したのだ。

 

 クロードを演じるジェレミー・レニエは初めて見る顔だなぁというのは間違いで、「約束の葡萄畑 あるワイン醸造家の物語」の主演だったし、「ジェヴォーダンの獣」「ヒットマンズ・レクイエム」など観てはいたけど思い出せなかった。彼よりあっと驚かされたのがブノア・マジメルで、「クリムゾン・リバー2 黙示録の天使たち」のハンサムもでっぷりと太っての役作り。どっちかって言うと、キャスティング逆の方がとも思うのは素人か?

 

 名曲誕生の瞬間は実にアッサリで、「ドアーズ」でも“ハートに火をつけて”が「ええっ、あのイントロってそんな感じで出てきたの?」というくらい。世界的ヒットに導いたシナトラとこの人の遭遇の仕方は時代記号だね、プライベートの全てを暴かないのと同様に。クライマックスではないけど、ロンドンのロイヤル・アルバートホールで熱唱されるマイ・ウェイは聴き応えあり。
オススメ★★★★☆ 

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