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エヴァの告白

  エヴァの告白

 

 多民族国家であるアメリカ合衆国には人種と同様に、多種多様な不正や差別が存在する。描いた作品は星の数ほどあって、枚挙にいとまがない。現代であれば食の安全環境大企業に関することなどなど。歴史をたどって差別も映画はキッチリ刻む。また自らのしてきたことを悔いて、よそ様の国に乗り込んでゲリラ撮影する人だっている。

 

 ただ隠蔽しようとする圧力の強い我が国と違って、この“明らかにせねば”という根性と、それを支える人々がいるあの国にはまだ救いがある。残念ながら我が国はエライ人たちの隠蔽体質と、目を背ける努力に励む大多数という相互作用によって、報道の自由度ランキングは下がってしまった。ま、もはや報道と言ったってどこまでが本物か?の区別すらつかないけどね(我が国の移民事情は「孤独なツバメたち」を参考までに)。

 

 さて、残しておかなければならない歴史の1ページに挑んだ映画監督がジェームズ・グレイ。この人は現代ニューヨークをその独自の視点で描いてきて、「裏切り者」「アンダー・カヴァー」「トゥー・ラバーズ」を家で観賞とずいぶん損をしてきた。よって「ザ・マスター」のポール・トーマス・アンダーソンと同じく劇場で観られるのは嬉しい限り。

 

 主演の3人もお気に入りの面々で、マリオン・コティヤールホアキン・フェニックスジェレミー・レナーの取合せは旬だし、絶妙でしょう。マリオンは昨年の「君と歩く世界」でますますお気に入りになってきちゃった。メラニー・ロランがワシにとって映画祭優先事項なんだけど・・・。ホアキンはなにせジェームズ・グレイ作品では欠かせない存在だし、そこにジェレミーが加わってどんな化学反応が起こるのか。

 

 時は1920年代の合衆国はニューヨーク。地方では人種差別が色濃く残り、文化の中心は花の都ずっと先に来ていた移民元いた人々を騙したりして君臨。後から来る人々を簡単に入国させない。これは犯罪や病気の発生を防ぐタメでもあるので、悪事ではない。それにしても移民への扱いは、とても21世紀には人道的とは呼ばれないもの。

 

 ポーランドから命からがら叔母を頼りにやってきたエヴァとその妹。ところが病気のため入国できたのは、マリオン扮するエヴァだけ。入国を手助けしたのがホアキン演じるブルーノなんだけど、明らかに胡散臭い。当然“手助けしてやったんだから”をネタに酷いことを要求するに違いない・・・。でもこの辺は監督の手腕なのか、実態をよく調べたのか“奈落の底に落ちる”様が定型的に描かれないんだよね。

 

 禁酒法の時代でもあるけど、そちらの描写は控えめ。“持たざる者が手を染める商売”と底辺で生きる人々を、可能な限り悲劇性を排して捉えている。我々観客は歴史の1ページに遭遇しているのだ、と思わずにはいられない。途中からジェレミーも出てくるけれど、現実はああだったんじゃあ?という説得力がある。マジシャンが移民の慰問をしたりと実態なんでしょう。

 

 「大統領の執事の涙」の原題が“The Butler:その執事”だったように、コチラは“The Immigrant:その移民”。実話を元にしなくても、実際にあったであろう数ある物語の一つを、地元の歴史として描いたジェームズ・グレイは実力者。そして全篇画面に釘付けにしてくれたのは撮影監督ダリウス・コンジの手腕です。「セブン」「ナインスゲート」「ローマでアモーレ」を担当してきた実力派カメラマンも、マリオンにメロメロ。美しかったです、彼女。

 

現在(2/23/2014)公開中
オススメ★★★★☆

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  君のいないサマーデイズ

 

 出演作は見たことがあるけれど(「ヴィドック」「フェアウェルさらば哀しみのスパイ」)、監督作を拝むのが初めてのギョーム・カネ。なんとダイアン・クルーガー(「ミシェル・ヴァイヨン」)が前妻で、マリオン・コティヤールと仲良しとは・・・。シャルロット・ゲンズブール(「21g」)の旦那であるイヴァン・アタルも許しがたいけれど、監督の才能あるんだから・・・まったくもう。

 

 フランスの群像劇は「クリスマス・ストーリー」くらいしか思い当たりませんが、コレはバカンスを彼らがどう過ごすかも垣間見られる。流れるように進行するロバート・アルトマンの「今宵フィッツ・ジェラルド劇場で」とは趣が違って、腰を据えてご覧になるのが向いています。交通事故で仲間の一人が入院、皆が見舞いに来る様子は「みなさん、さようなら」に似ている。

 

 “心配だけど、病院にいることだし”と自分たちを納得させて、バカンスに出発する一行。ところが展開は「彼女が消えた浜辺」のようになって・・・。出演者中マリオンと「最強のふたり」のフランソワ・クリュゼと「クリムゾンリバー2」のブノワ・マジメルくらいしか識別できないけれど楽しませてくれます。フランソワとブノワなんかかなりマジに笑いとってる。

 

 よく言えば“恋多き女”なんですけれど、本作のマリオン・コティヤールはヤリ。外国産だとお姫様扱いされるフランス女優ながら、本国産だと積極的。バカンスですから、楽しいこともあるけれど、モメ事も起こるし・・・が群像劇の魅力。そしてラストはフランス映画っぽいような、そうでないような、ぜひご覧になってご確認を。英国産の「フォーウェディング」が近い気がします。
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