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フルートベール駅で

  フルートベール駅で

 

 もうどんどん偏屈になっているみたいで、TV、新聞からは目を背けながら生活している。作品選択は劇場の予告編、インターネットばかり。でもそんな風に暮らしているのに、行きの電車で隣の人が読んでいる新聞を覗いたりして(勝手なものだ)。気になった見出しは“フィルムにこだわる男、ベン・スティラー”。ああ、やはり「LIFE! 」はそうだっのねと、的外れなこと書いてないことに安心。

 

 本作も“ああ、オレってフィルムの感触が好きなんだな”と気づかせてくれる画が続いてホッとした。でももちろん描かれている事実に心和む要素はない。「ワンダーランド駅で」が好きだったが、あれは音楽映画にして恋愛未満の物語。本作は21世紀の現実を直視していて、シリアスそのものだ。インディペンデント・スピリット賞ならではの1本だし、フォレスト・ウィテカーが製作なのも当然という気がする。

 

 冒頭にビデオ撮影された衝撃的瞬間が映し出されて、物語が始まる。ただこの事実を全く知らなかった自分に驚く。マスコミから目を背けると、心安らかに暮らせるけれど、自分が立っている位置を見失う。慌てて「エンド・オブ・ウォッチ」で補完するんだけど、合衆国の人種差別は根強くて、より深く見えにくくなっている。そして末期症状の資本主義が拍車をかけている。

 

 警官に殺害されたオスカー・グラント、最後の一日を描く本作には、我々の隣人が映し出されている。IT機器に囲まれていても、大晦日でも働かなければならないくらい生活は苦しい。「BIUTIFUL ビューティフル」にも「幸せのちから」にも映し出される底辺層の暮らしは人事ではない。前科があるし、遅刻すればスーパーの仕事だって解雇されてしまう。

 

 ただ店員としての彼は決して悪くないんじゃ?と客商売をしてきたオッサンは思います。魚料理で困っている美人に、助け舟を出すシーンは日常的でなければ。おばあちゃんにまで電話したり、お気に入りの1場面です。ワシもよく店でお節介したし。どうしてもショッピング・モールで形式的にモノを買って、良く似た笑顔の人々とは・・・カドが立つな。

 

 美人がてっきりブリット・マーリングかと思いきや、アナ・オライリー。履歴を漁ると「スティーブ・ジョブズ」がヒット、「ヘルプ〜心がつなぐストーリー〜」にも出ているそうだけど、あのバービーちゃん人形軍団の一員だったのかな?なお、ブリットの「アナザー・プラネット」に本作の感触は近いので、よろしかったらぜひどうぞ。合衆国の若いフィルムメーカーは次から次へと才能が出てきますな。

 

 この映画はそれほど主張をタイトにせず、過度に“〜が悪い”に傾斜していない。むしろ観客に投げかけていて、“もし最後の悲劇がなかったら、家族の絆を描いた日常の秀作”と思わせる。母親役のオクタヴィア・スペンサーは、オスカー受賞歴が伊達じゃなくさすが。警官役だから悪い人なんだけど、ケヴィン・デュランドも印象を残します。彼に関してはぜひ「ダークウォーター〜奪われた水の真実〜」をどうぞ。

 

 「クロニクル」に出演していたマイケル・B・ジョーダンですけれど、代表作を早くも獲得。それは彼女役のメロニー・ディアスもご同様で、「僕らのミライへ逆回転」の娘だったのねとデータで感心。投稿映像が世論を動かす時代、進化するテクノロジーを画面に収めているのは若い人の技。「キック・アス/ジャスティス・フォーエバー」でもメールなどの内容が画面に出てきたけど、こうじゃなきゃ。

 

 柔らかな光線の中描かれる我々の隣人が暮らす日常。大晦日も正月も働いてきた、1年でイヴェントらしきものなんてない。出てくる人々はTVが理想にしている消費者生活とは無縁だ。なればこそ“なぜ、こんなことになってしまったの?”と若者は思って当然です。そして大人は傍観で加担してきた今の世の中を、“修正でもなんでもいいから止めないと、悲劇は繰り返される”と肝に銘じました。

 

現在(3/29/2014)公開中
オススメ★★★★☆

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関連作

  エンド・オブ・ウォッチ

 

 街をパトロールする警察官の実態を、生々しく描き出す実録警察モノ。LAPD は映画になると、たいてい腐敗していて昨年も「L.A. ギャング ストーリー」があった。でも荒れ放題のロサンゼルスが、グレーゾーンに属する警察官を産み出している。冒頭にそれが示されていて、カーチェイスの果てに乗ってた連中を蜂の巣。お前ら戦争に行くのか?という装備でパトカーに乗り込む警官たち。

 

 製作もしているジェイク・ギレンホールとマイケル・ペーニャはパトカー車内で、お巡りさんの日常を熱演。ま、実際のパトカーの中では、あんな会話が交わされてるんでしょう。監督は「フェイクシティ/ある男のルール」のデヴィッド・エアーで、オーソドックスな映画技法を用いずに、グイグイと観客を作品世界に引きずり込む。その辺りはぜひご覧になってご確認を。

 

 人種差別、ドメスティック・バイオレント、人身売買、ギャングの抗争、我々の日常からは想像もつかない地獄絵図。ラストまでハードな展開ですけれど、アナ・ケンドリックちゃんが一服の清涼剤。目にナイフを突き立てられたり、婦人警官でも容赦なく殴りつける犯罪者。そんな中で勤務していて正常でいられるわけがない。だから「フルートベール駅で」に描かれた悲劇が繰り返されるのか・・・。
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