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ジゴロ・イン・ニューヨーク

  ジゴロ・イン・ニューヨーク

 

 お気に入りのミニシアター=日比谷のシャンテでも本作と「複製された男」の2本立てが可能ながら、「太秦ライムライト」を含めた3本立てを楽しむなら、新宿に行くしかない。5:00起床ではるばるやって来るとは酔狂です。でもこのパターンを昨今繰り返していて(「ブルージャスミン」の時など)、結果として新宿という街はオッサンが映画館のハシゴをするのに向いているということか。

 

 で、「天井桟敷のみだらな人々」はDVDレンタルないので未確認、映画監督ジョン・タトゥーロの実力は未知数。もっとも役者としては抜群で、スパイク・リー(「セントアンナの奇跡」)やコーエン兄弟に起用されていて、アダム・サンドラーの作品(「エージェント・ゾーハン」)にも不可欠の人。知名度が高い役はもちろん「トランスフォーマー」のシモンズでしょうか。

 

 「サブウェイ123激突」で出番は少ないものの、ニューヨークを感じさせる人=ジョンという印象を持っている。生粋のニューヨーカーが、地元の大御所ウディ・アレンとポン引き業を始めるという設定は見過ごせません。確か「ミッドナイト・イン・パリ」のパンフレットに、もう“トシだから出演しない”とインタビューで答えていた巨匠、今回は炸裂しています。

 

 監督主演だけに没個性に徹しているジョンが、どんどん地味になっていきそうなくらい本作のウディは面白くて仕方がない。“継いだ本屋を閉めなきゃなんない”は時代記号なれど、商売しなくちゃ生きていけないユダヤ人だけに(一神教と国家 イスラーム、キリスト教、ユダヤ教に書いてありました)、したたかですメゲません。“世界最古の商売”に友人を抱き込むんだけど、いやはや口八丁というか屁理屈で説得しちゃう。

 

 2人のやりとりはさすが海千山千の映画人で、楽しくて仕方がない。気楽に眺めていられるのは監督としてのジョンもなかなかなのです。トム・ハンクスも名だたる監督と仕事をしてきたワリには、気負わず風通しの良い作品(「幸せの教室」)を撮りますが、この人も負けてない。レズビアン相手のポン引き業は「セレブの種」もやってますが、大人相手というのが生々しさを良い具合に削いでいる。

 

 最初のお客さんがシャロン・ストーンで、「氷の微笑」のレッテルは未だ外国産「ラルゴ・ウィンチ/裏切りと陰謀」では有効なれど、既に「ブロークン・フラワー」で払拭されたと(勝手に)思っている。恋人が「マチェーテ・キルズ」のおっぱいマシンガン=ソフィア・ベルガラで、濃いおふたりに挟まれるのがジョン扮するジゴロ=フィオラヴェンデ。ところが3Pの最中に恋に落ちていることを見抜かれちゃう。

 

 フィオラヴェンデの意中の人がヴァネッサ・パラディで、彼女が演じるのは敬虔なユダヤ教徒のアヴィガル。あの“be my baby”を歌っていた娘も、夫を亡くして子沢山で生真面目な大人の女になっているのです。彼女をフィオラヴェンデに引き合わせたのがウディ演じるマレーで、ここにユダヤ人ネタが絡んでくる。イタリア系であるジョンの背景を使うと、デ・ニーロ「ブロンクス物語」もあるし新味は出せない。

 

 “真の愛に目覚める”は「ドン・ジョン」に近いんだけど、そこは大人のジゴロが主人公だけに哀愁が漂って、悪くない都会の映画になっている。脇役で「ムーンライズ・キングダム」でも無造作に出てきたボブ・バラバンが小ギャグ炸裂。そうそう「サード・パーソン」の美女=ロアン・シャバノルがチラッと出てきて美味しかったなぁ。ジャズが小気味よくまぶされ、小粋です、ジョン・タトゥーロの監督作は次も楽しみ。

 

現在(7/19/2014)公開中
オススメ★★★★☆

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 チェスのことを分からなくとも、見応えのある映画は作れる。「ボビー・フィッシャーを探して」がそうだったし、一人の天才を描いたドラマとしてだったら門外漢でも楽しめる。舞台になった北イタリアは風光明媚で、「四つのいのち」とか「ミラノ、愛に生きる」とか、美の保全に関してイタリア人は熱心。手を加えなくとも1920年代の美しさを再現させている。

 

 格調の高さを2人の主演が担っていて、ジョン・タトゥーロは過度な役作りこそしていないけど、明らかに「バートン・フィンク」「ミラーズ・クロッシング」とも違う。エミリー・ワトソンも「奇跡の海」や「ほんとうのジャクリーヌ・デュプレ」など気の毒な役が多かったけど、可憐に映っていて悪くない。印象がヘレナ・ボナム=カーターにちょっと近いんだよね。

 

 ヘレナは後年「英国王のスピーチ」で見守る女王になりますが、本作のエミリーも“チェスを取ったら抜けてます男”を温かく包む。「シャイン」もそうだし、「ビューティフル・マインド」もしかりで才能の人って奥さん大切です。“先の先を読む”というのがチェスの本質で、夢中になると後戻りできない毒そのもの。でもジョンは天才チェスプレーヤーを体現している。
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