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イコライザー

  イコライザー

 

 得体の知れない元CIAはスティーヴン・セガールの十八番だった。リーアム・ニーソン「96時間」の戦うオヤジがハマって、とうとうpart3まで完成。ホームレスをしているところを、弱みを握られて正義を執行する羽目になる男もいる(「パーソン・オブ・インタレスト」)。ここんとこデンゼル・ワシントンもこの種の男を演じていて、「デンジャラス・ラン」「2ガンズ」などの延長線上になるのか。

 

 コンビ作が上手くいってたトニー・スコットが亡くなってしまったので、今後は「トレーニング・デイ」以来である、アントワーン・フークアと良作を生み出して欲しいものだ。アントワンは前作がプロパガンダっぽかっただけに、シャープな演出の原点回帰が楽しみ。処女作の「リプレイスメント・キラー」はなかなかで、今回彼が手を着けるのはTVシリーズ「ザ・シークレット・ハンター」なのだそう。

 

 「ミッションインポッシブル」「特攻野郎Aチーム」など映画化されてきたけど、さすがは合衆国、掘り出し物が尽きることはない。で、元を確認しようがないけど、独立した作品として文句なしに渋い1本となっておりました。序盤は実に静かな描き方で、見入ってしまう。いろんな人がいる国だけに、車通勤しない人だって当然存在する(「her/世界でひとつの彼女」)。デンゼル演じるマッコールはバスでホームセンターに通っている。

 

 この日常を描いた部分で満足になり、“スパイ映画は世界の裏事情を暴露する”といった期待要素がスカされても文句なし。ところが淡々としたスタートは、後半にエンジンをかけるための助走で、動き出すとグイグイと引き込まれます、ダテに上映時間が長いわけではない。トム・ハンクス「幸せの教室」で、ベン・スティラーは「エイリアン・バスターズ」でお店勤務の人間を自然に演じましたが、デンゼルも旨い。

 

 けっこう新鮮でしたね、やたらでかい国のホームセンターだけに、フォークリフトが店内を動いていたり。でもこの勤務先が肝心で、派手な後半の盛り上がりはなくてはならないアメリカ映画だけに、悪党を血祭りに上げていく場はひと工夫。「バード・オン・ワイヤー」はクライマックスに動物園が使われるんですけれど、気の毒にワルの面々はDIY道具で・・・、ぜひご覧になってご確認を。

 

 予告編の通りにクロエ・グレース・モレッツ扮する娼婦が、静かに暮らしている元CIAを動かすキッカケを作る。ヒットガールもとうとう・・・、でも彼女は今後も化け続けそうで楽しみだ。「アジョシ」の歯がゆさは皆無で、コワモテのオッサンは娼婦のために、とっとと元凶のロシアンマフィアを抹殺。ところが母国から凄腕が送り込まれて、抗争へと発展(ボストン警察の腐敗まで暴露するオマケつき)。

 

 それにしても悪役は素晴らしかった。観客に殺意を抱かせなくちゃ役目は果たせないので、気合入ってましたマートン・ソーカス。キアラン・ハインズ(「裏切りのサーカス」)とケヴィン・スペイシーの最も邪悪な形相を模して、徹頭徹尾に冷酷な悪党(「ペイド・バック」で気になったことは当たりだった)。もはや「記憶探偵と鍵のかかった少女」に出ちゃったし、マーク・ストロングはもう出来ないんだよね。

 

 またクレジットされていて、なかなか出てこないビル・プルマン(「あなたが寝てる間に」をぜひ)とメリッサ・レオ(「ロストガール」をぜひ)だったけど、いい場面をさらう。「もうあまりCIAとは関わってない」などと言っているワリに、ヘリがすっ飛んでくるのはニヤリとしてしまう。彼らと主人公の間にあるエピソードは元のドラマで確認すればよいのかな?想像を膨らませる余地を残して本筋へと返す展開は監督の手腕でしょう。

 

 もうちょっとするとデンゼル・ワシントンは、老境を迎えた男に無理がなくなるかもしれない。その時に淡々とした描写で迫れるアントワーン・フークアと、コンビを組んで感動作が生まれたらイイなぁなどと思う。本作にはスマート・フォンをコスっている人が見当たらないのが何より。ま、しばらくは生々しい題材が期待されるだろうけど。“この世の悪事を暴く”ネタを正々堂々勧善懲悪で描けるんだから、合衆国にはまだ健全さが残っている。金が物を言うグローバル社会では、ロシア人に美味い汁吸われてるって、世も末の状態を明らかにしちゃったんだもんね。

 

現在(10/25/2014)公開中
オススメ★★★★☆

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関連作

  リプレイスメント・キラー

 

 公開当初は「男たちの挽歌」が旋風を巻き起こして、“ハリウッド・デビューを飾るチョウ・ユンファの作品”という認識が大勢を占めていたかもしれない。先にアメリカ映画を撮っていた(「ブロークン・アロー」)監督のジョン・ウーも、製作としてクレジットされているし。時は移って2014年、「イコライザー」の関連作として、アントワーン・フークアの処女作として、映画好きが見るとエキサイト。

 

 「ザ・シューター極大射程」とかで才能あるのは分かっていたけど、放ったらかしにしていたコレはもう冒頭からひきつけられる。「マイアミバイス」もクラブのシーンからだったが文句なしですね。アジアのスターがアメリカ映画に出るのは、後にジェット・リーがいるんだけど、彼の「キス・オブ・ザ・ドラゴン」(大好き)に近い構造がより楽しませてくれる。

 

 ジェットにはブリジット・フォンダだったけど、チョウにはミラ・ソルヴィノ。「ロミーとミッシェルの場合」の抜けてる感じは皆無で、派手なガンアクションまでご披露とカッコ良いのだ。また冒頭でいいじゃんと頷かせてくれたのが、マイケル・ルーカー(「デイズ・オブ・サンダー」)。タフな刑事も決まっていて、チョウ・ユンファの殺し屋が組織を裏切るポイントにもなる。

 

 脇でさらにニヤニヤさせてくれるのがマチェーテ=ダニー・トレホで、「U・ボート」艦長ユルゲン・プロフノウまで出ているではありませんか(「エアフォース・ワン」とか「ジャッジ・ドレッド」の頃だね)。やはり初監督作は気合いが入っているし、アントワーン・フークアの才能は文句なしだった。彼の「ワイルド・チェイス」だけ未見なんだけど、リリースしてくれないかな?
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