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おとなの恋には嘘がある

  おとなの恋には嘘がある

 

 2週連続で新宿までわざわざやって来るにはワケがある(タイトルのダジャレで始めるとは、まさにオッサンで申し訳ない)。本作公開館がシネマカリテしかないからだ。しかしお陰さまで好きになりそうなミニシアターフォックス・サーチライト作品を特集していたり、座席の感じは閉館したシアターNっぽい。そういえば「容疑者、ホアキン・フェニックス」を観たシネマート六本木もこんなだったなぁ、なくなった渋谷のシネ・アミューズ イースト/ウェストなんか・・・。

 

 ただ決して懐古趣味でこの劇場が気に入ったわけではなく、あくまで作品選択の傾向が優先されます。だって「大統領の執事の涙」「ダラス・バイヤーズ・クラブ」を上映しているし、もう観ちゃったけど「LIFE!」が公開待機中にして「グランド・ブダペスト・ホテル」も予定されている。そして土地柄といいますか、入場受付は白人の可愛らしい女の子。外国人比率が昔から高かった新宿だけど、もうごく当たり前に日本語が堪能な人々が、日常に溶け込んでいる。

 

 劇場も気に入ったし、何気ないスタートは申し分ないんだけど、主演のジェームズ・ガンドルフィーニは亡くなってしまったんだよなぁ。フィリップ・シーモア・ホフマンの不在を、あと数年は思い知らされるのと似たようなもので、この人ももったいない。「ロストガール」の背中に“ごく普通の疲れと哀愁を漂わせている”感じがたまらなかった。それ以来気になって、「ゼロ・ダーク・サーティ」とか「ジャッキー・コーガン」とか出てくると注視していただけに残念。

 

 彼のTVドラマ「ザ・ソプラノズ」もじっくり見てみましょう。そして共演のジュリア・ルイス=ドレイファスも代表作のドラマ「となりのサインフェルド」がある人。でもTVと映画の垣根はないんじゃない?は「Lie to me」とか「名探偵モンク」でもハッキリしている。ジュリアは初めて見る人だし、ホントに自然に作品世界に入っていける。マッサージ師をしているジュリア演じるエヴァはシングルマザーで、一人娘がいる。プリウスに乗ってお客さんの家まで行ってのお仕事。

 

 この作品は「フルートベール駅で」よりは確実に裕福な人々が描かれていて、21世紀のアメリカ映画なのにアフリカ系がほとんど出てこない。この辺はフォックス・サーチライトらしさでしょうか。でも浮世離れしているでもなく、金に汚い人々というわけでもない。ま、シリアスな作品を見続けると、“格差の極み”のような現在の合衆国に、中流家庭が存在するのか?とも思いますが、全土が荒れ果てているわけではない。巣立つ子供を持つ離婚経験者でも、ごく自然な恋愛劇は成立する。

 

 地味っちゃあ地味だけど、オッサンが待ち望んだ可愛らしい恋愛モノで大満足。エヴァがさ、シワも目立つけど実にいいのよ。ちょっと「扉をたたく人」のヒアム・アッバスに似たような感じかな?レベッカ・ホールがいずれ演じそうだ。そしてジェームズ演じるアルバートは映像アーカイブで働いてるんだけど、うんうんとうなずいてしまいましたよ。推薦文書いたりするってトコが嬉しくて、棚にホコリかぶっている品を活かすも、殺すも働いてる人次第(「LIFE!」「素敵な相棒」)。

 

 デートのシーンなんかも、接近していくプロセスもテイストは「セレステ∞ジェシー」ながら、中年ならではの要素が盛り込まれて文句なし。ただしそれだけでは面白くないので、キャサリン・キーナーがカギを握っております。ダテに出ているわけではなく、「××××××」に近いですかね、退屈しない構造。その辺はぜひご覧になってご確認を。本作のキャサリンは芝居に入っている時も自然体で、「みんなのしらないセンダック」とあんまり変わらなくて素敵です。

 

 ラストシーンはどことなく「セックスと嘘とビデオテープ」を思わせるだけに完全にノックアウトされた。子供を想う親が、ごく当たり前のように描かれているのも、「メイジーの瞳」がある21世紀だけに貴重です。娘役の2人は「アデル、ブルーは熱い色」とは違って、日本人でも理解できる10代らしさ。いつだって会えるけどさ、離れて暮らす家族ってどこか切ない(「キッズ・オールライト」)。時は過ぎゆく、子は離れていく、親の方が自らの人生を歩んでいかなくちゃ。今年のナンバー・ワンが「メイジーの瞳」「大統領の執事の涙」に加えて3択になった。

 

現在(4/19/2014)公開中
オススメ★★★★★ 

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 確か2011年に「シリアスマン」を観に行った時だ、劇場のビルにでっかくスパイク・ジョーンズ展と宣伝されていた記憶がある。本作と「アイムヒア」もその頃に上映されていたんでしょう、順序が逆になるけれど、この絵本作家の素顔を知ったことで、「かいじゅうたちのいるところ」が楽しみになってきた。

 

 敬愛している相手じゃなきゃ、忙しい映画監督がわざわざドキュメンタリーを手がけたりしない。「Pina」「コマンダンテ」「マラドーナ」などはそのことがコチラに伝わってくる。スパイク・ジョーンズもまさにそうで、センダックに惚れ込んでいるのは一目瞭然、ぜひご覧になってご確認を。

 

 それにしてもこの人の死生観は強烈だ。生い立ちから「J・エドガー」で描かれたリンドバーグの不幸など、影響のあった事実が語られるけど、インタビュアーと信頼関係がなければ成立しない。キャサリン・キーナーも入れ込んでいて、自然な感じは「おとなの恋には嘘がある」に通じます。
オススメ★★★★☆

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