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ドン・ジョン

  ドン・ジョン

 

 俳優の監督作2本立ての本日、ワシにとって「(500)日のサマー」から注目を余儀なくされたジョセフ・ゴードン=レヴィット初の長編監督作。「ハーフ・デイズ」の特典映像でオーディションの様子を見たくらいで、どういう人なのか?はさっぱり。でもそのくらいの距離でちょうど良いと、昨今は考えるようになった。役者としてはまだまだ進化していく人なれど、監督としての実力はどうか。

 

 期待しているのは若者(と言っても30代)の感覚を拝めるのが一番。1年前までは若い人に囲まれていたけれど(レンタル店では最年長だった)、今では自分より年上の人しか職場にいない。“若者が好き”と狡猾な中年がほざくと、下心が見え隠れ。でも新しいモノへの感受性は彼らには適わない。放っとくとドンドン老け込むから、知りたい、ぜひ21世紀に生きている感覚を味わいたい(もはや吸血鬼だな)。

 

 で、上から嫌というほど音が降ってくる渋谷までわざわざ来て、ラッキーな体験でした。シネマライズのセレクトは安心させてくれて、「her/世界でひとつの彼女」が予定されているし、「パンドラの約束」はちょっと気になる。さらに渋谷TSUTAYAはエライ、なにせ幻の「フォード・フェアレーンの冒険」を置いているじゃないですか。帰って早速見たら、意外にも本作との共通点が見受けられたりして。

 

 さて肝心の中身はというと21世紀の青春ものとして、時代に合致していると思わせてくれる秀作。前売り券買ったらティシュの箱くれたのも当然で、現在のエロ事情が色濃く反映されている。「セックスと嘘とビデオテープ」から「SHAME-シェイム-」などを経ている人間にとっては、ここまで来たのねと納得。さらにレンタル店で四半世紀働いてきた者だけに肯くところ多々あり。

 

 「セックスと嘘とビデオテープ」にしろ「SHAME-シェイム-」にしろ、現実の女性とカンケイが持てない現代人が主人公で、人々に衝撃を与えた。彼らがある意味不能だとすると、本作のドン・ジョンはむしろ万能。パソコンでエロ動画見ながらオナニーもするけれど、クラブで女の子をお持ち帰りしてリアルなセックスも可能。おまけに独り暮らしなのに、週末には家族と食事、教会にも行っている。

 

 ジョセフが演じてきた内気な方ではなく、「プレミアム・ラッシュ」も顔負けなくらいマッチョで、車の運転も荒っぽかったりして。とにかく彼の独白は爆笑の連続で、実際のセックスとオナニーとの違いを真剣に悩んでいる。クラブで女の子をお持ち帰りはフォード・フェアレーンも同じなんだけど、馬鹿らしさ下品さではなく、“他者を理解しなくて済んでいる今”が最大の相違点と勝手に解釈。

 

 そして2人の女性が彼に真の愛とは?を気づかせてくれる。本作のキモだけに、スカーレット・ヨハンソンジュリアン・ムーアを起用。スカーレットが演じるのが束縛する女の典型=バーバラで、ついに愛を見出させてくれる女性が、ジュリアン・ムーア演じるエスターといったところでしょうか。現実をどんな感じでドン・ジョンが受け入れていくか、ぜひご覧になってご確認を。

 

 スカーレット「幸せへのキセキ」、ジュリアンは「メイジーの瞳」と見比べるとアッと驚くこと請け合い。特に「ブギーナイツ」のジュリアンですからね、スマート・フォンでエロ動画見ているドン・ジョンに「たいしたことないわよ」などと言うところはニヤリ。さらに映画監督ジョセフ・ゴードン=レヴィットはマーキー・マーク&ザ・ファンキーバンチ好きだったのか?“Good vibration”が流れたりして。

 

 レンタル屋の売上で、3割〜4割占めるのがアダルト。エロ屋と自嘲気味に言ってたけど、“テクノロジーはエロから先に進化”を長いあいだ見てきた。CD-ROMからVIDEO-CD、そしてDVD、Blue-rayの先には動画配信。今後は動画配信が支配的になっていく。映画はまだタイトルが揃わないけれど、サイトによっては信じられないくらいの品揃えになっているアダルト(DVD化されなかった古いタイトルまであるし)。

 

 もっともエロの部分は完全に時代記号であって、物語はオーソドックスにしてインディ系の心意気がある。主演でもあるからジョセフは張り切ってたし、2人の実力派もちゃんと応えていた。“愛のないセックスはただの排泄だ”に説得力を持たせるにはこの映画は適している。“今の世の中、自分を大切にしなくちゃいけませんよ”と観客に思い知らせる「恋の罪」みたいにね。

 

現在(3/22/2014)公開中
オススメ★★★★☆

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 「ドン・ジョン」のお供に大推薦の現代ポルノ事情コメディ。なるほどコレがあれば、ジョセフ・ゴードン=レヴィットも涼しい顔で描けるわけね。ドン・ジョンが受け手だとするとこちらは送り手の物語。処女作「クラークス」以来たびたびレンタル屋を描いてきたケヴィン・スミス、知ってますAVの世界なんかお見通しです。でもスタートはなかなか見せる画で、すぐに作品世界に入り込んでしまった。

 

 主演のセス・ローゲンとエリザベス・バンクスはこの時点(2008年)では売り出し中といったところでしょうか。セスは「グリーン・ホーネット」辺りから“飛ぶ鳥を落とす勢い”って感じで、声の出演友達の脚本を製作など多才ぶりを発揮。エリザベスはゴージャス美人を前面に出さず、無実の罪で投獄される妻勇ましい刑事がお気に入りで、「ハンガーゲーム1&2」などはその美貌が判別不能。

 

 さて、けっこう大人のくせして、アルバイトで生計を立てている幼馴染のミリとザック。子供の頃から仲良しだと、男女の同居(ルームシェアリングって言うの?)も可能みたい。でも底辺層には冷たい世間の常で、電気止められて水道も・・・と実に生々しい貧困生活。ボロボロの車も笑ってしまいますが、光熱費や税金からは、人間逃れられません。

 

 で、たいして賢くない2人ですから、手っ取り早く金稼ぐ商売に手を染める。レンタル屋ですからよーく知ってます、AVに出るのは借金返済のためですマジで。でもその動かしがたい現実を、笑いに変えるのがケヴィン・スミスの手腕。「僕らのミライへ逆回転」は勝手な続編どまりでしたけれど、中身をちょっとだけパクって、似たようなタイトルを考えるところは可笑しくて仕方がない。

 

 「フラッシュ・ゴードン」には「フレッシュ・ゴードン」というのがあったし、「ターミネーター」には「タフミネーター」だったり、店に並んだタイトルが思い出されて楽しい。でも「ジェイ&サイレント・ボブ 帝国への逆襲」の監督だけに、「スターウォーズ」のエロティック・パロディを作ろうとする冒涜ぶり。キャスト集める部分は「ザ・コミットメンツ」っぽくてニヤニヤ。

 

 でも外枠は下品な笑いで装っていますけれど、21世紀の恋愛映画にちゃんとなっていく。デートムービーと言ってもよいくらいだ。主演カップルの関係はどことなく「憧れのウェディング・ベル」などが近いでしょうか?快感ではなく、真の愛に目覚める瞬間をエリザベス・バンクスは熱演、ぜひご覧になってご確認を。セス・ローゲンも文句なしでしたね、このあと出世していくわけだ。

 

 「スーパーマン・リターンズ」のブランドン・ラウスだけでなく、レスター役のジェイソン・ミューズがかなり良い男なのを発見。ケヴィン・スミスを見直した「世界で一番パパが好き」は、ラジー賞だそうだけどホントかなぁ。コチラも自分の気持ちに気づいて、好きな人のもとにすっ飛んでいく王道の展開で申し分ないんだけど、レンタル屋ストレートか・・・。選曲のセンスも悪くないのにもったいない。
オススメ★★★★☆

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