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ダラス・バイヤーズ・クラブ

ダラス・バイヤーズ・クラブ  ダラス・バイヤーズクラブ

 

 「サラマンダー」で共演したマシュー・マコノヒークリスチャン・ベイル「マシニスト」で“死ぬ気か?”というほどやせ細ったのがクリスチャンですけれど、本作のマシューもかなり気合入ってます。男性ストリップ映画「マジック・マイク」ではマッチョな肉体美を披露していましたから、変わり果てた姿に唖然。でもその役作りのおかげで、インディペンデント・スピリット賞の常連になりつつある。

 

 彼が扮したのがAIDSに感染して余命30日と宣告されたカウボーイ。「ボラット」で茶化された典型的な白人の催し=ロディオ大会が大好き。その会場の隅で、乱交などしているんですから、“自業自得”とも言えるロン・ウッドルーフ。KKKまでいかなくとも、いかにも西部の男で、プア・ホワイトでもある(「マシンガン・プリーチャー」「テイクシェルター」を参考までに)。

 

 時は1985年、“AIDSはゲイがなるもの”との風説が蔓延していた時期で、自分の生きてきた世界から隔絶されてしまうロン。後の世に生きる我々は、正式名称=後天性免疫不全症候群がなぜ世界に広まったか?についても、新しい差別が発生したことも知っている。ただ本作のテーマは既存のそれらをなぞっていないところに真骨頂がある。

 

 勝手な解釈ですけれど、命題は“自分のことは自分で何とかするしかない”だと思う。ガリガリのくせにワイルドなロンは、医者から「長くないですよ」と言われて黙っていない。病院から勝手に出ちゃうまでなら並みの人ですけれど、せっせと図書館で病気を丹念に調べて自ら打開策を探る。「何か調べるなら図書館」とタンタン君も言ってるし、AIDS差別を描いた「フィラデルフィア」でも図書館のシーンあります。

 

 打開策を探る過程で、実は患者に投与されている新薬AZTの効果には疑問があることが分かってくる。補完するようにジェニファー・ガーナー扮する医師イブが、製薬会社が病院に持ちかける提案に、異議を唱える部分が並行して描かれている。(株)貧困大国アメリカをオススメしますが、グローバル企業にもはや国家といえど太刀打ちできないのはほとんど常識、とっくに言いなりの様が本作にも刻まれている。

 

 ただしタイトルがバイヤーズ・クラブというくらいで、“効果のある薬”を買い付けに行っちゃう。ここでも“企業の下働きさせられている国家”が立ちはだかるんですけれど、あの手この手ですり抜けようとする、ロンの根性は見上げたもの。自国がダメならメキシコだろうと日本だろうと・・・。でも確か80年代に渋谷TSUTAYAはなかったと思うんだけど、「バイオハザードW」を参考にしたのかな?

 

 AIDSの差別か?、ヤク絡みの映画か?との予想を覆し、我々が直面し得る困難に立ち向かう気力と方法を教えてくれる1本。ソトコトというサイトの憂国呆談2で触れられていましたけれど、差別に対して政治家たちがアピールするのは、“肝心のリアルな経済構造を変えられない代償とも言える”んだそうです。ひしひしと肌で感じている身近なことゆえのインディペンデント・スピリット賞で、激やせをオスカーは評価。

 

 「プリシラ」に負けず劣らずのジャレット・レトーは確かに素晴らしい。マシューの変身ぶりもさすがだ。でも美貌を封じたジェニファー・ガーナーって素敵です。「ウソから始まる恋と仕事の成功術」なんて珍品にも出るけれど、「キングダム/見えざる敵」とか「JUNO/ジュノ」とか意義ある作品で彼女は映える。ベン・アフレックが旦那様だもんね。

 

現在(3/9/2014)公開中
オススメ★★★★☆

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関連作

  フィラデルフィア

 

 初見から20年経過して、今見ると経年熟成しつつある作品に感じられる。監督のジョナサン・デミはもちろん「羊たちの沈黙」こそが代表作と長いこと信じこんでいたが、情報量で並び立つ。題材のエイズに限らず、人々の裡に棲む差別意識、法曹界に身を置く人々の実態であるとか、ひたすらうるさいマスコミに限らず、無責任な世間様も刻まれている。そしてこの時期に、残しておかなければならなかったのだ。

 

 トム・ハンクスデンゼル・ワシントンが共演しているわけだから、履歴を漁って継続して見てもらえるだろう。2人とも若く、意気込みが伝わってくる。トムなどは「ビッグ」の初々しさがあったりして。訴えていること=無知から発する差別がこの世からなくならない限り、価値を有し続ける。冷たい世間と対照的な家族の絆は、差別に立ち向かうにはなくてはならない。

 

 主演の2人の芝居が素晴らしいだけでなく、悪役にメアリー・スティーンバージェンが扮しているのが映画好きとして今回最大の収穫で、「バック・トゥ・ザ・フューチャーpat3」から「あなたは私の婿になる」に至るまで、期待される優しい雰囲気が微塵もない。法廷でものの見事に嘘がつけるのは弁護士だけだ。もちろんデマを信じたがる我々の隣人=陪審員もコロッとやられる・・・となるかどうかはご覧になってご確認を。

 

 冒頭のタイトルデザインは「シングルス」「あなたが寝てる間に」に似ていて目を楽しませてくれる。主題歌を歌うのはニール・ヤング、ブルース・スプリングスティーンで、アカデミー賞獲得は納得。オペラ愛好家の主人公だけに、「DIVA」で使用された曲まで聴こえてきて感無量。このラストシーンは「評決のとき」を思い起こさせ、“町弁こそ本物”は「リンカーン弁護士」「WIN WIN」に継承されている。
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