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アデル、ブルーは熱い色

アデル、ブルーは熱い色  アデル、ブルーは熱い色

 

 地方都市のその向こうの田舎に住んでいると、終映時間は重要です、終電なくなっちゃうから。で、神奈川県の劇場を漁ると結構厳しくて、「リベンジ・マッチ」と一緒に観るとなると新宿が適している。で、わざわざ来たは良いものの、新宿御苑でなにやらあるみたいで10:00前だというのに混んでいる。「エージェント・ライアン」の時も東京マラソンに当たったが、都内に来るとイヴェントにかち合うのかな?

 

 アカデミー賞作品は一応見るし、インディペンデント・スピリット賞作品は積極的に楽しむ。ただカンヌ映画祭は傾向にバラツキがあるからなのか、受賞作を意識したことはない。でも“審査委員長スティーヴン・スピルバーグのコメント”は気になる。話題は半年くらい前から盛り上がっていて、主演の2人アデル・エグザルコプロスとレア・セドゥは注目されている、とメディアは宣伝している。

 

 レア・セドゥは「ミッション:インポッシブル/ゴースト・プロトコル」で“出てたよね”という認識、フランスが舞台になっているけど「マラヴィータ」はアメリカ映画のテイスト。「ムード・インディゴ/うたかたの日々」からフランス映画はご無沙汰。洋画の上映数が減少している関係で、なかなかお目にかかっていない。でも「ホーリー・モーターズ」に圧倒され、映画発祥国の新作は見逃せない。

 

 話題になったのは“レズビアンに目覚めた少女の切ない純愛”だったみたいだけど、10代ではないのでそこら辺に目がいかなかった。むしろ「フルートベール駅で」のような淡い光の中、フランスの郊外住宅地に住む高校生の日常が心地よい。「シルビアのいる街で」がまた見たくなったけど、バスであるとか電車であるとか、かの国の景色が作品世界に導いてくれる。

 

 高校生の授業風景も面白くて、さすがは幼稚園児に哲学を教えようとしている先進国、難しいことしてます。高校生ともなれば文学作品を“この描写の意味するのは何か?”なんて議論したりして。ただオススメこそできないけれど、ストレス発散がデモ行進ってカッコ良いよな。高性能CPUディバイスに飼い慣らされている子供たちの国とはエライ違い。

 

 もちろん大人ですから、お付き合いもそれ相応に早熟。アデルは1年先輩のトマとあっという間に肉体関係が成立。若者特有のベットシーンにオッサンは微笑ましくなったりして。でも寝顔があどけないアデルは、どうもヘテロ・セクシュアルではないらしく、道ですれ違った青い髪のエマと偶然にも接近していくことになる。3時間近い上映時間はだてじゃなくて、じっくりと静かに描き込んでいく。

 

 恋は錯覚に過ぎないけれど、その感覚は身体が覚えていて、決して消えることはない。これを濃厚なベットシーンで刻んでいる。ポルノにならず、ゲイじゃない人にもエロスを感じさせ、愛の行為でもあると描かなくてはいけない。トシとって良かったですよ、10代でアレ見せつけられたら、映画の他の部分に目がいかない。参考までに「ドン・ジョン」とか「キッズ・オールライト」などいかがでしょう。

 

 どちらかと言うと、ベットシーンは長いなぁと笑ってしまったが、センセーショナルな部分がなかったら、映画のバイヤーにアピールしないもんね。主演の2人は熱演で、服を着ているときはほっそりしているけど、かなり肉感的に映った。売るための本作の見せ場だけに、監督も力を入れたのでは?でもオッサンとしてはそれ以外の部分がたまらなくて、ラストはほんとに切なかった。

 

 どんなに愛し合ったとしても、ちょとしたすれ違いがいともたやすく壊してしまう関係をストレートに映画にしている。情景描写も美しく、深く離れがたい仲に発展していく過程を丁寧に描かれているだけに、残酷なくらいだ。レア・セドゥは芸術肌のエマそのもの、バスキアとは違ってフランス人だけにインテリの側面もある。翻ってアデル・エグザルコプロスは堅実な先生職で大人になっていく。

 

 タバコをスパスパ吸ってるところは「17歳の肖像」のキャリー・マリガンもだけど、 あどけない寝顔の少女が、生涯忘れられない恋を経てこれから・・・。マリオン・コティヤールとかメラニー・ロランはとっくに卒業している役だけに、現在のアデルならではの瞬間。ぼくちゃん映画の「ムード・インディゴ/うたかたの日々」でさえ現実的なんだけど、フランス映画ってやはり独特のラストで容赦ないね。

 

現在(4/12/2014)公開中
オススメ★★★★☆

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  ホーリー・モーターズ

 

 “実話を元にした”作品を茶化した「ペイン&ゲイン史上最低の一攫千金」の翌日にレオス・カラックス最新作を見ると、映画発祥国だけに一味違って、その深さに感銘を受ける。商業用ベースの枠内に収まっちゃうのがアメリカ映画の宿命で、フランスの天才は自由自在に映画を撮ってしまう。そして観客にも無限の“想像の余地”を残す。本作に対する批評、指摘は星の数ほど出てきそうだ。

 

 結果ワシも勝手な解釈=感想文しか書けない。意味不明に見える冒頭に監督のレオス・カラックスが出てきて物語は始まる。恐らく主人公と思われる人物がやたらと長いリムジンでパリの街へ。モノを映すだけで観客を釘付けにしてしまうのは、映画作家になくてはならない資質だ。確か「ポーラX」を除いて全てのカラックス作品に出演しているドニ・ラヴァンが、次から次へと見せる変身に引き込まれる。

 

 経営者、物乞い、モーションキャプチャーのスタントなど次々に“21世紀の今”が描かれる。特に「リベンジ・マッチ」でもポツポツのついているスーツ姿は笑いを誘うが、「アバター」に用いられた技術を的確に、過不足なく観客に見せてくれる。続いて「ゴジラ」のテーマが流れる中、墓地をせむし男が歩いたかと思うと、エヴァ・メンデス(「プレイス・ビヨンド・ザ・パインズ/宿命」)が出てくる。彼女はモデルで、撮影現場はまた滑稽だ。

 

 父と娘の描写はアメリカ映画だと歯がゆい(「somewhere」「マネーボール」)が、さすが先進国のフランス、娘に対して父親は遠慮などしない。銀行家を見た瞬間に撃ち殺すけど、この時にハタと気がついた。ドニが演じているのは映画のキャラクターなんだと。そのあとで「2001年宇宙の旅」、「猿の惑星」などを想像させるシーンもあるし、カイリー・ミノーグが絶品のミュージカルを映画に現出させる。

 

 リムジンが移動しながら進行するのは「コズモポリタン」だったけど、カラックスはデヴィッド・クローネンバーグとは違ったアプローチで今を切り取った。様々な映画の要素が贅沢に、自在に配され、描写の的確さと美しさに圧倒されっぱなし。デジタル技術も使いこなし、この人が相変わらず先端を行っていることを確認。そして同時に劇場で観られなかったことが悔やまれる。
オススメ★★★★★

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