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宇宙戦艦ヤマト2199 そして艦は行く

宇宙戦艦ヤマト2199 そして艦は行く   宇宙戦艦ヤマト2199 そして艦は行く

 

 旧シリーズのファンならたいてい知っているセリフ「地球か、何もかもみな懐かしい」は間違いないだろう。「勝利か・・・、クソでも食らえ!」は怪しい。「どーだい島、やっぱり船は海の上が・・・」まで再現されるかは極めて疑問ながら、とうとう来ました大団円。そこまで詳しく知っていながらまた見るの?と呆れられても止められません。思えばブルク13のデモンストレーションで1に触れて以来、から劇場へ馳せ参じること6回で、おしまいなのねぇ、と感慨深げになってしまいます。スタートした2012年には、新しかった“劇場におけるパッケージ・ソフト販売戦略”も、激変する視聴環境が“時代遅れ”にしてしまう。ですから“日本アニメーションの新しい試み”は過渡期の現象になった。

 

 知っているからこそ通いつめたのは、もちろんオリジナルの“笑っちゃう”21世紀に通用しない部分が、どのように改良されているか?の確認が楽しいからに他ならない。加えて荒んだ今(2013年)にお行儀の良い、古き良き物語は必要だと痛感する。たぶん「スター・トレック/イントゥ・ダークネス」のJ.J.エイブラムスだってそうです。確かにヤマトもガンダムも合衆国産から貰っちゃってる部分はある。気の遠くなる宇宙への冒険は宇宙大作戦から、ガンダムのビームサーベルは「スターウォーズ」、モビルスーツは「スターシップ・トゥルーパーズ」のバワードスーツからなどなど。でも“第二次世界大戦の戦艦を宇宙に飛ばす”とか、“宇宙に住みついた人類が変化(ニュータイプ)するかもね”とかの設定は、“お客さんを楽しませてなんぼ”の時代に捻り出した手口。

 

 確か原作者の西崎義展氏はオリジナルの製作動機を「オイルショックでみんな元気なかったし、そういう空気を覆すものを作りたかった」と語っていたような。ま、今後ブームを形成するのは、大量生産されている萌え系アニメでしょう。本編開始前の予告はほとんどがそうで、はてさて何本少年少女の心に残るのやら。「グッズ販売も視野に入れたマーケティング戦略も万全、今期の売上を考慮したタイミングで次から次へとリリースしていれば」と株主に説明するような作品では長持ちしない。これは音楽にも言えることだけど、パッケージ・ソフトの終焉を暗示している。TED ideas worth spreadingを見ちゃったから、IT化による破壊的なパラダイムシフトは、うっとうしい高度資本主義を廃れさせるのでは?という気がする昨今です。

 

 で、ドメルを退けてガミラスとイスカンダルが双子星であることまで分かったヤマト。地球人にはやってきた宙域ながら、使者のユリーシャにとっては帰ってきた母なる星で、“オカエリナサイ”がチラッと見える。これはヤマトへのオマージュで出来ている「トップをねらえ!」をパクったもの。また「機動戦士ガンダムV めぐりあい宇宙」のラスト・シーンまで流用している。驚いたのが徹底的にガミラス本星を叩いて、「勝利か・・・、クソでも食らえ!」になっていない。これは最も予想を覆されて嬉しくなったポイント。そして同時に総統ご乱心で、民もろとも本星を・・・、あわやの場面で波動砲発射は見応えありました。“絶望的な局面で無理めでも立ち向かう”が日本アニメーションの系譜なんだけど(「とある魔術の禁書目録-エンデュミオンの奇蹟-」に至るまで)、敵を容赦なく根絶するのではなく、状況を見極め本物の危機を打開する、これこそリニューアルした甲斐ありでしょう。

 

 そしてないだろうと思われた「どーだい船はやっぱ海の上」をお宝シーン込みで見せてくれたし、過情報になり、後半部分は“1回こっきりの劇映画”としては手に余るんだけど、締めのセリフで全部チャラになります。「地球か、何もかもみな懐かしい」にグッときた。隣に座った人も泣いてたし、後ろの人たちも・・・。終わって明るくなり、ぞろぞろ帰る皆さん、ワシと同年代か更に上の人々。まるでセミナーが終わった後の光景ですが、満腹でしょう。もはや少年ではありませんので、後半に燃え上がった古代進と森雪のエピソードは見守ってしまった。ところが艦長の最期を看取り、賑やかな若者の姿を眺めやる、佐渡酒造の心理にシンクロするんだよね。この厚みは萌え系アニメには不可能だし、エポックを修正し、残したことでこのプロジェクトは成功では?

 

 拡大解釈すれば、我々が頭上に頂いている人々の心理を、総統デスラーは垣間見せる。想い人=スターシャの願いである平和を実現するために、征服を繰り返し安定を求めようとするも、最後は本星破壊に至ってしまう。良かれと思って始めたことがいつの間にか・・・。更に本作は自衛隊の協力のもとで作られていますけれど、強力な武器を所有し、連度の高い隊員を備えていることは事実。わざわざ宣伝する必要はないけれど、周辺諸国に恐れられている(「韓半島」をご参考までに)。折り返して地球に帰るヤマトの波動砲みたいにフタしておけば良い。リニューアルが達成したのは「勝利か・・・、クソでも食らえ!」にならずに済み、まるで違うと思い込んでいた人々でも“分かりあえる”ことを刻んでいる。

 

現在(8/28/2013)公開中
オススメ★★★★☆ 

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  スター・トレック ネメシス

 

 「ジェネレーションズ」から続くピカード艦長シリーズの最終章で、前作と同じくやっぱり見ていたのに面白さが分からなかった自分を発見。ただし、本作に関して言えば「ダークナイト・ライジング」を経ているからこそ大興奮です。なんとトム・ハーディが悪役ですよ、それもピカード艦長のクローンにして怨念の塊。クリストファー・ノーランはコレを参考にして、バットマン最終章にトムを起用したのかもしれない。ピカード艦長シリーズでは脇役に映画好きが楽しめる人を配置していて、1作目がマルコム・マクダウェル、2作目がジェームズ・クロムウェル、3作目がF・マーリー・エイブラハムだったから、トム・ハーディは大抜擢ということになる。「欲望のバージニア」とはまるで違う美貌ながら、作品背負ってる感じがすごい。

 

 2作目3作目と監督をしていたジョナサン・フレイクス、おかげで出番の少なかったライカー副長なれど、今回はラストだけにカウンセラーのディアナと恋を成就しております。気の毒なのはウォーフだけど、やけ酒飲んでいるシーンはファンサービス。「エグゼクティブ・ディシジョン」の監督スチュアート・ベアードもちゃんと作品世界を承知していて、巣立つライカー副長とついに自らを犠牲にするデータ少佐と・・・。特撮は直後に「スター・トレック」を見てもがっかりしないレベルに達していて、宇宙大作戦って我が国の「宇宙戦艦ヤマト」に相当するのだな。
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