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とある魔術の禁書目録-エンデュミオンの奇蹟-

  劇場版「とある魔術の禁書目録―エンデュミオンの奇蹟―」

 

 さすがにトシだから、この手のものを観に行くとなると、怖気ずく。「宇宙戦艦ヤマト2199」なら中年向けだが、どう考えても高校生以下推奨のライト・ノベル映画。ところが好きなものには抗えなくて、劇場の隅にでも座ってこっそり観賞しようか、などと行ってみてビックリ。平日の昼間なのに、少年たちが大挙して来場しているではありませんか。ただお子さんのいる店の女性に聞いてみたら、「試験休みなんじゃない?」だそうで納得。素朴な疑問なんですけれど、彼ら21世紀少年たちはどんなことにワクワクするのか?平成語に直訳すると「マジ、ちょーヤバくね?」(あの独特な音声を文字表記できたらエライ)に値するものは何か。たいていの大人にとってはドーでも良いことながら、商売上知りたいところ。

 

 で、おそらく彼らが期待しているのは萌え系キャラ。「マクロスFサヨナラノツバサ」を観ていた時、隣に座った女の子はブレラ・スターンが出てきただけで、ため息ついてたもんな。みなさん出てきます、もう主要キャラクターは全員集合って感じのファンサービス、インデックスも御坂美琴も小萌先生も。でもホント歳のせいですよ、あの頭のテッペンから出ているような声は辛い。秋葉原も5分といられなくなったし・・・。じゃあ全然楽しめないのか?と言えば全くそんなことはなくて、実に楽しい仕掛け満載。それは冒頭から始まって、なんと飛行機が火を噴いて墜落しそうになっている。超能力者の劇場用アニメといえば「幻魔大戦」、あのスタートがまさにそうだった。ま、デンゼル・ワシントン「フライト」も公開が控えているしね。でもかなりオーソドックスな“掴み”は興味深い。

 

 仕掛けは実に潤沢で、ステイル・マグヌスと戦うシャットアウラ=セクウェンツィア(絶対覚えられない)が乗っているのがタチコマそのもの。キャラクターの性質も草薙素子を模している。アイドルの卵として路上で歌っている鳴護アリサはランカ・リーみたいで、ニヤニヤ。そんでもって彼女をデビューさせるCEOは不死身の少女。宇宙にまで達するエレベーターは人間の奢りの象徴=バベルの塔で、宇宙ステーションはガンダムU.Cで、魔法陣はモロにエヴァンゲリオン。新旧合わせて、アニメの元ネタを分かりやすく想起させるキャラクター、設定は“あっあれだ!”とオッサンを喜ばせてくれる。でもさらなるお楽しみはコアなファンに用意されている。

 

 3人の弟子を連れているステイルが、車中でタバコを吸っているのを突っ込まれるけれるけれど、オーディオ・コメンタリー(第2期13話)で「ステイルって何歳なの?」を思い出し笑い。通称“上条さんのお説教”も“右ストレート”も炸裂。無理やりインデックスの裸を目撃してしまうシーンで名ゼリフ「不幸だー!」を叫ぶけれど、一拍置いたところで「フッ」と漏らすとこは大爆笑です。さらに神裂火織が宇宙空間に出てきて、ばっさりミサイルを撃ち落とすんだけど、まさに「うる星やつら」「マクロス」の合体技。もっとも前の方の席でオッサンは笑ったけれど、ワリと皆さん行儀がよろしい。これは“ミニシアターと私2”で触れますけれど、単館上映館はお行儀の良い観客を結果的に育成してしまった。もちろんワシのお気に入りアクセラレータ(なんと一方通行と一発変換)も出番があるし、かなり原作者は張り切っているし、製作陣も気合入っているし、声優陣もファンも楽しめる“お祭り騒ぎ”に徹していて素晴らしい。

 

 本作の持ち味である子供たちがITディバイスをごく日常的に使用している姿は現実的でホッとするし、第3期に期待。現在進行中の“日本アニメーションの新しい試み”は、ヤマトガンダムが終わりに近づいている中で、次は攻殻機動隊がストックされている。どちらかというと、萌え系キャラが際立つけれど、主人公を中心に見ると日本アニメーションの系譜に連なる。あのマジンガーZ以来受け継がれてきた、“無理めの局面にも根性で立ち向かっていく”というヤツ。「機動戦士ガンダムU.C」が取り戻そうとしているのも、たぶんこの路線だろうと推察される(だから受けるのさ)。まず海外には見られないから支持されているハズなので、ジワジワと中心を持たないで広がるのに任せた方が面白い。もともと亜流の日本アニメーション、“万人受けなんかまず無理よ”の世界は健在で、顧客満足度が高いのです。

 

現在(2/25/2013)公開中 
オススメ★★★★☆

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関連作

  コードギアス 反逆のルルーシュ

 

 アバンタイトルで“超大国ブリタニアに占領された日本”が出てきて、オッサンでも目が丸くなる作品世界に一気に引き込まれる。ロボットアニメの王道路線も構成要素の一つなれど、主人公はワルのルルーシュ・ランペルージ。狡猾で傲慢な少年だが、不幸な生い立ちにして作中最も悲劇に見舞われる(彼女のシャーリーは死んじゃうし)。「銀河英雄伝説」のラインハルト・フォン・ローエングラムっぽい彼が、女の子を魅了するのは納得。翻って男の子達は不死身の女=C.C.が大好きだったみたい。6,7年前にはこのキャラクターのキーホルダーを持っている青年が店にいて、全国津々浦々のイヴエントに行っていたなぁ。

 

 ワイワイと制御不能なくらいキャラクターは出てくるけれど、オッサンでも理解可能なシュナイゼル殿下、マッドサイエンティストのロイドと助手で巨乳のセシルなどは嬉しい配置。そして笑ってしまうのはもちろんブリタニア皇帝。ガンダムも銀河英雄伝説も経ているオタク少年たちにとっては、このくらいの情報量がなければ物足りないんでしょう(五分後の世界みたいな架空の日本も込められている)。「銀河英雄伝説」で原作者田中芳樹は、モチーフとしてキルヒアイスを早い段階で死なせてしまったことを後悔していますけれど(最終巻のあとがき)、本作のテーマは多々あれど、ルルーシュと枢木スザクの友情が中心にあって、ラストは泣けてくるのです。

オススメ★★★★☆

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