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世界にひとつのプレイブック

  世界にひとつのプレイブック

 

 昨年は作品賞(「アーティスト」)がアカデミー賞と被ったインディペンデント・スピリット賞。今年は順当といいますか、“らしい”本作が受賞アルゴが受賞したオスカーだけど、店としてはありがたいが、大きい賞は世間様の影響を受けてしまうものなのだなと実感。相対して独立系の方は作品本位でいられる自由がある。もちろんニュース(情報商品)が作り上げる世論と無縁なれど、こちらも浮世離れなんてしていません。むしろやけに隣近所の雰囲気が醸し出されていて素晴らしい。似ているのはヤング≒アダルトだったり、「WIN WINダメ男とダメ少年の最高の日々」だったり。企業がターゲットにする消費クラスターの外側に位置する人々を描くことは、ミニシアター系ならでは。

 

 技術革新を歓迎しつつも映画を堪能したいがために、最近は劇場の前の方で観るようになった。これは“ミニシアターと私3”で触れますけれど、スクリーンがデカく見えるのが何より。真ん中辺から最後尾では気がつきませんでしたが、意外に“ドットの目が粗い画面”のものがある。「劇場版SPEC〜天〜」で、“テレビ映像の中でしか生きなかったものが”と書いていますけれど、フィルムっぽい画面でなければ味わえない感触は昨今得難い(「アウトロー」なんかもね)。もちろんこの作品は映し出された画が粗く見えても、滑らかなのです。イチイチそんなこと気にしなくてもいいんですけれど、いちおう映画好きなものですから。土台(映像)は申し分なくて、乗っかっている素材=出演者はものすごく豪華。

 

 みなさんごく普通の市民に扮していますが、主演作もあるスターだけに素顔は端正。Aチームのフェイスマンですから、ブラッドリー・クーパーがハンサムなのは当然で、それは変えられないから彼は目で役作り。殆ど瞬きしていないんじゃないか?と言うくらい瞳孔が開きっぱなしで危ない。奥さんの浮気を目撃して精神に支障をきたし入院。映画は退院してくるところから始まりますけれど、迎える家族は根気がいります。父親役が「リミットレス」でもブラッドと共演したロバート・デ・ニーロ「レッド・ライト」に続いて嬉しくなる感じで、自身の監督作「ブロンクス物語」の時みたい。加えて「ラッシュアワー3」以来ご無沙汰のクリス・タッカーも出てきますけれど、キチンと役作りをしていて唸ってしまう。薬の影響で太目に見えるように化けている。

 

 だがなんと言っても愛してしまいましたよ、ジェニファー・ローレンス「それでも、愛してる」「ハンガー・ゲーム」と観てきましたが、この人はクリステン・スチュワート、アマンダ・セイフライドより自然体で自在に変身し、スターの中にあっても一歩も引けを取らない。特にロバート・デ・ニーロに食ってかかるところは目を見張る。TVで彼女の年齢を見てまたビックリで、なんと御年22才とは。ジジイに食って掛かるだけでなく、浮気された女房に未練タラタラの男=ブラッド扮するパットを厳しくも導くんだよなぁ。若くして未亡人で、ほとんど捨てばちになっているというのに。イラン映画「別離」のように煩わしくも、実際の現実が反映された作品世界に、彼女がいることで21世紀の恋愛映画として成立する。

 

 昨年も恋愛映画を幾つか観たけれど、どうしてもシックリこなかったのはトシのせいだけではない。「ラブ&ドラッグ」「50/50フィフティ・フィフティ」などはどちらかというと恋愛の要素が脇で、中心には据えられていない。ところが本作は適応できずに病んでしまう現代(「ツレがうつになりまして。」)という要素を前面に出しながら、ストレートに恋を描いている。「Shall we ダンス?」みたいなネタとタイトルがプレイブックというくらいで、ノミ屋の一発勝負という合体技で、終盤に向けて盛り上がりはピークに達する。「恋しくて」(ワシの若い頃のデートムービー)を思い出させてくれる、ラストシーンに涙してしまいました。「瞳の奥の秘密」以来の極上恋愛劇、ぜひご覧になってご確認を。

 

 話題になった「ザ・ファイター」がどちらかと言うと、優等生の映画に見えてしまうくらい本作の出演者たちは生き生きとしている。奇跡と気づかせない偶然の出会いを、我々の隣で暮らす人々として描いたミニシアター系ならではの得難い1本。監督のデヴィッド・O・ラッセル、すぐに次回作が見たくてたまらなくなった。ジョギングのシーンが結構あって、走るの好きそうだしね。もっとインディペンデント・スピリットは知られてもらいたいものだ。

 

現在(3/5/2013)公開中 
オススメ★★★★★

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 ウィンターズ・ボーン

 

 ジェニファー・ローレンスがどうして売れっ子なのかを、一発で理解できる秀作。彼女が一身に作品を背負っているので、ホントに驚かされます。実際に合衆国の田舎に溶け込んでいるし、「ハンター」に出てきたような幼い子供達の面倒を見ている10代の少女。クリステンにもアマンダ・セイフライドにも出せない生々しさが彼女にはある。経済吸血鬼の巣窟である都市とは縁遠いけれど、そこに住む人々は「Bubble/バブル
でも描かれたような底辺層。廃棄された車などは、荒廃が進んだアメリカの象徴みたい。コーエン兄弟もかの国の憂える事態を「ノーカントリー」で描いたけれど、批判的ではなくただ何気なく映しているように見せる監督の手腕はなかなかです。

 

 街の人々は顔なじみどころか親類縁者で、貧しい暮らしを違法行為でやり過ごそうとしている。ジェニファー演じるリーの父親が、トラブルに巻き込まれて失踪。苦しい生活をしている彼女は父を探し出さなければならない。ところが地方独特の“周囲の目”、“秘匿された掟”などが彼女に暗い影を落とす。「ツイン・ピークス」より格段に現実的で、生々しいなぁなどと思っていたら、あの作品で“世界一美しい死体”役だったシェリル・リーまで出ていたりして。伯父役のジョン・ホークスが実に印象的で、インディペンデント・スピリットを獲得するのも納得。どこか「パリ、テキサス」のハリー・ディーン・スタントンみたいなのだ。ショーン・ペンの「イントゥ・ザ・ワイルド」に負けず劣らず、ジェニファー・ローレンスのファンは必見です。
オススメ★★★★☆

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