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 スティーヴン・ソダーバーグの監督引退作。公開初日なれどもまばらな客席、と思っていたら上映開始前には8割の席がうまっていた。この人のファンがいるのか、出演者の魅力か。マイケル・ウィンターボトムの「トリシュナ」とかフェルナンド・メイレレスの「360」なんか未公開になっちゃうから、劇場で拝めるだけでも感謝です。技術革新のただ中を進んできた撮影もこなす人、ソダーバーグ。冒頭はデジタル撮影でこんなに綺麗に撮れるんだぜ、と言わんばかりの導入部。先月の「マジック・マイク」では黄色っぽかった画面が強調されていましたけれど、それは主演女優コディ・ホーンに合わせてのこと。今回はルーニー・マーラに心血が全て注がれております。

 

 もう彼女以外なんてどうでもいいって感じで、出てくるとじっくりと画面を凝視してしまいます。「ハートボール」では幼く、「ソーシャル・ネットワーク」では印象になかった。あっと驚かされたのが「ドラゴン・タトゥーの女」で、マーラ嬢の実力に気づいたのはデヴィッド・フィンチャーだけではありませんね。猫顔がいい女優の条件らしいけれど、イルカ顔だっていけます、ワシのストライク・ゾーンです。「グランブルー」のロザンナ・アークェット辺りからですかねぇ、ですからメラニー・ロランにメロメロ(「グランド・イリュージョン」の公開が待ち遠しい)。今まであんまりプロの女優に執着している様子がなかったソダーバーグ(「ガールフレンド・エクスペリメント」「エージェント・マロリー」も)、ヒッチコックのような監督の仕事に目覚めたのか?

 

 で、予想していたのは製薬会社を告発するとか、現代医療にメスを入れるとかの展開と思いきや、オーソドックスなサスペンスになっていた。ですから種明かしになっちゃうので内容には触れられません。「蜘蛛女」のレナ・オリンほど激しくはありませんが、「××××××××」(×部分はご覧になってから)の時の××××・×××××もタジタジの変貌ぶりに舌を巻く。また堅実な精神科医にジュード・ロウがハマっている。「コンテイジョン」でいるに決まっている詐欺師にも化けますが、ワトスンですからねじわじわと真相に迫っていく姿は見所でしょう。もしパトリック・ジェーンとかカル・ライトマンみたいな人が出てきたら、この物語は破綻してしまうかもしれない。それゆえの精神科医で、ユアン・マクレガーはまだそうでもないけれど、ジュードは年相応になっている。

 

 “最後にショーン・コネリーをモノにした”女優キャサリン・ゼタ=ジョーンズ「マジック・マイク」から続投のチャニング・テイタムも昨今よく見かける。キャサリンなんて「スマイル、アゲイン」が先週ですからね。でも彼女は女優根性発揮で、「バウンド」みたいになったりと・・・、これもネタバレか。こんなにストレートにやるとは思わなかったけれど、映像と主演女優で十分だから、あえて構造を複雑にしなかったのかもしれません。しかもご丁寧に引退と言っておきながら、舌の根も乾かないうちにもう次の作品(「恋するリベラーチェ」)をストックしているとは、世の中を煙に巻くのを楽しんでいるのか?まぁねぇジャーナリストに捕まるたんびに「次回作は?」と聞かれて、それがメディアに載ると途端に、株価やらの上げ下げに連動してしまうからテキトーに対処しているのかもしれません。

 

 新薬の副作用とか株価変動の陰謀とかはもう21世紀の現代なら織り込み済みで、根が深いし2時間弱の上映時間ではとても描ききれない。中身はあくまでもオーソドックスに迫って、それ以外の部分でソダーバーグは観客に訴えたかったのかもしれない。映画自体は娯楽作の要件を十分に満たしているし、満足して劇場をあとにできる。むしろ今まで観たこともなかったくらい、シンプルな作品と言えるかも。インターネットを注視していれば、TVニュースでシリア情勢が取り上げられれば、まず株やら為替のトピックがGoogleの上の方に掲載される。今回の引退報道も話題作りと割り切って、どっぷりメディア漬けの世間を茶化したのかも。よかった引退しなくて。

 

現在(9/6/2013)公開中
オススメ★★★★☆

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関連作

  360

 

 “袖すり合うも他生の縁”をグローバルな世界を舞台に展開すると、このような映画が出来上がるのかもしれない。アルトゥール・シュニッツラーの戯曲が原作なのだそうで、「トリシュナ」ともども21世紀に通用するものに仕上げたのがフェルナンド・メイレレス。2008年の「ブラインドネス」からご無沙汰になってしまいましたが、「サイド・エフェクト」のジュード・ロウだけでなく、レイチェル・ワイズアンソニー・ホプキンスも出ていて豪華なんだけど未公開。「ワールド・ウォー Z」でもチラリ出演のモーリッツ・ブライブトロイも、かなりきわどい役のベン・フォスター(「メカニック」で吹っ飛ばされてました)も持ち味が出ている。世界を飛び回り、知っている人じゃないとこの手のものは難しい。ジム・ジャームッシュ「ナイト・オン・ザ・プラネット」から随分と月日が経ったなぁという気になるし、ヴィム・ヴェンダースの「リスボンン物語」などが並行鑑賞にオススメ。

 

 ちょっと前に見終わった「クリムト」は20世紀初頭のウィーンが舞台ですが、21世紀になると、高級娼婦がインターネットを使用して客をとったりします。顧客はアラブの金持ちだったり、ロシアのマフィアだったり。商売の取引もワールド・ワイドになり、エストニアかドイツかで選択したりと、否応なく世界には外部がなくなっていく。パリに住むイスラム教徒は助手と交際するかで迷い、同じパリでは恋人に見切りをつけてブラジルに帰る女の子もいる。ブラジルに帰る途中で女の子が出会うのは、失踪した娘を探す父親で・・・。画面はデジタル撮影の賜物って感じでシャープかつ美麗。群像劇はロバート・アルトマンの「ショート・カッツ」が大好きですけれど、彼が存命だったら今どんな映画を撮るんだろう?デジタル技術を駆使して世界を飛び回って、信じられない繋がり方で、映画を成立させてしまうかも。もちろんそれを「ザ・マスター」のポール・トーマス・アンダーソンに期待。たぶん軽めでいったから、メイレレス監督の次回作はズシンとくるものになりそう。
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  トリシュナ Trishna 渇望する愛の落日

 

 “身分違いの恋”は文学のテーマになりやすい。英文科出身ながら読んだことないけど、「ジェーン・エア」とか「プライドと偏見」がこれに類するくらいは分かる。トマス・ハーディのダーバヴィル家のテスはロマン・ポランスキーも「テス」として映画化しているのだそうな。で、マイケル・ウィンターボトムが手掛けると、舞台を現代インドに物語を展開。「キラー・インサイド・ミー」は劇場で拝めたけれど、とうとうこの人の作品もレンタル屋ストレートか・・・。ストックされている次作の「いとしきエブリディ」は公開されるらしいけれど、ソダーバーグの知名度には及ばないのか?着眼点にしろ、おそらくデジタル撮影されている景色は期待される鮮やかな色彩とも違い、なかなかなんだけどねぇ。

 

 身分の差が厳然とあって、都会と田舎の生活もかなりクッキリと区別できるインドだけにこの物語は活きてくる。冒頭に英語を話している青年たちが登場すると、乗ってるジープも小道具に彼らが富裕層なのが伝わる。「マイティ・ハート」とか「グアンタナモ僕達が見た真実」を撮っているマイケル・ウィンターボトムならではで、インドの日常に観客を導いてくれる。インド映画のお約束とも都市部のアンダーグラウンドを描いたものとも違う。「スラムドッグ$ミリオネア」からあっという間に美しく成長したフリーダ・ピント、「サイド・エフェクト」のルーニー・マーラが御年28歳で、この人も29歳とは、80年代生まれの女優さん達はもう大人なのね。

 

 これを合衆国で展開するとなると、そうとう無理がありそうだし、英国と因縁浅からぬ国の選択は正しい。で、貧富の差があれども田舎での暮らしは、“悪くなさそう”と感じるのは年のせいか。茶葉詰めている工場とか厳しいかもしれないけれど、ああいう暮らしをセンセイたちが“取り戻す”をスローガンに掲げたら、一票投じてしまいそう。「風立ちぬ」ではないけれど、秒進分歩の世界に埋没して、我々が失ってしまったものか映されているのが何よりだ。でもイイ女に成長しただけに、フリーダがやっちまうところはゾッとしますな(「恋のロンドン狂騒曲」とは別人)。またラストはまさに「アイ・ウォント・ユー」の監督ならでは。
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