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PARKER/パーカー

  PARKER/パーカー

 

 2005年の「Ray/レイ」は文句なしに素晴らしかった。ところがアカデミー賞まで獲得して、劇場で拍手まで起こった作品だったのに、その監督テイラー・ハックフォードの新作はいつまで経っても公開されない。ヘレン・ミレン(「ヒッチコック」が楽しみ)を奥さんにしている、この手堅い手腕の持ち主の実力は「プルーフ・オブ・ライフ」でも思い知らされた。期待度高い1本です、ジジイの監督だし、公開館数も少ないし、イケそうな匂いプンプン。製作は有名どころの会社じゃないし、予告編もあまり目にしない(当てにしたのがクロック・ワークス)。「完全なる報復」「推理作家ポー 最期の5日間「もうひとりのシェイクスピア」などのパターン。でも“オレだけが知ってるぜ”というのは思い上がりで、平日(14:50の回)のワリには6割入っている。皆さんよくご存知です、インターネットで確認の時代です。

 

 お話は極道者パーカーの分かりやすいB級映画っぽいスタート、それ以上でも、それ以下でもありません。「殺しの分け前/ポイントブランク」を見ていない似非映画通ですから、原作がどういうものかはサッパリながら、冒頭からもう入り込んでしまいます。だって簡易遊園地が出てくるんですけれど、「パッセンジャー57」でも使われた舞台装置で、気楽に眺めることができる。もちろんそれにはワケがあって、カードが支配的な21世紀ですから、現金が大量に集まる場所は限定される。メジャーリーグのスタジアムは「ザ・タウン」でやってたけど、強盗を若手の監督が手掛けると、情報量が過剰になる(「ダークナイト」)。でもスカスカに見えても、冒頭部分からグッタリさせられたら後半持ちませんよ。で、かっぱらったは良いけれど、仲間割れ発生。ワルながら仁義通す極道者のパーカーは、欲の突っ張った連中とは相容れなくて・・・。

 

 以前のスティーヴン・セガールが得体の知れない男の説明を不要にしたように、今のジェイソン・ステイサムにはチンピラ上がりで、海千山千の悪党だというイメージは流用が可能。銀行強盗もやったし悪党もやったし、腕利きドライバーは十八番。でも消耗品軍団の中でラブシーンを演じられる元モデルだけに、色恋沙汰もOK。そこで登場なのがジェニファー・ロペスかと思いきや、キチンと恋人がいる。これが映画をもうひとつ膨らませる仕掛け。「ボーダータウン 報道されない殺人者」で女優根性を見せ、歌手としても活動を継続中(アルバムLove?のOn The Floorも悪くなかった)。オヤジ映画でお色気シーンを入れる口実“盗聴機があるかもしれないから脱げ”は笑ってしまうけれど、ジェニファーはやはりスター(ポップアイコンとかって言った方が良いの?)。抜群のプロポーションを見せつけられて、一発で鼻の下が伸びる。ただ「ロック・オブ・エイジズ」キャサリン・ゼタ・ジョーンズみたいに、メイクはわざとオバサンにしているけどね。

 

 極道パーカーが仲間割れした悪党をかわしつつ、ブツをいただく部分はぜひご覧になってご確認を。「ザ・エッグ〜ロマノフの秘宝を狙え〜」などの要素も入っていますけれど、非実録B級強盗ものというと「テイカーズ」が2011年にあったくらい。60年代の原作を21世紀に展開しても、笑われないようにした脚本の功績は大きいでしょう。「ブラックスワン」を手掛けたジョン・J・マクロクリン、「ヒッチコック」も担当だから監督に信頼されている(夫人経由かも)。テイラー・ハックフォードの手腕は手堅く、はじめのうちはB級のラインに見えるんだけど、ジワジワと大人が見ても映画を観ている満腹感が増していく。昨今お目にかかれないスタイルで、暴力描写がホントに痛そう。北野監督が今後ヤクザ映画を撮りそうもないから希少価値が高い。また同時に絶滅危惧種=タフな男が、傷を縫ってもらっているシーンが和みになって、わりかしお気に入り。

 

 ハードボイルドという点で「アウトロー」がすぐに思い浮かびますが、トムの渋さは
ジェイソンには及ばない。そういえば「コラテラル」で共演しているんだよな。ワシと同い年の45歳、体力の続く限りアクション映画の主役を張り続けていってほしい。アーノルド・シュワルツェネッガーシルヴェスター・スタローンもがんばっているし、ジャッキーさんだって新作が待機している。でも強みは美男でなくとも色恋沙汰に無理がなく、あのジェニファー・ロペスを袖にできるなんて、アクション・スター の中には見当たりません。

 

現在(2/18/2013)公開中 
オススメ★★★★☆

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関連作

 モハメド・アリ かけがえのない日々

 

 “蝶のように舞い、蜂のように刺す”が枕詞で、“エキジビション・マッチで呼ばれてきたのに、アントニオ猪木と‘格闘技世界一’をやるハメになった”というトリビアまでは知っている。しかし実際に戦っている映像はお目にかかったことがなく、このドキュメンタリーはすごかった。10年以上前に見た時は「ロッキー」のアイディアが、この人から抽出されていたのだと発見。「PARKER/パーカー」のテイラー・ハックフォードが製作だったこともあり再見して、またまた気がつくこと多々あり。経年劣化する作品と経年熟成する作品があるなら、本作は紛れもなく後者だ。モハメド・アリという人を知りたくなればWikipediaを開いて読むけど、映像資料として十二分の傑作。

 

 まずマイク・タイソンの時代までニコニコしながら顔を出すドン・キングは笑ってしまうが、彼はザイールで行われるジョージ・フォアマンとの対決を世紀のイヴェントにしてしまう。ジェームズ・ブラウンを呼んできて歌わせたり、若き日のB.B.キングなんて「U2/魂の叫び」と見比べるのも面白いかもしれない。気の毒なのは同じアフリカ系なのに、悪者にされてしまうフォアマン。モハメド・アリという人は口の達者な切れ者で、マスコミの露出頻度を増やし、状況を味方につけてしまう。マスコミは未だにコレと似たようなことやっているけれど、実に興味深いドキュメンタリーにして偉人伝。スパイク・リーも出てきて、彼がただのボクサーには収まらないことを語る。家でフィルム撮影されたドキュメンタリーを見ると、ホッとするなんてねぇ。ウィル・スミス「AL アリ」も見たくなった。
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