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もうひとりの息子

  もうひとりの息子

 

 情報収集アイテムは多種多様になった昨今、本作に至る経緯はCDV-NETというサイトのおすぎさんのコラム“おすぎのビデ・シネプレビュー”が情報ソースだ。ずっと前だけどNEWS23でおすぎさんが紹介する作品は当たり確率が高かったし、アテにできる映画評論家。“今年度のベスト1確定の秀作”と記しているくらいだから間違いないでしょう。加えて題材は“子供の取り違え”を扱っているから、舞台がテルアビブでもアチラの話として片付けずに観ることができる。もちろん「そして父になる」を9月に観ているんだから、“土地柄の違い”も含めて興味津々。で、混むだろうなぁと予想していた通り、平日の初回で8割の観客で埋まったシネスイッチ銀座

 

 ただし客席を埋めているのはワシ(齢45)より年上の女性ばかり。似たような客層は「いわさきちひろ〜27歳の旅立ち〜」の時もそうだったけど、銀座ならではの特徴ですな。みなさん意外と、インターネットを活用して情報収集されているのかもしれない。ま、「そして父になる」は大ヒットだし、ご丁寧に始まる前に予告編まで流された(また泣いてやんの)。でもヒットしすぎるのは心配。確か大ヒットしたノルウェイの森が村上春樹氏に災いしたようで、海外脱出を余儀なくされたことは、エッセイにも触れられていた。まさか是枝監督がそうなるとは考えたくないけれど・・・。「そして父になる」に不満があるとすれば、スクリーンのサイズだが、作品内容とは無縁です。

 

 直近で扱っている題材が似ていても、似ている箇所があるだけで、まるで違う映画として観賞可能。家族全員が当事者なれど、一番選択を突きつけられるはずの、取り違えられた2人の年齢が肝心。小学校に上がる前の子供と、既に18歳に育った青年の場合は違った様相を呈する。2人が既に“分別のある”年齢に達していることで、本作にホッとする反面、ヤバイなという側面も出てくる。子供なら左右されない民族、宗教、国家が2つの家族にのしかかる。例えばこれが韓国と日本だったら?カナダと合衆国だったら?もっと違った展開になるけれど、パレスチナ人とユダヤ人だけに深刻で、ごく自然に様々な問題が浮き彫りになる。

 

 本当に無知なので、イスラエルのガザ地区がどういう土地かサッパリ分からない。「ミラル」「いのちの子ども」でおぼろげながら知った気になっているだけ。「アワーミュージック」でも語られる“パレスチナ人とユダヤ人”は“世の中を良くしようとしている”世界の首脳たちにとって頭の痛い問題。また全世界を描く場合、イスラエルを無視すると“抜かってるぜ”と思われるので「ワールド・ウォー Z」でも壁を描いている。本作で生まれを大切にするユダヤ教をラビに語らせたりして、かなり突っ込んでいると思われる。でもこの題材ならではで、“ああ、あの人たちってそうなのよ”という観客の心理を剥ぐ効果がある。

 

 無縁ではいられないけれど、融通のきかない国家とか民族とか宗教ってのは、家族や育った場所の前にはそんなに重要じゃない(などと言うと叩かれるのかな?)。スパーロックが晩御飯ご馳走になるモロッコのシーンは記憶にくっきりと刻まれていて、世界平和のヒントって地味なれど、身近なところに転がってるのかもしれない。本作には至るところに散りばめられている(と勝手に解釈)。2つの家族が戸惑いながらも近づいている様は痛々しくもあり、静かな感動へ昇華する。お母さん同士がすぐに仲良くなるのは「そして父になる」と全く同じで、「クリスマス・ストーリー」以来のエマニュエル・ドゥヴォスは「キングス&クイーン」からキレイに年を重ねましたな。

 

 殺し合いを回避するために人類が捻り出したのが国家や宗教だと思うがどうか。現在は隔てる目的のみ優先されているけれど、隔てたところでアッサリ乗り越えちゃうことを後の世代に期待。いずれ病院を建てるという志を持っているヤシンが、海岸でアイスクリームを笑顔で売ったりしているようにね。でも確実に世界は変化していて、窺い知れるのが話されている言葉ですよ。「エリジウム」だと上流階級の言葉=フランス語なれど、ガザ地区からフランスに留学しているヤシンはもちろんペラペラで、2つの家族はたいがい通じる英語で意思疎通をする。日本語字幕と合わせて英語字幕が下に出るのも、これだけ日本在住の外国人が増えれば当然。

 

 題材も素晴らしく、上映スタイルも時代に即している。こんなに優れた感動作に賞をあげられる映画祭ってエライ、と思ったら東京国際映画祭だそう。行ったことないけれど、イスラエルやパレスチナに遠慮しないで選出できるのは我が国ならでは。「アーティスト」「ものすごくうるさくて、ありえないほど近い」「ヘルプ〜心がつなぐストーリー〜」を比較すると分かりやすくて、人々が“忘れたがっている”題材を扱うと、外国産選んじゃうのがアカデミー賞で・・・、それは意地悪か。監督のロレーヌ・レヴィは根性あるし、実力あるし、もっと積極的に紹介してもらいたい。映画のお祭りでも世界平和に貢献できる。

 

現在(11/5/2013)公開中
オススメ★★★★☆

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 「ミラル」で少しだけ触れたアラブ側から描いたエルサレム。まるで実感どころか、けっきょく無知な自分を思い知らされるからスルーしている(「ランド・オブ・プレンティ」だって2005年か)。ガザ地区に関しての知識はTV宣伝の範囲内しか持ち合わせがない。ところがこのドキュメンタリーには宗教対立も含めて、かの地域の手がかりとなる情報が副次的に込められている。もちろん描かれているのは命の尊さで、難病の赤ん坊を救おうとする家族親類と、医師の取り組みが映し出される。そしてなるべく中立を保とうとしているように描かれるのがドキュメンタリーの常ながら、監督であり撮影者のシュロミー・エルダールは数少ない真のジャーナリストだ。

 

 ジャーナリストと母親とのやり取りは、ありありと“かの地の実情”を浮き彫りにする。せっかく助かった我が子を殉教者にするとは・・・。ところがそれもIT時代の世間様に抗する為。インターネットの書き込みが、TVと同じになっては元も子もないと落胆。散発的な戦闘が絶えないではなく、イスラエルは戦時中なのだということは映像を見れば分かる。ココ・ヘクマティアルが忌み嫌う状況そのものだ。ただ現実に生きる人にロケットの中に量子コンピュータを仕込んだ装置を搭載して、世界の情報を操るなんて夢物語もいいところ。“日暮れて道遠し”ながら、“〜が悪い”と傾斜する自分の心理に警戒して生きていくしかない。もちろんメディアによる魅力的な人の扇動も然り。あ、観客に自分と向き合わせる映画だったのか?
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