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エンド・オブ・ホワイトハウス

  エンド・オブ・ホワイトハウス

 

 予告編からも察せられた通り、「沈黙の戦艦」「ザ・シークレットサービス」の合体技じゃあ?がピタリと当たったアントワーン・フークアの新作。前作はブルックリンについて描いているんだけど、今回は彼の政治姿勢がモロに出ていますな。「セレブの種」のスパイク・リー同様に、この人もあの男が嫌いのようで、履歴を漁って見た「ライトニング・イン・ア・ボトル」にもチラッとだけど窺い知れる部分があった。で、民主党政権下だとヒーローとして描かれることの多い、合衆国大統領。「エアフォース・ワン」とか「インディペンデンス・デイ」とか共和党の時とあからさまに違う。ま、そんな中で「スーパーチューズデー」は異色なのかもしれません。

 

 先に観ていた若い人からは「面白かったよ、見た方がいいよ」と推されてたし、監督の力量は「トレーニングデイ」以来分かっているつもりだった。ところがですね、トシは取りたくないもので、冒頭からむむむ?となってしまった。「ネイビー・シールズ」とか「ゼロ・ダーク・サーティ」で21世紀の戦争映画を知った気になってたオッサンは、やすやすと帝国=合衆国の首都ワシントンに飛来する飛行機に「えっ?」となってしまう。だってあなた、“9.11”以来未確認飛行物体にはピリピリしているはずのかの国、宇宙から来たロボットならまだしも、突然正体不明機が現れるなんていくらなんでもやり過ぎ。

 

 加えて世界最高峰の戦闘機F22(だったかな?)「009 RE:CYBORG」にも出てくるアレを撃ち落すなんて・・・。もしあんな性能があったら、売った方がよっぽど儲けになりそう・・・。ま、「藁の楯」と同じでそんなことにいちいち目くじら立てちゃいけないのかな、要するにプロパガンダなんだから。オマケとして、大手の製作ではないのも一因かもしれない(アスミック・エース配給だし)。

 

 プロパガンダと言っても、物凄く好意的に解釈して(この監督が好きだからね)、訴えたいことは核兵器の危険性と国家統一ではなかろうか?爆発したらどれだけの災厄が降りかかってくるかは、思い知らされている日本人。前から気になってたんだけど、撃ち込まれる方もだけど、持ってる方はよっぽど危険ではないか?早い話があのいらんモンは、さっさと捨てちゃうのが正解なんで、日々過ちを継続中の核保有国。

 

 加えて戦争は失政だから、共和党は厳しい視線に晒されているわけだけれど、国民の政治不信は収まらない。よって精彩を欠いてしまう現大統領を、応援したい気持ちが込められているのかも。ゴッサム・シティに偽りの平和をもたらしたトゥー・フェイスを演じたアーロン・エッカートなれど、「インディペンデンス・デイ」のビル・プルマンに近い感じですよね。

 

 大統領を救うため、ファースト・レディを犠牲にしなくちゃなんなかったSPマイクに扮したのがジェラルド・バトラー。ずーっとオーストラリア出身と思い込んでいたこの人は英国出身で、「英雄の証明」などでも演技力を証明。今のところベストは「完全なる報復」で、パンツ一丁のコスプレからラブコメで下品な男になったり、作家の妄想が生み出すワイルドな男だったり、「マシンガン・プリーチャー」も素晴らしかった。今「ドラキュリア」を見ると失笑してしまいそうですけれど、タフで頼れる男はまさにハマり役。合衆国の危機に果敢に立ち向かっていきます。

 

 ま、現場外されて・・・なんて部分は「不機嫌な赤いバラ」の時のニコラス・ケイジみたい。もっともそんな彼を分かってくれる上司役のアンジェラ・バセット(「Black&White/ブラック&ホワイト」)はもっと出番が欲しかったし、早々に退場してしまいますが、アシュレィ・ジャド(「コレクター」)ともどもオッサンとしては嬉しかったですな。

 

 「イルカと少年」でもアシュレィと共演していたモーガン・フリーマンは監督にお任せされていたみたい。ネルソン・マンデラまで演じたいぶし銀ですから、大統領が人質にされて、空白になった臨時の国家代表がすんなりハマった。「ディープ・インパクト」でとっくに大統領になってたしね。共演ということでは「ザ・エッグ」でもモーガンと一緒だったラダ・ミッチェルもオッサンの密かなお楽しみ。

 

 前世紀この手のお約束だった“現場知らない司令官がやらかす”ところは「ダイ・ハード」に酷似していて笑ってしまう。けれど、孤軍奮闘のヒーローをサポートするのが、モーガンとアンジェラという豪華さはさすがの布陣でしょう。仮想敵国としての北朝鮮なれど、「THE MENTALIST」のチョウみたいに確実に合衆国にその勢力を拡大しつつあるコリアン。「アジョシ」などのアクション・シーンを取り入れているみたいだし、日本が全く無視されているのが残念だ。

 

 年齢によって映画を観る立ち位置(情報量)は違ってきます。案の定「ハンガーゲーム」でも若者は主人公を演じたジェニファー・ローレンスを絶賛で、おっさんキャラなんて覚えていない。そしてやっぱり本作をご覧になっていた同年代のお客さんと“ありえないよな”と爆笑でした。ただあのシャープなアントワンがしくじったのではなく、なりふり構わずプロパガンダに徹した珍品として、豪華共演を楽しむに限ります。

 

 悪いトコつつけばもちろん膿が出てくるのが政治家。「リンカーン」も敢えてエグるようなことはしなかった。加えてもうアクション映画で、全国民が注目する場所って大統領の家しかないもんね。少なくとも若者には受けそうだし、それで良いのでは。前日に「ライトニング・イン・ア・ボトル」を拝むきっかけになっただけでも、私めとしてはOKなのです。監督の次回作に期待。

 

現在(6/16/2013)公開中 
オススメ★★★☆☆

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 ライトニング・イン・ア・ボトル

 

 「エンド・オブ・ホワイトハウス」の前にアントワン・フークアの履歴を漁っていて見たら、大当たりの音楽/ドキュメンタリー。チャリティー・イヴェントに集まったのはブルースのスターばかりなのだそうな。無知なワシだけに入門編になって、また知った風な口が利けるようにもなった。もちろん予習は坂本龍一氏のTV番組Scholaでバッチリ。アフリカ音楽、ロックの歴史を経ているのでワクワクする。ブルースとはアフリカから、奴隷として連れてこられた黒人たちが生み出した音楽で、後にロックン・ロールへと発展する。ライヴの冒頭は初期の曲で、「扉をたたく人」のジャンベが奏でるリズムっぽく、アフリカの大地を想像させる。

 

 御大たちはやはり本物のミュージシャンで、カッコ良い。アラン・パーカーが「ザ・コミットメンツ」で役者を使わないわけだ。BBキング(「U2/魂の叫び」もぜひ)くらいしか判別できないけれど、ボニー・レイットは当然としても、エアロスミスの2人、スティーヴン・タイラーとジョー・ペリーも聴かせます。そしてゲストの位置だけど、ナタリー・コールにニヤニヤ、メイシー・グレイの“Hound dog”にノリノリ。

 

 ライヴの模様と平行してブルースの歴史が語られ、曲がその起源から現代に近づくにつれて、「あれ?既にロックじゃない?」というところで、「キャデラック・レコード」が思い当たる。“ジャンル症候群”だから、区切ろうとするけれど、アメリカ(北も南も)、英国、アフリカの大衆音楽は地続きだ。奴隷制という人類史に残る罪科は、このような副産物ブルース、ジャズ、ラテン、ロックなどを結果的に生んだ。“音楽離れ小島”の我が国で、ロックを感じるのはRC サクセションで、仲井戸麗市はアレのパンフレットにチェスレコードのことを書いてたな。だからヒップホップにまで影響を与えた、坂本龍一が所属していたYMOは 後々音楽史に登場することになる。

 

 音楽は生き物で、変化し存続し続ける。ジャンルとはその一時期を指して、当てはめた呼称に過ぎないことを思い知らされる。ブルースからロックンロールが生まれ、英国でリフによりロックになる。段々派手にはなったけど、行けば行くほどバカらしくなるだけで、小屋で演奏するスタイルに回帰。ワシはバカらしくなる時期から聴き始めて、オルタナティブが発生した時期に良く聴いていた。ただ21世紀には音楽を取り巻く環境が激変している。よってトシ取ったからブルースをではなく、ひとつの音楽形式として楽しむことになる。ただし、イントロダクションとしても本作は優れていて、味わいを増してくれる。

 

 以前だったらローリングストーンズのライヴばかりを聴いていたけれど、オリジナルをじっくりと聴き込むと、彼らの楽曲はビートルズと並行しても劣らない。ただ、ジョンとポールの曲はロックに収まらないだけなのだ。ぜひ参考までに「ザ・コミットメンツ」「キャデラック・レコード」「パイレーツ・ロック」「ゲットラウド」「U2/魂の叫び」「イヤー・オブ・ザ・ホース」「Ray/レイ」などをどうぞ。音楽に詳しいのはスパイク・リー(「セレブの種」)ばかりじゃなく、アントワン・フークアもよく聴いている(チラっと出てくるんだよね)。

オススメ★★★★☆

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