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オブリビオン

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 いつもネタバレですけれど、ぜひご鑑賞後にお読みください、特に×部分はご注意ください。

 

 SF超大作をスターが看板背負って、サマー・シーズンにかけて映画業界を盛り上げていくのが、今年の傾向かもしれません。ただ大通りはそうでも、インディ系は恋愛映画に秀作があって(「世界にひとつのプレイブック」、「君と歩く世界」)、役割分担ってところでしょうか。ま、興業収益を稼ぎ出す大作は派手でなければ。シリーズもプリークァルもみんな食傷気味だし、デカいスクリーンにデカい音、スターが必死の演技でみんなをワクワク、あっと驚かせてくれなくては。流れを読むのが天才的なジェリー・ブラッカイマー「ローン・レンジャー」作ってるしね(2011年の「パイレーツ・オブ・カリビアン/生命(いのち)の泉」以来だ)。

 

 先に観ていた若い人は「そうでもなかった」と言っていて、付け加えて「月に囚われた男」「×××××」っぽいんだそうな。「×××××」はネタばれですが、ダンカン・ジョーンズのデビュー作は予告編からも想定内。荒廃した地球に残されたトム・クルーズ扮するジャック・ハーパー。ゴミだけ残して人類が逃げちゃったりウィルスで人がいなくなった地球を予想していましたが、金持ちに売れそうなハイタワーに暮らしているジャック。目覚める彼は記憶を・・・なんて呟いているから、当然アレかな?そういえばアレもやってたなどと、余計な事がグルグル脳裏を巡ります。超大作なんだし、頭空っぽにして見れば良いのに・・・、映画鑑賞をなんだと思っているのか?とは言っても職業上仕方ありません、私めの場合、お客さんに「なんかない?」と聞かれた時の備えでもあるんですから。

 

 で、ノーマルとは言い難い観賞姿勢ながら、だんだん楽しくなってくる。エイリアンVS人類の戦いに勝利したものの、地球は荒れ果て不毛の大地に変貌。住めなくなったら“タイタンに行っちゃおう”は21世紀的でしょう。以前だったら移住先が火星に想定されていましたが(「宇宙戦艦ヤマト2199」にも出てくる)、土星の衛星も範囲内になってきた(「プラネテス」)。エネルギーを確保するため、海水を汲み上げているけれど、それを残存エイリアンが狙っていてる。駆除しているのが「×××××」の脱出ポッドの形をしたドロイド。SF映画の金字塔からデザインを拝借した機械に、エポックから名前を流用、やらせているのがアレと同じこと。

 

 的外れかもしれませんが、「コップアウト」みたいに眺めるとたまりません。で、記憶が・・・の部分でご禁制の“夢落ち”を疑ってかかるんだけど、ジャックの正体が実は××××で・・・、宇宙飛行士が絡めばもちろん「 ××××××」から頂いちゃってる部分もある、彼の服装がまさにそうですからね。もう観ているそばから「オレ絶対見ていない元ネタてんこ盛りだぜ」とニヤニヤしてしまいます。DVDでリリースされたら、コメンタリー聞くのが今から楽しみ。

 

 もう「バトルフィールド・アース」まで入れてるんじゃ?というくらい、過去の作品を自在に配置しているかのようだ。まぁSF超大作に挑んでくれただけで、この監督には感謝です。「100,000年後の安全」と比較すれば分かりやすいですけれど、SF映画の時代設定ってそんなに遠い未来のことじゃない。「アフター・アース」だってせいぜい4桁です。お客さん楽しませてなんぼです、“分からん者はついて来なくて良い”グローバル主義より人間的です、余地あるから。何度も楽しめるパッケージ商品(いつまで続けられるのか・・・)として「009 RE:CYBORG」は優れているし、過情報作品はお店としては助かります。「トロン:レガシー」の特典をご参照頂きたいんですけれど、この監督ジョセフ・コシンスキーのヴィジュアルは抜きん出ているのだそう。彼のグラフィック・ノベルが原作で、そういえば珍品「カウボーイ&エイリアン」以来ご無沙汰している。「ヒストリー・オブ・バイオレンス」とか「コンスタンティン」とかわりとテイストが大人向けで、好きだったんだよな。

 

 俳優さんのお楽しみはトムモーガンの共演で、×××××被って出てくるいぶし銀はトムを若造に見せて「ラストサムライ」を思い出す。実は「宇宙戦争」のナレーションをモーガンは担当なので、初ではないんだな。「RED/レッド」に近い役回りながら、御大も楽しそうだ。そしてヒロインがオルガ・キュリレンコちゃんで、監督の好みがありありと出ている。「トロン:レガシー」のオリヴィア・ワイルドと比較しても分かりやすく、目がおっきくて、サイボーグっぽい。

 

 それにしてもトムは年取りませんな、「007/慰めの報酬」でボンドガールのオルガはダニエル・クレイグと年の差を感じさせましたけれど、トムと全然釣り合っている。ま、彼が異常に“若く見える”のは仕掛けなので、ぜひご覧になってご確認を。バイクが似合うライアン・ゴズリングを4日前に観ていたせいで、“やっぱこの人単車が決まらないな”と思いきや、2人乗りになると安定する(「ナイト&デイ」然りです)。空飛ぶ乗り物は爽やかだからピッタリなんだけどね(「トップガン」)。キラリと光る脇役にサイクス軍曹役のニコライ・コスター=ワルドーがいますけれど、デンマーク出身のこの人は今後要注目かも。

 

 “オリジナルな部分がない”という印象を持つ人がいてもおかしくない。でもさ、未知の映像体験ってそうそうないですよ。その種の宣伝文句に何度もズッコケさせてもらいましたし、万人向けでないと大作の責任を果たしていない。面白いのはこの種のSF超大作は合衆国と我が国が好んで作り続けている。それは「インストーラー」のようなフランス産と比較するとハッキリする。ラストは「MATRIX」「スターウォーズ/ジェダイの帰還」に恐ろしく良くに似ているヴィジュアルながら、「×××」になっているんだよな。

 

 大友克洋がメカのデザインを担当した「FREEDOM」の影響がチラチラ見えたりするのは、気のせいじゃないでしょう。だから日本アニメーションは誇れる文化なのだ。「リアル・スティール」がそうだし、「アイアンマン」だって「アップルシード」から頂いてる(と勝手に解釈)。本作は「エクスマキナ」の影響だって・・・。同盟は軍事方面ながら、文化の影響関係は比較文化の本がやすやすと1冊できそう。さらにこの監督、ヴィジュアルも優れているが、音楽の趣味がワシのストライク・ゾーン。DURAN DURANとかASIAのアルバムジャケットが映ったかと思ったら、“A White Shade Of Pale/Procol Harum”がかかったりね(ベタなの分かってますけど)。

 

現在(6/10/2013)公開中 
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 FREEDOM

 

 CM と連動して認知度を広めたOVA (TVで放映されたのかな?)。キャラクター・デザインが大友克洋だけに、注目していたけど、やはり「AKIRA 」の延長線上のような印象がある。地球を離脱し、月に住む人々ながら、営みは変わらず落ちこぼれがいて、バイクのレースに熱狂。フトしたことから住めないとされた地球からメッセージが届き、冒険が始まる。金田は根性で超能力に立ち向かったけど、本作の主人公タケルもまたしかり。科学なんかなくてもみんな幸せ、はこの手のSFでは必ず取り入れられる設定。

 

 で、ヒロイン=アオはもちろん健康美。宇多田ヒカルが主題か担当で、エヴァンゲリヲンもだから、先端をいくアニメをわかっている。ロケットもさることながら、バイクレースのシーンはワクワク、大人の“少年はこうあって欲しい”願望が投影されたキャラクターたちだが、機械都市に生まれたって野性味は失われないハズ。「王立宇宙軍」から月日が経っていてもね。

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