関連テーマ 

 

 






サイドボックス

ここにテキスト


出し

マラヴィータ

マラヴィータ  マラヴィータ

 

 ロバート・デ・ニーロがメディアに出まくって宣伝するなんて、20年前は考えられなかった。ホントにRyu's Barに出てきたときは「どえっ?!」となった。それがなんと「徹子の部屋」にまで出演しているではありませんか。中身に自信があって、大勢に見てもらいたい気持ちが強いのか。シャイで真面目な都会人が、奥さん連れて舞台に上がるとは。時代は急いでいるようで、この人の出演作は「レッド・ライト」「世界にひとつのプレイブック」と劇場で拝んだのはそんなもんだけど、他にも彼の出演作が公開されている。来年早々の「アメリカン・ハッスル」が今から楽しみで、元気だなぁ。

 

 デ・ニーロが内容に自信があるのも納得の黒幕たち。製作総指揮がマーティン・スコセッシで、監督はリュック・ベッソン。スコセッシは「ヒューゴの不思議な発明」が良かったし、「サイド・バイ・サイド/フィルムからデジタルシネマへ」で今の映画を語る生き字引。またローリング・ストーンズが好きな人で、音楽にも造詣深く、プロデュース作の「ライトニング・イン・ア・ボトル」なんかブルースを発見させてくれた。監督作は「The Lady アウンサンスーチー ひき裂かれた愛」以来ですが、プロデュース作は「ロックアウト」なんか美味しかったし、アメリカ映画の重要人物を迎えて、フランスの映画界を代表するベッソンはどんな趣向でくるのか?

 

 注目していたのは予想範囲内のビッグ・ネームではなく、原作のトニーノ・ブナキスタ。この人が気になるのは「君と歩く世界」経由で、監督ジャック・オーディアールの「真夜中のピアニスト」でセザール脚色賞を獲得。アメリカ映画のリメイクを、見事フランスに置き換えることに成功している。またそれだけでなく、ワシにとっての映画最優先事項=メラニー・ロランまで発見させてくれたりして。合衆国のマフィア映画に対する知識は半端じゃないでしょう。ベッソンも「レオン」撮ってるし、裏社会を描いた作品は死ぬほど見ているだろうし。「パリより愛を込めて」なども作っていて、本作も興行収益が優先され過ぎる帝国に挑戦しているのかも。

 

 お話はフランスの片田舎に越してきたフレッド・ブレイク一家、胡散臭さは「アダムスファミリー」に負けず劣らずで、一家揃って堅気じゃない。映画が進んでいくと、FBIの証人保護プログラムで、かくまわれている元マフィアの家族。ただこのキャラクターは珍しい、たいてい保護下にある人が描かれると、お話は実録かシリアスなサスペンスになっちゃう。で、パロディ満載で実に楽しい。コルレオーネのモノマネはしなかったけど、アル・カポネの話しをしながら、バット握ってるんだもんね。「アンタッチャブル」のあのシーンが蘇ります。相手がナメた態度取ると、とたんに顔色が変わるフレッドはその度に笑ってしまう。

 

 デ・ニーロの場合、セルフ・パロディやった「アナライズ・ミー」がありますけれど、もっと悪ノリ。どういうわけか田舎の人たちを集めた上映会で、「グッドフェローズ」をみんなで見たあと討論会に突入。切々とマフィアの実態を、マジ顔で語るフレッドはサイコーです。もちろんオヤジだけじゃなく、ミシェル・ファイファーもおっかない姐さんで、子供たちは「キックアス」ばりのバイオレンスを展開。ミシェルは「ダークシャドウ」があったし、「恋のゆくえ」は遠い昔ですな。トミー・リー・ジョーンズはデ・ニーロと共演したことなかったっけ?というくらい相性がピッタリに映る。

 

 枠組み、共演履歴などを漁っても新鮮だし、中身はアメリカ映画が“ポリティカリィ・コレクトネス”として避けちゃう部分も、涼しい顔で描いていく。呆気にとられるのは隠れたはずの居所が、信じられない経緯でバレるところで、ぜひご覧になってご確認を(ちょっと「スナッチ」っぽいのね)。マフィアが送り込んだ殺し屋たちには、独特の凄みもあり、警護のFBIがアッサリ退場なんて、テイストが違う。マフィアの殺し屋もFBIの2人も、展開膨らませそうな美味しいキャラクターなんだけど。マフィア映画と「アダムスファミリー」の合体技で、オッサンにとっては愉快でした。「2ガンズ」も良かったし、量を増やすならこの手のものでよろしくお願いします。

 

現在(11/18/2013)公開中
オススメ★★★★☆

Amazon.com

DMM.com

 

前のページ    次のページ

 

top

 

関連作

  真夜中のピアニスト

 

 先に「君と歩く世界」を観ているだけに、“やっぱ時代遅れだよなオレ”と思い知らせてくれる秀作。データを漁るとハーヴェイ・カイテル主演の「マッド・フィンガーズ」(見たい、ぜひ見たい)をリメイクしたそうで、脚色のトニーノ・ブナキスタはセザール賞を獲得している。パリが舞台だが、ニューヨークに移しても違和感はなさそう(実際は逆か?)、「マラヴィータ」の原作は伊達じゃない。冒頭で先進国らしく、老いていく父親について触れられている。主人公のトムも持て余しながらも、父親のことを心配している。これは監督ジャック・オーディアールの持ち味で、欧州の現実をキッチリ作品に込めている。不動産ブローカーって移民の追い出しも仕事の一部だし、不法占拠している人々も生々しく描かれている。

 

 トムを演じるロマン・デュリスは「ムードインディゴ/うたかたの日々」で、金持ち坊ちゃんから失業者に変身したけど、どの作品でも印象が違う。コチラでは「汚れた血」のドニ・ラヴァンを思わせる、ワイルドさも兼ね備えたピアニスト(未満)を繊細に演じている。「恋のゆくえ」ジェフ・ブリッジスにも驚かされましたが、彼もなかなかの腕前でしょう。また彼の父親と“いい仲”になる娼婦がエマニュエル・ドゥヴォスで、その後お母さん(「もうひとりの息子」)にもなりますが、お目にかかれるフランス映画には偶然だけど、この人もよく見かける。音楽映画にサスペンスが交えられているだけに「ディーバ」が好きな者としてはそれだけで合格。「360」「イースタン・プロミス」を見ているだけに、ヨーロッパの影の部分は納得。

 

 だが最大の喜びは、私にとって映画最優先事項のメラニー・ロランが出てくることです!アレ?あの水着の女ひょっとして・・・。メイクがね、「セレステ∞ジェシー」のエマ・ロバーツみたいに濃い目だったけど宝物です、脳裏に刻みつけました。即効でIMDbでチェック、“ミンスコフの女”なんて役を、そのボディを見せつけながらも・・・。ま、マリオン・コティヤールを起用しているし、女優選択眼は好みが一致しているジャック・オーディアールは信頼できる監督さん。欧州の描き方一つとっても、未見の彼の作品は楽しみだ。「人生はビギナーズ」のマイク・ミルズともども、信義に足る人です。
オススメ★★★★☆

Amazon.com

DMM.com

 

ホームページ テンプレート フリー

Design by

inserted by FC2 system