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遺体 明日への十日間

  遺体 明日への十日間

 映画監督押井守はインターネットに書き込まれているレビューは“ただの感想文でしかない”と記している(コミュニケーションは、要らない)。まったくその通りだから、そうならないように、感じたことも書くけれど、できる限り関連作を載せる。このサイトの目的はハッキリ言って、レンタル店の売り上げです。文章の出来云々より、出来るだけ多くの作品を関連づけて列挙し、回転数を上げていく。結果として品揃えを豊富にして一見さん(ライト・ユーザー)を常連さん(チェーン・ユーザー)に変えてジワジワと利益を出す。日々大量入荷してくるパッケージソフト(DVD、ブルーレイ)は売り場を圧迫して、旧作のスペースを奪う。回転数が下がればその商品の中身が良くても、売り場から消えてしまう。ただ消えてしまったからといって、駄作でないものは後に復刻されたりするけれどズレが生じる。何気なく来店された方に、アピールする力は持っていないのです。店の基本は値段の高低ではなく“接客と品揃え”だから、多種多様な品物を揃えておくのは当然。ところが「現実はそんなに上手くいかんよ君」という例の“大人の都合”に押し切られて“コレなくなっちゃったら、メロンパンのないパン屋になる”と思いつつも・・・。心底うんざりしたから、コツコツと書いている次第です。

 

 もちろん日々いろんなことが起こっているからと言って、東日本大震災を忘れることはまず無理。ところが“秒進分歩”のニュースは記憶を上書きする作用があって、厳然とある事実を曖昧にしてくれる。ニュースが悪いんじゃなくて、見ている自分が悪い。前の晩から気が重かった本作、やはり堪えます。涙するのは“お門違い”と思いつつも、どうしてもこらえ切れなかった。でも優れたルポルタージュ(遺体―震災、津波の果てに)は涙を誘うのではなく、まるで自分が遭遇している錯覚を起させる。冒頭フジテレビ製作となっていて驚かされますが、プロデューサーの亀山千広は「JAPAN IN A DAY ジャパン・イン・ア・デイ」を手掛けているし、監督の君塚良一は「誰も守ってくれない」の人。表看板は「踊る大捜査線」の2人ながら、“売れるもの”を作れるだけに、“残すべき物”も分かっているのだと信じる。何より主演の西田敏行の思い入れは並大抵ではないでしょう。媒体への露出頻度が高くて、きっと本作のためだろうと推察してはいましたが。

 

 地震が直撃した後、西田敏行演じる民生委員の相葉さんは、散らかった卓球のラケットなどを片付けている。あの日の翌日、店に行くと棚から落ちた商品が散らばっているのを思い出す。そこまでは関東地方にいた我々とあまり変わらないけれど、遺体が収容された体育館に行くと、日常から切り離される。相葉さんの反応は、恐らく自分が遭遇したらと思わずにはいられないもの。場面は殆どが遺体安置所に限定されていて、出ている人々の誰かが自分に重なる。歯科医でも内科医でもない自分は“何かお手伝いできませんか”と申し出る相葉さんと思い込みたいが、とてもじゃないけれど無理なのだ。勝地涼が演じる市職員の姿が、まさに自分にもっとも近いのでは?と実感する。次から次へと運ばれてくる遺体を前にして、呆然としていられない登場人物たち。よく知る顔が出てくるけれど、他の出演作ではまず見せない素顔がそこにある。海外向けとかではなく、あの地震のことを気遣う人は世界中にいるし、製作は援助された国としての恩返しにもなるでしょう。

 

 自然に慈悲なんてない、相葉さんが「津波が憎い」と漏らすけれど、自分が遭遇したら同じように思うだろう。どれだけ涙しても死者は蘇らない、むしろ“向こう”で幸せにしていると願うしかない。身に詰まされたのは、足りなかった棺がやっと到着したものの、身体を拭いて送り出せない遺された人の無念。2011年の震災の年に父方の祖母を、今年の2月に母方の祖母を送っただけに見ているのが辛かった。“この現実を政治家たちは分かっていない”は逃避の心理。一度も被災地に行ったこともない者に比べれば、遥かに実感しているのが彼らだ。TVの討論番組に自民党の石破幹事長と、公明党の山口代表が出ていて、討論は確かに紋切り型のようだが、その時の表情は別だ。「Lie to me」に影響されているからで、顔つきを注視していると見えてくるものがある。議題が震災から尖閣諸島問題になった途端、こわばった顔が緩んだ。正直に言えば政治家の使命感を疑わない。職務を実行できるか?ではなく、何も出来ない私に代わって、してもらいたいと切に願うだけだ。

 

 映画は商品情報(〜賞獲得、〜週連続ナンバー・ワン)が付いている情報商品。年々その傾向が強くなっていて、技術革新もその流れを加速させている。でも“描かなければならない題材”に正面から向き合う作品は、娯楽である以上難しい。これはドキュメンタリーでは描けない事実と向き合い、真摯に作られた真っ向勝負の邦画。被災地に行って何かする勇気のなかった自分を、見出してしまうのは分かっていた。でも“もし自分の身に起こったら?”と刻むために観に行って正解だった。1週間は落ち込んだけれど、あの大震災は背負うしかないのだ。結局感想文になってしまいました。

 

現在(2/25/2013)公開中 
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 本当は見るのが怖い東日本大震災の真実。あの日のことは忘れもしない、横揺れが長いなぁと思っていたら、電気がプッツリ切れた。だからその時のTVニュースは見ていない。その後繰り返し放映される映像も、直視できなかった。「JAPAN IN A DAY ジャパン・イン・ア・デイ」「LIGHT UP NIPPON日本を照らした、奇跡の花火」は痛ましい傷跡をありありと映し出すけれど、自衛隊の撮影によるこれがあの日の実態でしょう。もちろん強烈な部分は避けられているけれど、津波が押し寄せてくる様は自分がそこにいたらと思うと恐ろしい。しかし自衛隊は果敢に救助に向かう。航空自衛隊の基地まで流されてもなお、人々を救い出す彼らの行動は称えられてしかるべき。

 

 ナレーターが山寺宏一で、デスラースパイクも演じているし、TVでお馴染みの声だから入りやすいかもしれない。それでも現状は筆舌に尽くし難く、津波で避難した人々の救助だけでなく、自衛隊は原子力発電所の事故現場にも向かわなければならなかった。“現実に震災に遭遇するとどうなるか”を描くのではなく、映し出すことで後の糧(もし自分の身に起こったら)にもなると思う。以前田舎のマラソン大会で、自衛隊が出してくれた豚汁を食べたことがある。寒さの中であれを食べられたら、かなり温まるだろう、と想像できるのはそのくらい。果たして自分があの場にいて、立って歩くことができるのか?勇気、判断力、冷静さを兼ね備えた自衛隊の真の姿を知る。

オススメ★★★★☆

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