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攻殻機動隊ARISE border:2 Ghost Whispers

攻殻機動隊 ARISE 2  攻殻機動隊ARISE border:2 Ghost Whispers

 

 2012年に“日本アニメーションの新しい試み”が進行中と思っていたら、またたく間に時代は進み、1年で過渡期から過去の出来事に様変わりしつつある。「機動戦士ガンダムU.C.」が2010年から開始されていて、来年で完結。「宇宙戦艦ヤマト2199」は2012年からスタートして今年で終了した。ファン層が厚くないとこのスタイルは実行不可能で(「言の葉の庭」など)、次のタイトルは?と思っていたところに「攻殻機動隊」に白羽の矢が立った。当然の流れなれど、今後はこのスタイルに値する作品を探し出すのは難しくなる。だって攻殻機動隊のシリーズは大好きだったワシでさえ、1をパスしてしまっているくらいだから。

 

 で、ホントにたまたま「攻殻機動隊ARISE border:1 Ghost Pain」のDVDを見たら、引き込まれて結局本作を拝むことになった。情報の結晶のような神山健治版とは違ったアプローチになるのは当然で、どちらかというと風通しが良くなっている。総監督の黄瀬和哉は履歴を漁ると、押井守一門って感じで、確かにタツノコプロ魂があるし、前作への配慮もされている。ただ期待が膨らんだのは、完全に作り変えてやろうという野心が見えたことが大きい。1で登場しなかったイシカワ、サイトー、ボーマが参戦。サイトーをスカウトする草薙素子は既に描かれているので、まるで違う部分が興味深い。

 

 ストイックの代名詞とも言えたスナイパー=サイトーが、ああも改変されているとは笑ってしまう。電脳戦に欠かすことができなかった重鎮イシカワと、パズの一騎打ちは見ごたえがある。シリーズを通して、切っても切れない絆がある素子とバトーは壮絶な殺し合いだ。この違いを嘆くか楽しむかという点で、好き嫌いは別れるかもしれない。もっとも、新しいものを拝みたい気持ちが勝るワシにとっては納得の刷新。冒頭鳴り響くコーネリアスを聴いた瞬間に、降伏してしまっているので、どんどんやってくれてOKの心理状態になっている。前回salyuが担当したテーマは好きだった宝達奈巳を思わせるし、今回担当の青葉市子もさすが小山田圭吾。

 

 サウンド面は最近“今の音に触れる機会がないな”という飢餓感を満たしてくれて、耳に心地よい。「アップルシード」「エクスマキナ」もサントラを繰り返し聴いていたものだ。過剰にはならずに、音は風通しよく配置されている。そして物語は現在の事態を想定していたのか?と思うくらいで恐ろしい。難民虐殺の罪で軍事裁判にかけられているソガ大佐が、政府管理機密データベースをこじ開けようとする事件発生。この事態に荒巻は素子に命じて対処する。途中合衆国の情報機関に属するヴィヴィーも交えて、21世紀の情報戦が展開。完全に理解するには、とても1回では無理なので、リリースされたらぜひ数回ご覧になってご確認を。

 

 ただ1回でも思い知らされたのは、軍事に関して麗しい情報なんてありはしないし、それが海外に暴露されるのは危険極まりない。全世界に教えるぞという脅迫は、聞かされている荒巻だけでなく、観ているコチラも「冗談じゃない」と思わされてしまう。で、この心理をテコにして、特定秘密保護法を浸透させるのは難しくない。では本作が加担しているかというと、別の事例を提示して“情報のあり方”をより深く考え込ませてくれる。機密にアクセスできる人間は限られているから、それを金に換え、亡命してしまう人間だって存在する。やれやれですよ、この数週間というもの特定秘密保護法のニュースばかりを眺め、その推移に気持ちが落ち込むばかりだ。

 

 もっとも形が整えられつつある、草薙素子配下のチームがあればと、信じてみる気になるから、本作は今の日本に必要な物語。日本アニメーションを海外に知ってもらうには「SHORT PEACE」が適していて、古き良き日本を残すには「風立ちぬ」「かぐや姫の物語」が最良の形をしている。そして既に生きている激動の21世紀とはいかなる時代か?を知るには、どうしてもコンピュータ・ネットワークを理解する手がかりが必要になってくる。軍事に関しては「ヨルムンガンド」が参考になったし、パート1Pain:痛み、パート2Whispers:ささやき、ときて次回はTears:涙か、遅まきながら6月が待ち遠しくなってきた。

 

現在(12/4/2013)公開中
オススメ★★★★☆

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攻殻機動隊 ARISE 1  攻殻機動隊ARISE border:1 Ghost Pain

 

 またまた後手に回ってしまった、ヤマトガンダムで懲りたのに“日本アニメーションの新しい試み”にして、好物の攻殻機動隊をスルーしてしまうとは。神山健治版が好きで、嫌というほど見ていて、新たな余地なんかないと勝手に自分を封じ込めていたわけだ。だが、今世紀の情報のあり方を物語に込めて描ける作品は、なかなかお目にかかれない。このリニューアルされた攻殻機動隊は4話完結の形式だから、ポイントは絞られる。よって無敵のサイボーグ=草薙素子ではなく、彼女のルーツ、最強チームが形成される過程が見所。素子が強気なのは全シリーズを通じて揺るがないが、本作では観客も含めて彼女に疑惑の目が向けられる、ぜひご覧になってご確認を。

 

 バトー、トグサは主要キュラクターの中でも重要度が高いが、パズが早々と登場なのは興味深い。イシカワとサイトーまで出てくると濃くなっちゃって、素子のお話にならないもんね。無敵のサイボークであると同時に、ハッカーとしても比類ない彼女が強調されているのは、リブート(再起動)ならでは。捜査する事件は、所属していた部隊の上官の死の真相。もちろん荒巻と初めて出会う場面からで、信頼関係形成の過程を追えるのも美味しいポイント。でも、ひょっとすると自分が犯人なのかも?と省みる草薙素子を拝めるのは新鮮です。声優が坂本真綾にバトンタッチだけど、ファントム・ハイブ伯とはまるで印象が違う、変幻自在ですな。
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