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ジャンゴ 繋がれざる者

ジャンゴ 繋がれざる者  ジャンゴ 繋がれざる者

 

 「イングロリアス・バスターズ」が2009年だったから、4年ぶりのクエンティン・タランテイーノ最新作。途中製作で一枚かんでいる「マチェーテ」がありますけれど、監督作は彼のテイストが全開。商品情報過多の情報商品みたいな映画が多く上映されている昨今では貴重品。顧客満足度の高い監督=映画作家は一度は挑戦してみたいようで、コーエン兄弟ジム・ジャームッシュ(「デッドマン」)も手掛けている西部劇。絶えて久しいこのジャンルですけれど、劇場では「トゥルー・グリット」以来ということになりますか(「カウボーイ&エイリアン」アメコミ映画)。

 

 もちろんビデオ屋だった監督は、正統派のウェスタンを継承したりせず、B級(マカロニ・ウェスタン)のラインで勝負。「ペイルライダー」「許されざる者」のように、彼方まで続く美しい風景なんてなく、無駄に余計に血しぶきが飛び散るバイオレンスを展開。昨今は劇場の前方で観ていますけれど、“オレいまB級の西部劇見てる”満足感がある。多分フィルムで撮影はされていないと思われますが、デジタル撮影こそ映画を安価にしてくれるテクノロジー。それにしても皮肉なのか「リンカーン」が待機しているこの時期に、南北戦争の前に遡ってお話は展開。黒人が馬に乗っただけで、白人たちは異常な光景を目の当たりにしている様子はいかにもタランティーノ。

 

 主役の2人はもちろんお気に入りで、ジェイミー・フォックス「完全なる報復」「路上のソリスト」が良かったけれど、そのあとはチラリ出演の作品(「デューデート」「容疑者ホアキン・フェニックス」)ばかりで寂しかっただけに魅せてくれます。ただ彼だけではごく単純な復讐劇になってしまうので、実に肝心な相棒が出てくる。やりました、クリストフ・ヴァルツは期待通りのドイツ出身の賞金稼ぎ。思い返せば「イングロリアス・バスターズ」で悪逆ナチ男を演じ、一発で世界の注目を集め、期待通りの悪役(「グリーン・ホーネット」「三銃士」)をこなして知名度は上がる一方。ロマン・ポランスキー作品「おとなのけんか」で見せたすっとボケキャラが絶品で、端正な顔立ちは難病に立ち向かう医師なんかピッタリだと思っていたら、元歯科医という設定。タランテイーノの仕込みは万全だったわけですな。

 

 英国は合衆国より早く奴隷制を廃止していたし、ドイツ出身のお医者さんなんだから“人身売買”が性に合わないのは当然。前作でナチを片っ端からぶっ殺したタランティーノ、今回はドイツ人を善玉にアメリカ白人を徹底的に悪役にしている。ただし悪党だけど間抜けなのは幾度となく描かれていて(「オー・ブラザー!」とか)、ドン・ジョンソンとジョナ・ヒル(「21ジャンプストリート」)の“KKKもどき”はまんまとしてやられたりして。「シルバラード」などは世相に合わせて黒人の描写を抑え目にしてますけれど、“B級なんだから文句無いだろ”ってな感じで極悪非道まっしぐらのアメリカ白人。本作をオススメしたお客さんも「南北戦争の前はあんなだったんだねぇ」と仰ってました。ま、できれば蓋をしておきたい史実。

 

 徹底的に白人をワルにする役はレオナルド・ディカプリオサミュエル・L・ジャクソンが拍車をかけていて、これがまたスゴイ。「タイタニック」にうっとりしていた世の女性たちは、変わり果てた彼に嘆くかもしれませんが、レオは着実に映画人としてキャリアを積んでおります。「J・エドガー」も彼ならではでしたけれど、「スーパー・チューズデー〜正義を売った日〜」に一枚かんでいるし、間抜けな悪党のボスが嬉しそうだ。そう言えば幼い頃にも西部劇に出ていましたね(「クイック&デッド」)。奴隷のダルタニアンを犬に食い殺させたりするけれど、以前ダルタニアンの息子を演じているし、シャレなのか?そして黒人にもかかわらず、最も“ニガー”を繰り返してたのがサミュエル・L・ジャクソン。「パルプフィクション」の人ですから監督もお任せなのか、「ダイ・ハード3」では“I HATE NIGGER”と書かれたプラカードを持ったマクレーン刑事を助けていたのにね。

 

 日本映画「スキヤキ・ウェスタン・ジャンゴ」でちゃぶ台ひっくり返していた個性派監督は実に出たがりで、今回も派手で美味しいシーンを展開したりして。嬉しかった善玉起用のクリストフ・ヴァルツ、「だって我慢できなかったんだもん」がカッコよかったなぁ。無意味に血だらけは「キル・ビル」でしたが、too bloody(血出すぎ)にしてtoo much dialogue(セリフ多すぎ)と、彼の積み重ねてきた過去作品の要素がきちんと反映されている。3時間近い上映時間も全然退屈せずに、スッキリして劇場を後にできる。もちろんお好きな方限定ながら、B級西部劇って大切です。

 

現在(3/15/2013)公開中 
オススメ★★★★☆

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関連作

 キル・ビル Vol.1

 

 今を去ること10年くらい前、お客さんでニュージーランド出身の可愛らしい女の子がこれを先に見ていて、「どうでした?」と尋ねると、顔をしかめて“too bloody ”(血、出過ぎ)といっていたのが、この作品にまつわる記憶。とにかくドハドバと文字通り血の雨が降った。大ブーイングでvol .2をパスした人は多いはず。ところが2の方がマトモだったんだよね(ホント損した)。「ヘンリー&ジューン」で10代なのに妖艷だったユマ・サーマン、ミラ・ジョヴォヴィッチ「ジャンヌダルク」に相当するのかな?日本映画をよく観ていたのが痛いほどよく分かるクエンティン・タランティーノ監督、現代なのに千葉真一に服部半蔵を演じさせたり、恨み節を主題歌にしたりと大胆。ゴーゴー夕張の栗山千明ちゃんは立派に成長して「劇場版SPEC〜天〜」で「キルビル?」と言われたりして。
オススメ★★★☆☆

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  ダイ・ハード3

 

 “I hate nigger”と書かれたプラカードを持って、ヤバイ街角に立つマクレーン刑事。彼を見てサミュエル・L・ジャクソン扮する電気屋さんが「死にそうな人がいるから警察に電話しなさい」が笑えるシーンがスタートのヒットシリーズ第3弾。公開されているのが1995年で、やはり悔やまれてしまう。それは「エグゼクティブ・デシジョン」にしてもそうで、とっくにテロの驚異は侵攻していながら、未然に防ぐという発想を多くの人々が共有していなかった。つまり「ダークナイト・ライジング」で“ヤバイことなんてないさ”と気楽に構えていた連中は、実際にテロの被害に遭う我々自身でもあるのか?

 

 下地は「ダーティハリー」でキャラハン刑事が引っ張り回された設定と同じながら、テロリストだから被害の範囲はやたらと広い。タフでど根性のマクレーン刑事は大活躍で、ゴジラも真っ青の破壊をニューヨークにもたらす。テロリストの親玉がジェレミー・アイアンズで、この人の悪役はどうもしっくりこないけれど、パート1でアラン・リックマン演じた悪党の弟に説得力がある(英国演技派という共通点)。凶悪テロリストと刑事に分かれているけれど、ジェレミーとブルースサミュエルは掛け合いを相当楽しんだはず。

 

 図らずも90年代を表してしまうのがやはり通信機器で、犯行予告の電話とかは現在(21世紀)では説得力を持たない。ただ液体爆弾の仕掛けは「トランスポーター3」でも使われたが、アクション映画はホントにネタの流用がわかりやすい。娯楽だから気楽に見るけれど、設定に手を抜かない合衆国のアクション映画って、両刃の剣かも。警鐘を発しているとも言えるし、テロリストに手口を伝授したとも言える。つまり連中にとっては「これは想定されているから別の手口でいくか」。捨て身のヒーローはいつの時代も必要なのですね。

オススメ★★★☆☆

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