関連テーマ 

 

 

 

 

 

サイドボックス

ここにテキスト


出し

クロニクル

  クロニクル

 

 第一報に接したのが「TIME/タイム」の時だから、2012年の2月くらいか。けっこう楽しみにしていて、待つこと1年と半年過ぎてのお披露目。限定公開だし、てっきりインディ系かと思いきや20世紀フォックス作品。そりゃあ特撮に金がかかっているわけで、「トロール・ハンター」などを超えるクォリティに仕上がっている。モキュメンタリーの体裁を破綻しかねない映像なれど、合衆国のティーン・エイジャーを描く場合このスタイルを用いるのは適切。「ジャンパー」と比較すると分かりやすくて、観客層は明らかに限定的なので、大作風に仕立てるとB級映画として認識されてしまう。

 

 「ブレア・ウィッチ・プロジェクト」辺りから散発的に作られ続けて、10年以上が経過したモキュメンタリー。ホラーが向いているのは「パラノーマル・アクティビティ」が証明していて、コメディはサシャ・バロン・コーエンがお得意で(「ブルーノ」「ボラット」)、ホアキン・フェニックスだってやらかしたSF超大作は3Dを施したり、シリーズは息切れしてもリブートと称して継続させている。てっきり前日譚(プリークァル)と思っていたけれど、リブートと連呼されているし、再起動を意味するこの言葉の方が正確ですね。

 

 「アメイジング・スパイダーマン」「マン・オブ・スティール」「スター・トレック」もこの流れ=リブートだ。「宇宙戦艦ヤマト2199」は改良を施したリメイクだから入らないけれど、「009 RE:CYBORG」がこれに当たるのかな?技術革新が後押しする量産態勢の映画、ネタは古くともスタイルの多様性で勝負。で、このスタイル=モキュメンタリーは物語の構造が散漫でも、IT時代を生きている観客にはアピールする。以前「学校で授業聞いてんのか?」と現役の大学生に尋ねたら、「そうっすねぇ、スマホでメールとかしながら」などと言ってたし。家で映画を見る場合、同時にネット端末ディバイスをイジっている姿が容易に想像できる。

 

 集中力を欠いているのは若者だけではなく、TV漬けの大人だってご同様。たまたま洞窟で秘密に触れて、どういうわけか超能力が身についちゃって、エスパー生活を満喫しているアンドリュー、マット、スティーブの3人。“なぜそのような秘密が”とか“獲得した超能力にはどんな落とし穴が”とかは、とりあえず観ているこちらは考えずに済む。アッと驚く超能力によるイタズラを、呆れつつも眺めることができる。「ジャンパー」の時も手に入れた超能力を自分のために使うのか?と唖然としましたけれど、自己中心的な大人がそんなこと言えない21世紀だもんね。だから「アイ・アム・ナンバー4」は模範的に見えるのだ。

 

 そしてアンドリューに扮したデイン・デハーンが、良くも悪くもワシなどにとっては認識可能だから、素人に見えず痛し痒しだった。現段階で彼に期待される役は弱気な男の子。もちろんそれが変貌していくわけですけれど、予測可能になってしまう。公開のタイミングが「プレイス・ビヨンド・ザ・パインズ/宿命」「欲望のバージニア」の前だったら・・・。それは特撮効果もご同様で、「マン・オブ・スティール」で“瞬時に音速で飛び立つ!”スーパーマンを本作の後で拝めてたら・・・とちょっと残念。秒進分歩のテクノロジーは特撮技術にモロに反映され、わずか数ヶ月の公開タイミングのズレが命取りになったりして。それにしてもホントに早過ぎる。「ハンコック」→本作→「マン・オブ・スティール」が正しい順番だ、などと考えるのはオッサン臭いのは分かるけどさ。

 

 ただし、物語が整然とし過ぎないのが本作の魅力だし、きちんと批判精神も時代記号も込められている。どれだけ制度を改革したってなくならない“いじめられっ子”も“家庭内暴力”も“医療費がかさむ現実”も。IT機器に取り憑かれている若者が描かれていないと、“今時それは通じないでしょ”と感じるし。ティーン・エイジャーに使命感が完全に欠落しているのも・・・。超能力でお母さんを直そうとは一度も試みないんだもんなぁ。YOU TUBEに投稿してもらって映画に仕立てた「LIFE IN A DAY地球上のある一日」だってあるんだし、このスタイルは現代にふさわしい。インディ系で「モンスターズ地球外生命体」などが出てきているんだし、メジャー系もその実力を適した使い方にシフトしている(「クローバー・フィールド」に似たようなシーンもあった)。願わくば、競争に勝ちたい気持ちも納得なんですけれど、リリースの順序は納得できるものにしてもらいたいものだ(身勝手な観客だな)。

 

現在(9/28/2013)公開中
オススメ★★★★☆

Amazon.com

DMM.com

前のページ   次のページ

 

top

 

関連作

  ブレア・ウィッチ・プロジェクト

 

 仕掛けがすべてのモキュメンタリーのエポック。本作の後で「クローバー・フィールド」が作られましたけれど、手口は一緒。そして最近なら「パラノーマル・アクティビティ」が分かりやすくて、多産され(続編もパチモンも)過激な方向へ進んでいくのはホラーの常。「CUBE」の起こした流れが「ソウ」に至るのと似通っている。分かっていながら見るとイライラするけれど、情報が封印されていた合衆国の観客ならハラハラしただろう。ただ当たったもんだから、情報開示されちゃった後に我が国では公開。インタビューで監督が「ああ、彼らなら大丈夫、ピンピンしてるよ」などと言ったりして。では見所はというと、公開当時小学生たちが集団で観に来ていましたけれど、みんなで集まって突っ込みながらの観賞がオススメ。「ありゃあ、ないよな」とか「鼻水垂らしてるぜ」などと言いながら・・・、実に向いていると思う。

Amazon.com

 

ホームページ テンプレート フリー

Design by

inserted by FC2 system