関連テーマ 

 

 





サイドボックス

ここにテキスト


出し

キャプテン・フィリップス

  キャプテン・フィリップス

 

 実話を元にした作品はいっぱいあって、大人向けでフィクションはホントに珍しくなった。予定調和以外の何ものでもない「2ガンズ」に拍手喝采したけれど、なかなかお目にかかれない。演技派として認知されているオスカー俳優トム・ハンクスに、お気楽バディものは世間様が許さないのか?ま、予告編を劇場でボサっと見て、彼が主演なら納得だったし、人のことは言えない。監督のポール・グリーングラスは“当たらないイラクねた”「グリーン・ゾーン」と“当事者にとっては酷”な「ユナイテッド93」を撮っていて、この題材に挑むのは自然に感じる。

 

 枕詞に“あのボーンシリーズの”とつくポールだけど、「ブラディ・サンデー」も合わせて見ると、彼の手法(ドキュメント・タッチ)はこの種の題材に向いている。海賊に乗っ取られた船を持つ会社がどうなるか?は「シージャック」で見せつけられた。ただアチラはデンマーク産で、コチラは合衆国産。世界最強の軍隊を擁する超大国の船を、海賊が襲ったら・・・。予告編にも出てきた米海軍が黙っちゃいないし、そもそも人質になった船長の著した本が原作なんだから・・・。ですから見所は船長が死ぬか生きるかではなく、海賊に襲われた貨物船の人々と“体験を共有する”ことに尽きる。

 

 実話を元にしたってコッテリ脚色されて、嘘臭くなるものはいっぱいある。船乗りではありませんから、実感はまず無理だけど、まるで自分がそこにいるような感覚になります。ココ・ヘクマティアルも海賊に襲われて、RPGやらマシンガン撃ちまくってあっさり撃退しますけれど、貨物船に武器は装備できない。ところが海賊防止の装置は備えていて、ギリギリまで抵抗する。この辺はアメリカ人魂を見せている。「シージャック」は本社の描写もありますから時間割きませんけれど、デカイ貨物船の利点を活かしてそう簡単に海賊の支配下には収まらない。

 

 海賊は犯罪行為だから実行するのは犯罪者。ただし一方的に連中を悪として描くと、単純な娯楽作になっちゃって、“人々が忘れっぽくなっている21世紀”にメッセージが行き届かない。当然相対する海賊側も描かれていて、ソマリアの漁師が山賊みたいなのにそそのかされて船を漕ぎ出す。だてにキャサリン・キーナー(「イントゥ・ザ・ワイルド」)が出ているわけではない。彼女は冒頭のみの出演ですが、空港まで夫を送る場面で語られていることは、日々実感していること。“時代の流れが早くなっていて、子供たちの生きる世界は世知辛い競争社会・・・”。

 

 人によってはプロパガンダ映画と評されるかもしれないけれど、貨物船の乗組員を守るためなら、米軍の強さを描くのは間違っていない。勝てっこないよ、真っ暗だろうとスナイパーには見え見えだし。海賊も威張っちゃいるけど、ビビリの裏返しだもんな。ただ軍と仲良しの監督マイケル・ベイだったら、もっとカッコ良く描いただろうけれど、やけに生々しい。特殊部隊が着替えるとこ映したり、事件を時系列で冷静に追うと、ああいった描写になる。事件そのものが忘れられそうな「ゼロ・ダーク・サーティ」もご参考までにどうぞ。

 

 全米ナンバーワンヒットした「ネイビーシールズ」は大好きだけど、やはり受ける要素がいっぱい。本作はそれほど本国でヒットしていないけど、「もうひとりの息子」に賞をあげられた東京国際映画祭がオープニングに選んでいる。同盟国としてアメリカ人が忘れないように、記録しておいてあげなきゃ。時の流れが早くなろうが、圧倒的な軍事力を誇ろうが、次から次へと雨後の筍のごとく出てくる海賊に対処していては元も子もない。だって救援物資を運んでいる貨物船襲ってるんだもんね、貧しさと同時に無知を何とかしないと・・・、人のこと言えないか。

 

現在(11/29/2013)公開中
オススメ★★★★☆

Amazon.com

DMM.com

 

前のページ   次のページ

 

top

 

関連作

  ブラディ・サンデー

 

 「特定秘密保護法をさっさと制定した方が良いよ、そうすれば知らなくて済むし、平和な仮想現実で楽しく暮らせる」と体制に媚びる心は申しておりますが、「冗談じゃない」と後世の糾弾が怖い小市民の心は否定する。一皮剥けば世界の実像はまさにコレと、また思い知らされてしまった。見ていて「サルバドール」がすぐに思い出されたけど、イスラエルがやってることを、英国だってやっている。アイルランドは連合王国の一つだけど、恨みつらみは根が深い

 

 監督のポール・グリーングラスはこのドキュメント・タッチを、スパイ・アクション「ボーン・スプレマシー」「ボーン・アルティメイタム」でも用いて支持を得る。彼の手法は「キャプテン・フィリップス」でも健在だけど、見比べるとより洗練度が増していることが分かる。ただ扱う題材は彼にとって身近で、知らぬ存ぜぬは許されない=“血の日曜日事件”。もちろんU2の代表曲である“sunday bloody sunday”がエンディングで鳴り響く。

 

 丸腰の市民に発砲とは、不名誉極まりない汚点を英国軍は歴史に刻んでしまった。そしてこの図式はそのまま、現在進行している戦争のそれに酷似している。平和な訴えを強硬に抑圧すると、テロリストを喜ばせてしまう。「トゥモロー・ワールド」の終盤展開される戦闘シーンはこれにそっくりで、アルフォンソ・キュアロンは参考にしたのかもしれない。「レクイエム」も素晴らしかったジェームズ・ネスビット扮するアイバン下院議員が、鋭く睨みつけるラストに粛然となる。
オススメ★★★★☆

Amazon.com

DMM.com

ホームページ テンプレート フリー

Design by

inserted by FC2 system