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ビザンチウム

  ビザンチウム

 

 またまた性懲りもなく吸血鬼映画を観てしまっています。しかも監督は一度手を着けたニール・ジョーダンがまた挑戦。ただし、アイルランド出身のこの人が帰国して撮るというのが興味深い(「オンディーヌ/海辺の恋人」もぜひ)。ラッセ・ハルストレムの「ヒプノティスト/催眠」だけでなく、スザンネ・ビア(「未来を生きる君たちへ」)もジャン=ピエール・ジュネ(「ミックマック」)も合衆国で手に入れた視点と人脈と名声(正確には信頼度か?)は母国での製作に役に立つ。

 

 題材もさることながら、主演の2人ジェマ・アータートン、シアーシャ・ローナンも旬な女優さんです。ジェマは「ヘンゼル&グレーテル」が勇ましかったし、「ハンナ」以来のシアーシャは美しく成長している過程を見るのは楽しみで、悪い虫がつくのを警戒する親目線ですよ。「インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア」が男同士だったのに対して、こちらは母娘のよう。主演2人が並び立つというのではなく、ジェマはあくまで脇に徹して、シアーシャ演じるエレノアのキャラクターを引き立たせている。

 

 ちょっと前まで王女様に無理がなかったジェマ演じるクララは、モロにビッチ(売女は死後、「恋の罪」をご参考までに)。そして吸血鬼ですから長生きで、ずーっと娼婦をして生きてきた。この設定は数を見てきた吸血鬼モノにもなかなか見当たりません。でもカミラと名乗るから、アイルランド出身の有名吸血鬼カーミラも込みなのかな?で、男から金だけでなく生命の源=血を吸い取れるんだから一石二鳥で、相対して娘は控え目かつ清楚。孤児院に預けられていたからキリスト教の元で育ち、奪い取るのではなく糧を頂くというスタイルで吸血(「渇き」に近いですかね)。

 

 シアーシャはもちろん育ち盛りの19歳、「ハンナ」より格段に美しい娘に変身。芯の通った感じなど合衆国の女優で見つけるのが難しいタイプです。そして彼女と恋に落ちてしまう青年が、気色の悪い「アンチヴァイラル」と似たようなキャラクターを演じるケイレブ・ランドリー・ジョーンズ。男優さんはほかに「コントロール」のサム・ライリーなども出てくるんですけれど、男はほとんど添え物かワルに徹している。吸血鬼の世界も男尊女卑だっていう世界観にも驚かされますが、確かに「ブレイド」「トワイライト・サーガ/ブレイキング・ドーン Part 2」も男が仕切っていた。

 

 男にひどい目に合わされ、逃避行とは「テルマ&ルイーズ」のようですけれど、牙が出たりせず、吸血鬼に変貌も控えめで(××が伸びる)、「ぼくのエリ200歳の少女」がエポックだったのが図らずも見えてくる。彼女たちが生きた時間がまさに200年だし、“お約束”も流用。こってり乗っかった設定を捨てた、岩井俊二の「ヴァンパイア」なども21世紀型だし、好きなジャンルだけに硬直しないで、様々な趣向が試されるのは歓迎(宇宙戦艦ヤマトリニューアル支持派ですもの)。

 

 日々のTV宣伝(ニュースもドラマも)には危機感を持つけれど、「ヨルムンガンド」であるとか、亜種と言われそうでも好きなジャンルの変わり種にはホッとする。だって中心に描かれているのは母と娘の絆なんですもの。なおカラリスト(「サイド・バイ・サイド」をご参考までに)の手腕が発揮されていると思われる、血の色に変わる激流のシーンは圧巻。特撮控えめにすると詩的な印象が残るし、商業用っぽくないのが何よりです。

 

現在(9/20/2013)公開中
オススメ★★★☆☆

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関連作

  オンディーヌ 海辺の恋人

 

 「ブレイブ・ワン」を合衆国で撮った後、母国アイルランドの漁師町を舞台にニール・ジョーダンが手がけた詩的な1本。次に吸血鬼映画「ビザンチウム」がくるわけですけれど、2作を通じてご覧になると、アイルランドも“世界の映画”を生み出す土地柄なのかも?という気になります。加えて「ランズエンド-闇の孤島-」とかもオススメですが、撮影がクリストファー・ドイル(「海洋天堂」)で、自然光を巧みに取り込み、荒涼としつつも美しい風景が広がる。モチーフになった題材はアザラシの皮を被った妖精=セルキーなのだそうで、漁師が美女を引き上げるからてっきり人魚かと思いきやローカルなネタ。

 

 コリン・ファレルは土地柄アルコール中毒を克服した漁師で、奥さんが新しい男と暮らしているから、娘と一緒にいられる時間は限られている。この辺はブラッド・ピット(「マネーボール」)もジェラルド・バトラー(「スマイル、アゲイン」)もダニエル・クレイグ(「ドラゴン・タトゥーの女」)も演じている現代のお父さん。娘が良く出来ていて、もうとにかく可愛くて・・・、これは「アイ・アム・サム」「SOMEWHERE」を思わせて中年のハートを釘付け。ダメな親父だと娘はしっかりする(「ケヴィン・コスナーのチョイス!」もそうだ)。アリソン・バリー(この娘はいずれ化けそう)演じるアニーは人工透析を受けていて、車椅子なのにしっかりしていて賢い。お父さんに妖精のことを教えてあげたりするんだもんね。

 

 過不足なく田舎の漁師町も描かれていて(「ダーク・タイド」に通じる)、過度に閉鎖性は強調されはしないけれど、嘘臭い人情話にもしていない。この辺のさじ加減はニール・ジョーダンならではで、地元に対して冷静に描ける視線は、海外での仕事が役に立つのかもしれない。さらに主人公は若者ではありませんから、ナイーヴな方向にいかずに済んでいる。どことなく「マーサの幸せレシピ」を男の側から描くとこうなるんじゃ?という風にも見えてしみじみ観賞可能。妖精:オンディーヌにはもちろん現実的な背景もあるんですけれど、そこは「ヨルムンガンド」の21世紀です、甘くはありません。しかしそりゃあ現実は厳しいけれど、おとぎ話が成立する余地もこの世にはあるんだよと思わせてくれる中身は、ぜひご覧になってご確認を。
オススメ★★★★☆

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  ヒプノティスト―催眠―

 

 実際に出来るかは不明ながら、意識不明の人に催眠をかけられるヒプノティストが主人公のスウェーデン発サスペンス。既に「ミレニアム ドラゴン・タトゥーの女」「ぼくのエリ200歳の少女」「ドラゴン・タトゥーの女」「モールス」としてリメイクされた。もっとも本作は合衆国で何本も撮っているラッセ・ハルストレムが監督なので、そのままかの国でも公開されるかもしれない。監督の奥さんレナ・オリンも出ているし、デンマーク映画「未来を生きる君たちへ」、エージェント・ハミルトンのシリーズを持つミカエル・ハーシュプラントが主演。

 

 アメリカ人の映画通にとっては“世界の映画から”に見えないかも。また意識不明の人物に尋常ではないアプローチで手掛かりを探るというのは「ザ・セル」が既にやっているしね。もう謎解きは警察外の専門家(「THE MENTALIST」「Lie to me」)じゃないと説得力がなくなった合衆国と違って、スウェーデンだと国家警察が解明していく物語に無理がない。お楽しみは監督の描き方で、外国で撮ってきた技を凱旋した母国でどんな風に発揮するのか。スサンネ・ビアとかジャン=ピエール・ジュネなどアメリカ映画を撮った後に傑作を残している(と勝手に思っている)。さてイギリス映画「砂漠でサーモンフィッシング」もよかったこの人はというと、都市の景観が良いんだよね。

 

 格差をハッキリさせるために高層ビルはそびえ立つけれど、高い建物がない都市の景観は美しく保たれている。よって空撮も見事だ。スペインも裏の顔は切実だが、表はキレイ顔。“高い建物がない”これは都市においては重要で、ニューヨークの摩天楼は良くも悪くもシンボルなのだ。あえて何重にも仕掛けを施さず、シンプルなのにはホッとする。あまりやり過ぎるとサスペンスは破綻しますからね、「サイド・エフェクト」もまるで凝ってなかったし。レナ・オリンは年を重ねましたなぁ。ただ彼女が画家なので、どうしても「存在の耐えられない軽さ」を思い出しちゃうのです。
オススメ★★★★☆

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