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アンチヴァイラル

  アンチヴァイラル

 

 世代交代が進んでいるのではなく、メキメキと二世監督が世に出てきている映画界。フランシス・フォード・コッポラ(「Virginiaヴァージニア」)の娘ソフィアは「SOMEWHERE」が素晴らしかったし、人気も固定していてもはや二世という感じがしない。リドリー・スコットの息子ジェイクは「ロストガール」の着眼点が良かったし、ローレンス・カスダンの息子ジェイクは「バッド・ティーチャー」で、“21世紀の子供たちから見た先生”を描いている。彼らが楽しみなのは、ワシより“若い者の視点”を持っていることで、あの「ザ・フライ」の監督デヴィッド・クローネンバーグを父に持つブランドンは果たしてどうなるか?

 

 直近でデヴィッドの「コズモポリス」を見逃して、悔しい思いをしたのでこれは楽しみだった。もはや1日に1回の上映ながら「プレイス・ビヨンド・ザ・パインズ/宿命」より入っているのは、題材が美容整形に関係していることからか?予告からして気持ち悪そうだし、「ブラックスワン」でさえ震え上がる突端恐怖症のクセに、ついつい覗いてみたくなる。変態映画の体裁はしていても、人々が言い出せない核心を突いた「SHAME-シェイム-」みたいかな?との期待もあった。それにしても20年前には、無印良品っぽいシンプルで余白の多い画面はオシャレに感じましたけれど、冒頭に出てくる真っ白な部屋は怖い(「MY HOUSE」の学習塾しかり)。主人公のシドも色白過ぎます。演じるケイレブ・ランドリー・ジョーンズはマイケル・ピットみたいですけれど、「X-MEN:ファースト・ジェネレーション」にも出ていたそうな。彼一人で映画を背負っている。

 

 色白な若者シドが何やっているかというと、有名人の身体から抽出されたウィルスをお客さんに売り込んで注射している。快楽追求の果てに自動車事故マニアが出てくる「クラッシュ」はヤバイけど、こちらはホントに気持ち悪い。常態化すれば日常かもしれないけれど、洗脳メディア=TVが朝から晩まで叫べば、人々の目の色も変わってくるわけだ。「プリシラ」ABBAの×××を後生大事に持っている人がいますけれど、“最後に生まれた人類”ってだけで、無関係の人々がその死を悼んだり。偶像崇拝を宗教が禁ずるのも納得、有名人のクソならぬビョーキもらっちゃうんだもんね。皮肉ではないけれど淡々と、セレブリティに関しても触れている。セレブってなんですか?と社長さんに聞くと“コラボレーション”が肝心なんだって。メディアで連呼されると、途端に“消えてなくなる”表現に変貌した不幸な言葉。

 

 異常な商売に加えて、主人公は会社の資産を外に持ち出している。これも大企業ではやってる者が確実にいそうな部分で、生々しい。持ち出したウィルスを自分のアパートでイジっているんだけど、この若者には追求したいことがあるのか?欲しいモノがあるのか?なんて全然画面から伺い知れない。もうさぁ、マーク・ザッカーバーグどころじゃなく、倫理もクソもなく、自分の欲望すらハッキリしないで生きている若者が増えている動かぬ証拠ですよ。母親にさえ理解不能な子供がいるなんて、まだ説得力がある。金に困って一線を超えちゃうとか、メディアが人々を支配しているとかなら理解の範疇内だけど、そんな認識がグラグラ揺らいでくる。

 

 医療の経済的な側面未知のウィルスに対する警告、進化した医療の現実(「私の中のあなた」「わたしを離さないで」)などを映画は描いてきた。真剣に考えなければならない問題はそっちのけで、人々はどんどん危ない方向に突き進んでいる。観ている時はこりゃあ退屈だなとも思ったけれど、こうして文章にしている段階でフツフツと気持ち悪さが蘇ってくる。合衆国の人が薬を買いに行くカナダなれど、医療の現場は厳しい。でもそんな部分は微塵も出さないで、ひたすら現代の若者と人々を独自の視点で描いてみせたブランドン・クローネンバーグ。父親と同じ土俵に上がっても、臆することなくやってのけましたな。ラストはあわや×××ネタかと思いきや・・・。「ナイスの森」みたいなよくワケの分からない装置まで出してきて、人が死んでも生き延びる癌にまで触れるとは。ジジイの監督たちは大胆で、ジョージベンは生真面目で、次の世代の視点が欲しかったところにリー・トランド・クリーガー(「セレステ∞ジェシー」)、デレク・シアンフランス(「プレイス・ビヨンド・ザ・パインズ/宿命」)ときてこの人も楽しみな才能。

 

現在(6/6/2013)公開中
オススメ★★★☆☆  

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 セレブの種

 

 今さらですけれど、スパイク・リーってすごい監督だったのです。スポーツ観戦好きが「いっつもNBA見に来てるんだよな」と言っていたけれど、ジム・ジャームッシュともども関心が映画にばかり向いている人は、冷静な視線を欠いてしまいます。大学でも教えているこのインテリは、あの大統領の問題点も的確に指摘し、地元の子供たちもきっちり描いている。冒頭大企業お抱えの科学者が、悪事を明かせず自殺しますけれど、ビルから飛び降りれば下に人もいるし、何の関係もない人が巻き添えになる。余すところなく現実的に描く監督は科学者を「ブリキの太鼓」のオスカル少年=ダーヴィット・ベネットに演じさせたりしていてぬかりがない。

 

 主演はハンサムなアンソニー・マッキーで、本作によって注目を集めたことは後のキャリアを追うとよくわかる(「L.A. ギャング ストーリー」に至るまで)。ウディ・ハレルソンも自分のことしか考えないCEOが上手いし(モデルに関しては「エンロン 巨大企業はいかにして崩壊したのか?」をご参照ください)、エレン・バーキンもまたしかり(コメンタリーをお聞きになると、彼女を起用した経緯はニヤリとしてしまいます)。「マージン・コール」「カンパニーメン」より早くこの題材に挑んでいるんだからさすがで、大企業の不正をすっぱ抜いただけでない。薬物に関しても触れ、それがあの症候群でもある。コメディの棚にあるのが不釣合ですけれど、主人公を襲う不幸は他人からすれば喜劇。

 

 失業して口座まで凍結された男は元彼女の誘いを断れない。なんと“種つけ”を依頼されて、元彼女はそのままポン引きに。次から次への種つけは滑稽ですけれど、失笑にとどまるのは、家族の絆が背景に描かれていることも大きい。インテリながら地元を大切にする監督ならでは。また客の一人がモニカ・ベルッチで、その父親がジョン・タトゥーロ。マフィアのボスである彼がヴィトー・コルレオーネのモノ真似するところは絶品で、語られるヒップホップアーティストは、ワシも好きな人がぞろぞろ出てきて興味深い。この監督は音楽にもうるさいからね。滑稽極まりない男の情けなさながら、経済吸血鬼と製薬会社を描いているところに真骨頂あり。ぜひご覧になってご確認を。
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  ブランデッド

 

 今の世の中を知るには“世界の映画から”得られる情報はワリと重要。宣伝屋さんが国家をも動かしているのは笑い混じりに「砂漠でサーモン・フィッシング」「アイアンスカイ」でも描かれましたけれど、本作の舞台はロシア。経済発展著しいかの国ですけれど、広告の重要性を熟知していたのは他ならぬ共産国の総本山。ソビエト連邦の立役者レーニンで、広告業界は手口を模倣していた。セリフにいちいち頷いてしまうのもボリビアが舞台の、映画製作を絡ませたアチラ同様(「ザ・ウォーター・ウォー」)。

 

 グローバル企業、とりわけ外食産業がターゲットにされているが、見ていて思い当たることが多々あってすごい。悪党は南の島で、人々をどうだまくらかして売り込もうかと計画を練っている。黒幕のマックス・フォン・シドーは「ものすごくうるさくて、ありえないほど近い」とは真逆のキャラクターをやりまくり。マスコミの手口は食べさせておいて、“痩せましょう”、開発しておいて、“保護しましょう”。先に危険性を喚起しないで、後から実は分かっていたのだが・・・は得意技だ。

 

 最初はノリに乗ってた、主人公のミーシャ。悪党どもの計略に巻き込まれて、追放される。ところが水洗便所もない自然な土地で悟りを開き、広告に洗脳された人々がいるモスクワに戻ってくる。特殊なサングラスを掛けて、エイリアンの侵略を見ちゃったのが「ゼイリブ」。でも元々広告代理店で働いていた男には戦略があって、反撃が開始されるんだけどそれは見てのお楽しみ。人々に植えつけられた情報は、おぞましきイメージとしてCGで描かれるんだけど、都会は妖怪の巣窟ですな。

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