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アフター・アース

  アフター・アース

 

 SF超大作3連発の2発目、トム・クルーズ主演の「オブリビオン」の次はウィル・スミスと息子ジェイデン共演のサバイバル。それにしても「ライフ・オブ・パイ/トラと漂流した227日」を借りていくのは女性ばかりで、本作に関心のある男の子たちはまるでいない。結局愚痴になってしまうけれど、近頃の少年たちは「言の葉の庭」の孝雄くんみたいに大志を抱かないのか?生存に執着がないのか?ま、実際には何不自由のない楽園で暮らしているので、マーク・ザッカーバーグの道に未来を見出しているのかもしれない。ただし我が国にもジワジワと、自然の脅威に勝る危機=人間の欲望がまねく破滅が実体化しようとしている。金のことしか言ってない大人は、相手にしないに越したことはない。全員ではないけれど女性たちはとにかく鋭い。現実を思い知らされているからなのか?タフな物語も嬉々として借りていくもんね。

 

 さて予告編の戦略は素晴らしかった。本編からつまんだ映像も“おっローランド・エメリッヒの「紀元前一万年」か?”と思わせる。宇宙船がクラッシュして地球に不時着、父と息子の物語になるまでは判断できるが、あとは想像を膨らませるのみ。監督名を誇張しなかったのも上出来。ファンには申し訳ないけれど、知ってたら少し考えたかもしれない。知名度を上げたアレは良かったが、その後はどうも性に合わなかったんだよね。ただし本作はウィル・スミス一家が全面的に携わっていて、母ジェイダ・ビンケットは製作で、父ウィルは原案まで手掛けている。「ソウル・サーファー」も家庭用ホームビデオから素材を起こして上手くいったけれど、分断こそが儲けになる資本主義に対抗する最小単位=家族の絆がテーマの一つ。

 

 物語は遠い惑星に人類が移住した1000年後。住めなくしておいて、タイタンに行こうとしたり宇宙空間でのんびり暮らすとは“人類の面の皮”もずいぶん厚いですけれど、まず間違いなく“仕方がなかったんだ”などと言いながらやるだろうな・・・。世間知ってる原案担当の父ちゃんならではの視点ですよ。人が住めるんだから、行った先には生き物だっていて、人のビビリ(アドレナリン分泌)を感知して襲いかかってくるエイリアンが出てくる。「第9地区」のような描き方を用いて「スターシップ・トゥルーパーズ」のようだ。で、ビビらない伝説の戦士がウィル演じるサイファ将軍。伝説の男を父に持っているだけに、乗り越えようと必死の息子キタイ。そして一家には癒し難い過去がある。エイリアンから弟を守って殺された姉。お姉さん役のゾーイ・クラヴィッツはお母さんがリサ・ボネイなのねぇ、あの「エンゼル・ハート」の少女にはとっくに子供がいて、大きくなって・・・。苗字が示す通りお父さんはレニー(「プレシャス」)かぁ・・・、時の経つのは早い。

 

 息子と仲良くねと送り出されて宇宙へ行く将軍と息子。奥さん役のソフィー・オコドネーはつい最近「TSUNAMI 津波」を見たけれど、「リリィはちみつ色の秘密」も良かった。仲間を見捨てない将軍は尊敬されていて、その場面はきっちり刻まれる。歴戦の勇士だけに宇宙に出ても動じないけれど、人間の機械なんて脆い。ワープが出来るテクノロジーがあっても、クラッシュして入っちゃいけない惑星=地球に不時着。乗り物から未知の場に放り出されたら生存が優先します。ここからサバイバルが始まるんだけど、オッサンの視点は見守る方で、若い人なら必死こいて生き延びるジェイデン君に目が釘付けなになるはず。初めはビビってた少年が次から次への苦難を経て、だんだん顔つきが男らしくなってくる。森を走りぬけ、サルやヒョウのお化けも猛禽類すら退け、毒も制し、筏を組んでのんびりしたり(「ハッシュパピー 〜バスタブ島の少女〜」みたいだな)。もっともうかうかしていると、気温が急激に低下してコチコチに・・・。「アバター」は全編CGでしたけれど、植物などが自然に見えるのは、技術が進歩している証拠で、なかなかに見応えあり。

 

 「地球へ」では一度は脱して、環境が改善されたらエリートから順に戻っていった母なる星。ガンダムだと隕石を落として、巣立ちを強行しようとする。ただし二度と人類が住めないように封じて、宇宙の彼方に去るというのが新しい選択肢かもしれない。「白鯨」が度々引用されるけれど、環境を食い物にするのは人間の業ですよ。もっとも立ち位置によって見方は変わるので、ぜひ少年たちには男の子版「ハンガーゲーム」として見て欲しい(機械端末が役に立たない場面は重要な示唆)。お父さんたちには息子と、ダチじゃない接し方のヒントになるかも。父親が息子に教えられることは限られていて(「キングス&クイーン」のラストをご参考までに)、娘はもっとだけど(「マネーボール」)、男が見守るというのはそりゃあハードですよ。今回怖い顔して出てくるウィル・スミスは入魂で、ラストは本気で涙していたのでは?ジェイデン君はアッという間に成長して、「ベストキッド」の頃より作品を背負えるまでになっている。若手台頭は監督だけじゃないな。親子共作は「幸せのちから」以来なれど、“師と弟子もの”には弱く、やられてしまいました。伝説の男を成立させる要素=恐怖を克服する平常心に、侍が引用されないのが実に残念。嘆かわしいけれど、今の我が国は金の話をする大人ばかりが威張ってるからね。

 

現在(6/26/2013)公開中 
オススメ★★★★☆

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  幸せのちから

 

 「アフター・アース」経由で見せつけられた、ウィル・スミスが役者としても優れていることを証明する1本。「ジャッキー・コーガン」にはあの男が映るけれど、本作は80年代を象徴するレーガンがTVで喋ってる。元俳優でも共和党出身大統領は映画でなかなか好意的には描かれない。イイことしている「誰もがクジラを愛してる。」ではご尊顔を拝せないし、権謀術数のスパイ映画(「フェアウェル さらば、哀しみのスパイ」)だとじっくりと描かれたり。新自由主義の象徴として鉄の女ともどもお気の毒様。もっとも断行した政策は、怨みつらみを買うもので、ホームレスを大量に生んだのが80年代。「聖者の眠る街」が忘れられないけれど、実は昨今の我が国だって人事じゃなくなっている。ホームレス一歩手前まで追い詰められたのが、ウィル演じるクリス・ガードナー。

 

 毎朝通勤時に近所にある保育施設の前を通るけれど、今の日本には幼稚園がなくなっちゃったの?と気になっていた(子供がいないから知りようがありません)。80年代の合衆国でも庶民は夫婦共働きが当たり前で、中国人が経営している下町の施設に子供を預けている。プロデューサーだからウィルはやる気満々だけど、奥さん役のタンディ・ニュートンは生活感を滲ませていてさすがです。「プレイス・ビヨンド・ザ・パインズ/宿命」のエヴァ・メンデスもですけれど、女優根性の人です。ライス国務長官になったり、何不自由のない奥さん役も変幻自在。そしてジェイデン君は子役だけど、既に役者根性がある。贅沢三昧に育てられると、目の輝きが失われ、ギトギトしてくるものだ。アパートを追い出され、バスやら電車の中に寝泊まりとはホントに人事じゃなくなってきている。

 

 監督のガブリエレ・ムッチーノの視線は冷静に80年代合衆国を再現している。喫煙習慣もそうだけど、パソコンのモニターであるとか車であるとか手抜きなし。「7つの贈り物」で再度ウィルと仕事をしますが、監督の描き方は理想主義的ではない。だって本作のクリスは株屋に就職だからね。それは尊厳死を扱った次の作品も同じで、現実に生きる人の選択肢として受け止めるのが良いのでは?経済吸血鬼は学校成績なんかまるでアテにしていなくて、人々が好む実力本位。使い走りも信頼獲得に重要だし、人と会って話すこともご同様。「摩天楼はバラ色に」のように直に会って話す事は肝心で、大統領にだって大切な仕事。そして職種云々ではなく、“職を得る”という部分に注目してご覧になってはいかがでしょう。「デーヴ」の素晴らしさもソコにあるしね。で、監督の次回作を漁っていたら「スマイル、アゲイン」にたどり着き、ウハウハになってしまうのです。
オススメ★★★★☆

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