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47RONIN

  47RONIN

 

 忠臣蔵をファンタジー仕立てにしてしまうという奇想天外な発想は、日本人には無理。やろうと思えばできるかもしれないけれど、ちょっと腰が引けてしまう。ところが映画量産大国ならではの傍若無人さは、日本人とっておきの時代劇を原型を止めないくらいにリニューアル。ただ「かぐや姫の物語」同様に、21世紀の若者から「コレ笑っちゃうくらい違うじゃん、特にこの辺なんか」というツッコミが入るのだろうか?むしろ日本の研究を長年してきた外国人から怒られるかもしれない。でもこのくらい、まるで別物の忠臣蔵を見せられると爽快です。

 

 笑っちゃいますよ「もののけ姫」じゃあるまいし、天下泰平の世になっているハズの江戸時代に、妖怪が出てくる。鎖国しているという設定を借りて、未知の国に仕立てたとはいえ、やりたい放題。そんでもって「ロード・オブ・ザ・リング」に肉薄するかのような、化け物VS侍のバトルが展開。兜なんかモンゴル兵なんじゃないかというくらい自由に・・・。この破天荒な舞台設定に無理やり忠臣蔵を合体させてしまう。一体どこから着想を得ていたものか?実はタイトルだけ似ているロバート・デ・ニーロ主演の「RONIN」を久しぶりに見たら発見でした。

 

 「ラストサムライ」が2003年の12月公開で、タイミングはほとんど同じ。さらに真田広之も出ているし、キアヌ・リーヴストム・クルーズの風貌をいただいちゃっている。コピーと批判するのはたやすいが、知られていない日本をより広範囲の人々に見せるためには当然の選択。だったらセリフ英語だし、日系俳優だけにすれば・・・も考慮されますが、日本語なまりの英語が欲しかったのかもしれない。明らかに帝と将軍が混同されている、徳川綱吉に扮したケイリー=ヒロユキ・タガワは大爆笑でした(「燃えよピンポン」を超えた)。

 

 英会話能力が担保されている、真田広之、浅野忠信、菊地凛子は納得の配置。若さ弾ける「伊賀忍法帖」からずいぶんと経ちますけれど、今だに若々しい真田は貫禄。あの鮫肌男ソーのメンバーになったり、「バトルシップ」に出たりと世界が知ってるアサノになっていくのか?そして妖艶な物怪になった菊地凛子は、「ナイト・トーキョーデイ」で一緒の、田中泯扮する浅野内匠頭をまんまと罠にはめたりして。ただ「スキヤキウェスタン・ジャンゴ」と比較すると一発で、みなさん流暢で、あえて日本語訛りの英語を話しているように聞こえる。

 

 Wikipediaにも書かれていますけれど、なぜ浅野内匠頭が松の廊下で刃傷に及んだかは謎のままだそうな。核心を突いているのがつか版・忠臣蔵とずっと思っていて、高倉健さんの「四十七人の刺客」がワリと近いアプローチだったのに肯いてしまった。多分徳川綱吉のご時世は「花よりもなほ」(そういえば浅野忠信は出てたね)に描かれていると勝手に思っているので、ぜひ本作と合わせてご覧ください。伝奇モノなら「里見八犬伝」も山田風太郎の「魔界転生」もあるのになんで忠臣蔵にしたんだろう?はやはり切腹がポイントでしょう。

 

 「将軍」も「ラストサムライ」も欠かせなかったし、「一命」を観た時も海外向け時代劇の場合、ハラキリは欠かせない要素だと再確認した。気づくのが遅いが、恋愛映画、SF映画に続いて“日本人に日本を思い出させる”作品群が今年の傾向の1つ。「SHORT PEACE」「風立ちぬ」「かぐや姫の物語」などなど。これらが注意喚起しているのは、日本人はドンドン自国に対して薄情に、時刻と金に対して隷属していることになる。貧しかったことは忘却の彼方、伝来のおとぎ話はスラスラと語ることが難しい、奇妙な描かれ方をしている定番時代劇を突っ込むことも・・・。

 

 帰宅して晩御飯を食べてたら、TVに記者会見を行う安倍総理が映っていた。ただ食い入るように注視していたのはワシだけで、他の者はまるで聞く耳持たずだ。「どーせ嘘言ってんだろ」と無機物=TVに向かって、悪たれついても意味がない。媚びるつもりは微塵もないけれど、じっくり耳を傾ければ、少なくとも国民の不安に対して、真摯に訴えていたと思うがどうか。特定秘密保護法に反対賛成だけでなく、関心のある者、無関心の者の溝も深まる一方だ。こんな状態をそれこそ“我が国を無きものにしよう”としている勢力に利用されたら・・・。でも核爆弾持ってないし、恨まれる覚えがないようにしてくれたのは日本国憲法のお陰様(これは粛清対象かもね)。

 

 一方的なのが何より怖いだけに、失言が大々的に報じられた石破茂幹事長のブログを読むと、夜行列車の廃止を嘆いたりして“いい人そう”と思い込まされてしまう。実は首相官邸のホームページもワリと見ていて、マスコミをスルーして知ろうとする努力はしているつもり。いちおう美しい国へを読んだので、安倍晋三内閣総理大臣は掲げた目標を着実に実現している。“実現のため邪魔者を排除”に傾かないことを切に願うのみだ。もちろんそれって、反対する勢力も取り込んでいるっていうワルなんだけど、国家分裂よりマシですよ。「表現の自由は守られる」と言った以上は実行していただく。原子力発電所事故が完全コントロール下にないことは明白なれど、言った以上は・・・、お願いしますね。

 

現在(12/9/2013)公開中
オススメ★★★★☆

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関連作

  RONIN

 

 冒頭で全世界に浪人とはなんぞやとアナウンスされるんだけど、数ある侍の中から四十七士が選ばれている。それは劇中武士のミニチュア(「劇場版SPEC〜天〜」にもあったね)を作っている男から、語られる部分で察せられる。観ていたにもかかわらず、「47RONIN」に継承されている、と発見した気になり大喜び。切腹なんてゴメンだねとロバート・デ・ニーロ扮するサムは呟くけれど、主を失った東西冷戦後のスパイが本作の主人公。ところが実は・・・参考までに「ブラディ・サンデー」をどうぞ。

 

 素顔のデ・ニーロ「ミッドナイト・ラン」に近いけれど、コメディだったアチラより格段にカッコ良い。スパイ浪人の結集だけに出演者は国際色豊かに、フランス人のジャン・レノ、スウェーデン出身のステラン・スカルスガルド、英国からはジョナサン・プライスが結集。前日に「G.I.ジョーバック2リベンジ」を見ているので、ジョナサンってスパイ映画が似合うな、などと思ったりして(007にも悪役で出ている)。この出演者の中だとショーン・ビーン(「白雪姫と鏡の女王」)なんて坊やだもんね。

 

 BGMはクラシカルなれど、圧巻はカーチェイス。てっきり「トランスポーター」「ザ・ドライバー」のリメイクだと思っていたけれど、本作のシーンから頂いているのもありそうだ。「TAXi」と比較してもスピードはノっていて、サイドミラーが取れたりする地味な事故シーンの積み重ねが実にプロっぽい。「フレンチ・コネクション」のジョン・フランケンハイマーなんだから、当たり前と言われればそれまで。ただ、ジャン・レノを女房役に、デ・ニーロとのプロ同士の友情は粋です。以前観た時はもちろんまるっきり分かりませんでした。
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  伊賀忍法帖

 

 いかにも元気いっぱいだった頃の角川映画らしい作品。確か「汚れた英雄」と併映で、目当ては草刈正雄のバイクものだったけど、案外いけるじゃんと当時は思ったものだ。「魔界転生」に続く山田風太郎原作の伝奇モノ。因みに甲賀忍法帖を映像化したものが「SHINOBI」で、3本を並行してご覧になると、設定が被っている分スケールであるとか、製作年であるとかの違いを楽しめます。スケールの点で「魔界転生」に一歩譲るのが本作だとしても、元気いっぱい若さ弾ける主演の2人真田広之、渡辺典子の貴重映像で、力みすぎる千葉真一は、やはり柳生の姓がついてしまうのにニンマリ。

 

 決定的に「SHINOBI」と違うのはCG。でも実際のセットを燃やせば、業火に焼かれる城に説得力を持たせられる。さらに大好きだった成田三樹夫は「宇宙からのメッセージ」の、ビックリさせられる変身より実に適役。また“殿はご乱心”を「魔界転生」共々松橋登が演じているので、笑ってしまう。ただし当時はそれほど気にするこ人もいなかったのでは?今でこそ“同日に観賞する”ことは可能ですけれど、そんなマシーンはなかったですからねぇ。3作品ともに人ならざる妖術やら忍術が見所で、“なりすます術”を具現化するため、一人三役をこなした渡辺典子は本作がデビュー(可愛かったなぁ)。
オススメ★★★☆☆

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