関連テーマ

サイドボックス

ここにテキスト


出し

幸せへのキセキ

  幸せへのキセキ

 

 動物感動映画を避けているので、動物園が出てくる映画は「ジュラシック・パーク」くらいしか観たことがない。水族館が出てくるのは「ワンダーランド駅で」「海洋天堂」だけどやはり背景に過ぎない。コレと並行して「イルカと少年」を見てみたけれど、やはり動物と子供には適わない(「フリー・ウィリー」)。しょっちゅう動物モノを見ている人が、どういう感想を持つのか分かりませんが、“あんなものお涙頂戴映画だ”と抵抗を感じる人でもイケます。ま、監督のキャメロン・クロウがワシのお目当てで、「シングルス」「ザ・エージェント」「あの頃ペニー・レインと」「バニラ・スカイ」までは観ていて、ここ10年くらいはご無沙汰だった。久しぶりの新作だし、マット・デイモンも出ているし、スカーレット・ヨハンソンエル・ファニングも出ていて、予告編もそこそこな感じ。ま、「僕たち動物園を買いました」をこの邦題にするのは「幸せの教室」と近いセンスなのかな?

 

 冒頭はキャメロン・クロウらしさというか、20世紀フォックス社製なのに小ぢんまりで、観ているこちらはニンマリ。「あの頃ペニー・レインと」は少年ジャーナリストでしたけれど、本作は突撃取材も辞さないジャーナリストが主人公(独裁者が「トイストーリー」好きってトコは笑える)。演じるのがマット・デイモンで、“妻の不在で子供たちと悪戦苦闘”は偶然にも兄貴分のジョージ・クルーニーもつい最近「ファミリー・ツリー」で演じていた。ダチのベン・アフレック「世界で一番パパが好き」でいち早く演じていたけれど、坊や顔だった彼もやっと板についてきました(「コンテイジョン」は題材が違ったしね)。「マネーボール」ブラッド・ピットしかりで皆さん年相応の役になってまいりました。

 

 で、奥さん亡くして落ち込んで、家の雰囲気もヤバイし、長男は変な絵を描いてるし、引っ越して気分を変えようと思う主人公ベンジャミン。新人不動産屋が紹介したのが動物園付き物件で、兄貴が止めるのも聞かずに買っちゃう。兄貴役が全編に渡って良い味なんだけど、「サイドウェイ」のトーマス・ヘイデン・チャーチ(「小悪魔はなぜモテる?!」も良かった)。更に脇でいい感じを出しているのが、肩に小猿乗せてるパトリック・フェジット。「あの頃ペニー・レインと」の時は初々しい少年だったのに、案外精悍な雰囲気の青年に成長。他にもお役人のジョン・マイケル・ヒギンズ(「男と女の不都合な真実」)とか、その役人見つけたら“ただじゃおかねぇ”と息巻いているアンガス・マクファーデン(「ブレイブハート」がデビューだそうな)とか20世紀フォックスの看板背負っているワリに、監督のテイストが生かされている。

 

 もちろんもうじき「アベンジャーズ」 でアクションを炸裂させる、スカレーレット・ヨハンソンは現場任されている飼育係がキマッている。しなやかなアクションもこなすけれど(「アイアンマン2」)、やはりこの人は「ロスト・イン・トランスレーション」が忘れられない。親父の相手役が彼女で、変な絵を描いている問題児の都会っ子の長男には、初々しい相手が当然用意されている。それがエル・ファニングで、「SOMEWHERE」「SUPER8/スーパーエイト」 ときて、幼いのに女優根性があります。「マイ・ライフ・アズ・ア・ドッグ」みたいな“こんな初恋がオレにもあったらなぁ”と思わせてくれる可愛い恋模様はニヤニヤして見守っちゃう。

 

 キャストは申し分なく、実話を元にしているだけあって、ありがちな動物映画には傾斜しないのが本作の持ち味。動物園を実際に運用するには、それ相応の経営努力も要るし、ペットじゃないから撫でて餌をやっていれば良いというわけにはいかない。蛇やら虎やら熊やら大変です。グリズリーなんか逃げ出して街に出てきちゃうし、街でアレ見たら確かにビックリ(「アンフィニッシュ・ライフ」)。猛獣の虎だって最期は来るわけで・・・。地元の動物園だけに、スーパーのレジで声かけてくれる人なんかいて、チラリと良いシーンが入っていてなかなかです。もちろん子供たちのための引越しだったんだから、父として彼らの母親との出会いを語るのがクライマックス、ぜひご覧になってご確認を。

 

 父と子の心温まる物語、ケヴィン・スミスだって撮っているんだから(「世界で一番パパが好き」)、キャメロン・クロウにだってあってもよい。元から作るとちょっと捻っちゃうから(「ザ・エージェント」など)、実話ネタだと照れがなくなるのか?キャストも皆さん熱演で良いけれど、結局末っ子と動物の部分には適わないんだよね。

現在(6/15/2012)公開中 
オススメ★★★★☆

Amazon.com

DMM.com

 

前のページ  次のページ

 

top

 

関連作

  イルカと少年

 

 動物感動映画は可能な限り避けるくせに、イルカやらクジラやらが出てくるのは案外観ている。「グランブルー」が好きだし、「ディープ・ブルー」のシロナガスクジラには圧倒された。でも日本人だから“捕鯨の何が悪い”と思っているし、“調査”って付けるのは止めて欲しいと切に願う。ただクジラってねえ、昔ベーコンも食ったし、竜田揚げが給食に出てきたけれど、不味かったのよ(若い人は分からないだろうなぁ)。“浜に打ち上げられたイルカを救う人々”を描いた感動作ってところで、うんざりする人もいるのは分かるし未公開なのは仕方がない。でも「だれもがクジラを愛してる。」は間違いなく観に行くことになりそう。不朽の文学「白鯨 MOBY DICK 」 があるくせに、無理やり放り投げると怒られるのが合衆国(「ハンコック」 )。ヤワになった人々が愛するのがあの動物ってワケではなくて、脳みそ詰まっているし、元はカバだったらしいけれど(イルカ―生態、六感、人との関わり )宇宙人よりは身近な知的生命体。下手すると遠い未来で、人類救済に繋がるかもしれないし(「スタートレックW故郷への長い道」 )。

 

 「フリー・ウィリー」と似たような感じで、瀕死のイルカと心を通わせるのが内気な少年ソーヤー。この題材に全米が熱狂し、3Dで上映されたのは納得。実話を基にしているから、水族館経営の資金繰りが苦しいところも出てきて、その辺は「幸せへのキセキ」とご同様。ただ「リトルマン・テイト」以来見ていなかったハリー・コニック・Jrが出ていて、「コレクター」で共演していたアシュレイ・ジャドとモーガン・フリーマンまで出ているのはかなり豪華。それにしても、ものすごくいいところに登場するモーガン・フリーマン、題材が良いとこの人燃えます。彼の役柄は傷痍軍人のために義手や義足を作る博士で、そこにソーヤー少年の憧れの従兄弟が、戦争で傷つき世話になっている。で、イルカと博士がなんで繋がるかと言うと、傷ついた尻尾を切断されて、思うように動かなくなったイルカのウィンターを救うべく、ソーヤー少年が橋渡し役。

 

 致命的なダメージを受けると、野生動物はまず死んでしまうわけで、自然に逆らう人々の姿はやはり感動的。タイトルが“イルカの尻尾”というくらいで、人間の義足を応用して尻尾を作ろうという根性は合衆国ならでは。かの国はまだ戦争中ですから、こういう作品は支持される。「ソウル・サーファー」と同じで実際の映像がラストに流れるけれど、説得力あり。ベタだけど好きですねぇ。
オススメ★★★★☆

Amazon.com

DMM.com

ホームページ テンプレート フリー

Design by

inserted by FC2 system