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裏切りのサーカス

  裏切りのサーカス

 

 ちょっと前に観終わった「ルート・アイリッシュ」も劇場内はけっこう年配者で占められていた。ところが本作はもっと凄くて、平日の14:50からの回なのに大人で満員。最近は「おとなのけんか」「ヤング≒アダルト」などを拝んだお気に入り映画館TOHOシネマズシャンテ、盛況です。

 

 さて監督もキャストも観に行くしかないでしょう、という鉄壁の構え。あの「ぼくのエリ、200歳の少女」の監督トーマス・アルフレッドソンですから期待は大きい。スウェーデン出身ながら、英国演技派をこれでもかと集めて料理。もう冒頭からシビれる展開で、マーク・アイシャムを思わせるジャジーな曲がたまらない。音楽担当のアルベルト・イグレシアスは意識したこと無かったけれど、チェ2部作(「チェ28歳の革命」「チェ39歳別れの手紙」)、「君のためなら千回でも」を担当してきた人で、本作の原作者ジョン・ル・カレの「ナイロビの蜂」 も手掛けている。

 

 キャストはハリー・ポッターかこちらか?というくらいの豪華さ。ゲイリー・オールドマンはレパートリーだった狂気(「レオン」「ザ・ウォーカー」)とも誠実さ(「ダークナイト」)とも違う側面を見せた。ここまで無表情を貫いた彼を見たのは初めて。「英国王のスピーチ」により認知度が一気に上がったコリン・ファースも上手いけれど、キアラン・ハインズ(「ペイド・バック})とトビー・ジョーンズが揃って出てくる作品はなんと3本目(「ザ・ライト エクソシストの真実」「アメイジング・グレイス」、本作)。この濃い面々に混じってすぐに「Black & Whiteブラック&ホワイト」 が楽しみな若手トム・ハーディも、負けず劣らずの重要なパートをきっちり占めている。しかしなんと言ってもお目当ては、今月だけで「第九軍団のワシ」「ジョン・カーター」 と観てきたマーク・ストロング。この起用のされ方は嬉しかった。さすがはトーマス・アルフレッドソン、時代を読んでいる。

 

 原作は地味系スパイ映画がお手本にしてきたことは間違いない傑作(TVドラマだったら毎週見ていたな)。「哀しみのスパイ」で監督のエリック・ロシャンは「ジョン・ル・カレみたいな作品にしたかった」と語っていたのも納得。「フェアウェル さらば哀しみのスパイ」「アメリカを売った男」は実話を基にしているけれど、この小説から派生しているように見える。しかし監督の実力はもう文句なしで、65年生まれのクセに東西冷戦下の70年代を完全に再現。「ジョン・カーター」はオマージュ作からイメージを補完していたけれど、スウェーデン恐るべし。雰囲気は「瞳の奥の秘密」にも通じるから、来場した大人の面々も納得のクォリティでしょう。よくあんなクラシック・カーやら見つけてきたと唸ってしまいます。街並みもCGを使った安っぽさが無いし、建物内部の描写も絶品。

 

 まだ2作品しか観ていないから、監督の才能がどれほどか計り知れないけれど、合衆国とは“水が合わない”ことはなんとなく分かる。地味でもいい、インディ系のままでもぜんぜんかまわないから独自路線でいって頂きたい。でも新作の前に彼の過去の作品はあるわけだから、“掘り起こし”をメーカーに期待。

 

現在(4/26/2012)公開中
オススメ★★★★☆ 

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関連作

  ペイド・バック

 

 ナチハンターが実在するんだから(「ブラジルから来た少年」)、イスラエルの情報機関がナチの戦犯を見逃すはずはなく、着眼点は文句なしの地味系スパイ映画。監督は「恋に落ちたシェイクスピア」以来のジョン・マッデンで、無駄なくそつのない演出。ところがこれはイスラエル映画のリメイクなんだそうな(オリジナルをぜひ拝みたい)。インディ系ながら配給会社が2社というのは初めてお目にかかる。なんとミラマックスフォーカス・フィーチャーズ

 

 時は東西冷戦下の分断された東ベルリン(1966年)で実行される作戦と現代(1997年)を交差させて描かれる。過去パートに出演しているジェシカ・チャスティン(「ヘルプ」)、サム・ワーシントン(「崖っぷちの男」見逃してしまった。)後々この2人を語る上で重要な一本になりそう。そして現代はというとヘレン・ミレン(「RED/レッド」)、キアラン・ハインズ(「裏切りのサーカス」)、トム・ウイルキンソン(「ミッション:インポッシブル/ゴースト・プロトコル」)と枯れてなお活躍中の人々でかなり豪華。

 

 建国間もない国の情報機関が東西冷戦の真っ只中で、逃亡中のナチを確保するのは至難の業(「敵こそ、我が友〜戦犯クラウス・バルビー3つの人生〜」)。21世紀でも思惑が絡まってなかなかとっ捕まえられないのに(「カルラのリスト」)、困難なミッションに挑む若きスパイたち。そして実行する男女三人は恋愛も交えることになって、事は複雑になっていく。そして彼らには隠しておかなければいけない秘密があって、現代になって決着をつけなければならなくなる・・・、ぜひご覧になってご確認を。

 

 「REDレッド」では炸裂するスナイパーでしたが、孫を持つ身になっても過去を清算するためロシアへ飛ぶヘレン・ミレンは勇ましく、凛々しく、かっこよい。ただ過去と現代の男優さんはミスキャストだったのでは?トム・ウイルキンソンとサム・ワーシントン、キアラン・ハインズとマートン・ソーカスだったら顔が似ていて問題なかったんだけど。「哀しみのスパイ」で初めて触れたモサドだけど、たいてい地味系スパイものになります。「フェアウェル さらば哀しみのスパイ」「善き人のためのソナタ」そして「裏切りのサーカス」と共にぜひどうぞ。
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  ラルゴ・ウィンチ 裏切りと陰謀

 

 監督が「ツーリスト」のオリジナル「アントニー・ジマー」を撮ったジェローム・サルで、既にこれは第二弾なんだそう。ただしパート1を見ていなくてもぜんぜんOK。ジャケットがねぇ、若干“垢抜けない”けれど、昨日見た「フランス特殊部隊 GIGN(ジェイジェン) 〜エールフランス8969便ハイジャック事件〜」 も“知らないうちに終わっている”ミニシアター系のおフランス映画は、今後要注目かもしれません(その辺は「アントニー・ジマー」が分かりやすい)。

 

 原作は「ミシェル・ヴァイヨン」と同じくコミックなんだそうで、金持ちのところも似ている。合衆国の金持ちはどうしても株絡みって感じだし、IT関連だと「007/慰めの報酬」みたいな悪役になっちゃう。ま、多国籍企業の前に国家はもはや、“意味を成さない”21世紀。活躍するヒーローもその頂点に立つ男にすると、ワールド・ワイドな展開が可能。スパイは今や企業のお抱えだし(「デュプリシティ」)、大財閥の御曹司が、世界を股にかけて活躍するサスペンスフル・アクション!の認知度が低いのはもったいない。

 

 主人公ラルゴ・ウィンチのキャラクターがまさに本作のキモで、ジェリー・ブラッカイマーにどことなく似ているトメル・シスレーは多言語ペラペラ。ビルマ、ロシア、香港を股にかけて展開するお話なので、もちろんそれぞれ言葉は違う。ところがスムースに言葉を操るラルゴが自然で良いのだ。「ミッション:インポッシブル/ゴースト・プロトコル」はITガジェットで21世紀を表しましたけれど、キナ臭いビルマから物語が始まるからこそ現代。合衆国の作品でも聞いた事ないけれど、かの国を“ミャンマー”と呼称しているのは日本のマスコミだけか?

 

 ロシアでのカーチェイスも迫力満点で、リュック・ベッソン・テイスト(「96時間」とか)。国際的な犯罪を取り締まる検事役としてシャロン・ストーンが登場するけれど、「カルラのリスト」を経ているだけにアリなのは良く分かる。お供が2人いるところは「トゥーム・レイダー」みたいだが、合衆国の御曹司ブルース・ウェインが主人公の新作、「ダークナイト・ライジング」は果たして超えられるのか?と思わせるくらいの面白さ。ぜひご覧になってご確認を。
オススメ★★★★☆

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