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君への誓い

 君への誓い

 

 最近観てないんですよ、合衆国産の恋愛映画。アマンダ・セイフライドを外しているのが主な原因で、「ジュリエットからの手紙」、「親愛なるきみへ」をスルーしている。でも2作を見たらまず間違いなく「きみに読む物語」のように後悔しそう。もちろん本作を観に行く起爆剤はレイチェル・マクアダムスで、「ミッドナイト・イン・パリ」に続いてのレイチェル・ウィークになってウハウハ。

 

 ただアレだけ豪華共演のウディ・アレン監督作だし、マリオン・コティヤールまで出ているんだから、“踏み台”でも仕方ない。でもこちらはバリバリの主役だし、「シャーロック・ホームズ・シャドウゲーム」もチョロっと出てきて、おしまいだったから楽しみでした。冒頭から魅力全開です、大満足です、可愛らしいのです彼女。ところがいきなり事故発生で記憶を失くしてしまう。ラブラブの夫との肝心な部分が消えうせてしまって、疎遠だった金持ち家族との部分が残る。なんとか元のあの“仲睦まじい”頃の記憶を取り戻せないか、夫の献身的な努力は報われるのか?

 

 内容はありがちな展開を予想させますが、実話を元にしているだけに既存の恋愛映画の王道パターンを踏まず、アッサリした感じ。賛否があるかもしれないけれど、一捻りだと思う。全米でヒットしたゆえんがそこにあるのかも、ぜひご覧になってご確認を。デート・ムービーとしてギリギリ成立するか?というのがお気に入りのポイントです。

 

 献身的な夫が「第九軍団のワシ」でも逞しかったチャニング・テイタムで、まさかやるとは思いもよらなかった「G.I.ジョー」のパート2が控えています。病を患う女性に献身的に尽くす男は、昨今説得力を持つ。「ラブ&ドラッグ」ジェイク・ギレンホールは良かったし、「スリーデイズ」ラッセル・クロウも21世紀型にシフト。顔が将棋の駒みたいな印象で、ガッチリしているけれど「抱きたいカンケイ」のアシュトン・カッチャーみたいな甘さがないのがチャニングの持ち味で、ヒーローと恋愛劇を並行しても無理がない。

 

 記憶喪失というとスパイ映画(「アンノウン」「ボーン・アイデンティティー」)が良く用いますし、記憶にまつわる設定が得意なのはフィリップ・K・ディック(「ブレードランナー」)で、「トータル・リコール」リメイクするとは驚いた。「メメント」などもあるけれど、恋愛モノではちょっと思いつきません(もちろん数を観ていないからなんだけど)。どちらかと言うとロマンティックな要素として使用するのではなく、病として記憶を失ってしまった妻と夫の物語として完結させている。

 

 実話をベースにしていて、夫婦愛だから「ツレがうつになりまして。」に近いけれど、「50/50フィフティ・フィフティ」とか「ラブ&ドラッグ」の雰囲気を醸し出している。記憶喪失の部分を強調したらそれこそ「ブロークン」「エンゼルハート」みたいになって・・・。「きみがぼくを見つけた日」ではタイムトラベラーを見守る妻でしたけれど、今回は見守られる方で可愛らしかったレイチェル・マクアダムス

 

 出演作は目白押しで来年までストックされているから楽しみ。夫役のチャニング・テイタムもコスプレ(「第九軍団のワシ」)も被り物ヒーロー(「G.I.ジョー」)もやって恋愛映画にも出て・・・、と売れていくのは間違いなさそうだし、後々この作品は彼らのエポックとなりそう。「青い塩」のように中年がときめくものではありませんが、デート・ムービーがなくちゃ映画館は寂しい、コレに尽きます。ただカップルでなくとも観賞可能な作品ですから集客は見込めるし、悪くないですよ。フィクションの「ヤング≒アダルト」が実に現実路線だったことが良く分かる。

 

現在(6/1/2012)公開中
オススメ★★★☆☆  

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  コトバのない冬

 

 “渡部篤郎は繊細な人だなぁ”と印象づけられるミニシアター系の秀作。もちろん映画に繊細で自然な感じを出すには、プロの手腕がなければならなくて、出てくる役者は信じられないくらいの演技巧者ばかり。渡辺えりが申し分のないのは当然としても、「外事警察」でも“この人がここにいなければならない”位置に存在する北見敏之が素晴らしい。この人は悪役の「それでもボクはやってない」が強烈で、本作のお父さん役はそのギャップに唸ってしまう。家を出て離れて暮らす娘を前に、晩御飯の最中泣いてしまうところは名シーンです。他のキャストも適材適所で、キャリアを積んできた役者だけに映画監督渡部篤郎にはもっと作品を生み出してもらいたい。

 

 もちろん主演女優は高岡早紀でなければならなかった。北海道が似合う女優は「Love Letter」の中山美穂、「ガメラ2 レギオン襲来」の水野美紀と勝手に思っていて、「KYOKO」の主演女優は新規登録です。「ガメラ2」の水野美紀も薬局の娘だったけれど、ごく普通の近所の美人に化ける高岡早紀。ところが可憐な前半と記憶を失った後半とでは明らかに顔の相が違う。この変化に女優=高岡早紀の真骨頂を見ることになる。役者としての渡部篤郎も話せない人物を自然に演じきっていて、「落下する夕方」を思い出してしまう。

 

 「君への誓い」は実話を元に、過度にウェットな方向になりがちなストーリーをかわすことができた。本作は実に詩的で、涙することなく染み入るような感動があって、20代だったら間違いなく虜になっていただろう。渡部篤郎監督を少なくともあと3作は観たくなった。初監督作だけに準備期間は彼のキャリアそのものだろうから、2作、3作と続けてどんな作品が出来るか。上手い役者を起用するのは同業だけにお手の物だろうし、画のセンスも抜群だ。更に音楽のタイミングも的確で、良いスコアだと思ったら音楽担当は屋敷豪太。
オススメ★★★☆☆

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