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009 RE:CYBORG

  009 RE:CYBORG

 

 新しい試みが進行中の日本アニメーション。海外の作品に対抗し得る表現として、映画好きとしては期待が大きい。残りは「ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q」 か。またやはり日本の文化的財産は漫画のようで、エヴァンゲリオン「デビルマン」を基にしているし、手塚治虫の遺伝子は「リアルスティール」だけでなく、インド映画にまで受け継がれていると勝手に思っている(「ロボット」)。ちびっ子たちは「ドラえもん」を借りていくし、「ドラゴンボール」も人気は健在(凄いなぁ)。そこに「仮面ライダー」の生みの親、石ノ森章太郎の「サイボーグ009」を映画化するのが神山健治 となれば期待は膨らむ。それにしてもいつ頃から石森じゃなくなったんだっけ?

 

 80年ごろに放映されていた〜サイボーグ戦士、誰がために戦う〜と歌う主題歌のTVシリーズ好きだったし、劇場版「サイボーグ009 超銀河伝説」まで観に行っていた(この頃はまさにアニメマニア)。原作も読んでたし、この辺は神山監督もワシと似たような年齢(45)だけに、身体に染み込んでいる経験だろうと推察される。で、80年のTVシリーズと劇場版はあまり用いられず、原作からエッセンスを抽出して、監督の過去の作品で蓄えた手練手管をこれでもかと詰め込んでいる“過情報”作品になっていた。予告編で“天才石ノ森章太郎の未完の傑作”と謳われていて、傑作には違いないが、未完とは知りませんでした。ひょっとすると「精霊の守り人」まで手掛けてしまう監督は、傑作を完結させてしまうかもしれない。もちろん本作は序章です、そうでなくてどうするのか、シリーズ化は義務だ。ハインリッヒ(004)の見せ場はもっと欲しいし、ピュンマ(008)もグレート・ブリテン(006)も・・・。

 

 「東のエデン」の監督の持ち味はいきなり炸裂します。世界各地をテロが襲いビルが倒壊したりて、とんでもないことになる。滝沢君たちは生身だから、テロは寸止めだけどサイボーク戦士が立ち向かうなら、ハデにスケールを目一杯広げる。草薙素子の所属する公安九課も、法を逸脱して正義を行使するけれど、メンバーはいちおう日本政府に所属している。ところが元々チームが多国籍の00ナンバー・サイボーグはサッカーのナショナル・チームみたいに“事に当たる時”だけ結集。なんと正義の“テンポラリー・スタッフ(臨時職員)”ですよ。これがですね、驚くなかれ21世紀の現実を反映している。先日受けたセミナーでも“クラウドソーシング”という働き方があるのだそうで、「エクスペンダブル2」を一気に漫画チックにしてしまう。実際にテロリストと戦う「ネイビーシールズ」でさえ、大きかろうが小さかろうが“敵”が実在するのに比して島村ジョーたちが立ち向かうのは“彼の声”。ちょっと前に観終わった「危険なメソッド」のフロイトまで持ち出して、師匠押井守「天使のたまご」まで匂わせる。でも混沌とした世界情勢を踏まえたら、案外的外れではないかも。

 

 もちろん原作を大切にしながらサービス満点、なんとねぇ“009と003がデキてる”大人の描写をいきなり入れてくるとは。原作にあった小学生には刺激強すぎのシーンを再現。でもみんな大人だからいいよね、ぜひもう一回確認したい。観客を成人と規定しているとしか思えない、さすがです、思い切りいいです。そしてアダルトな描写だけでなく、どーしてジョー(009)とジェット(002)に確執があるかはラストを盛り上げるため、“そうか、やはりこれがラストか”と納得、ぜひご覧になってご確認を。六本木ヒルズにミサイルを打ち込み、ドバイを吹き飛ばす(「ミッション:インポッシブル/ゴースト・プロトコル」にすら不可能)。並みの人間には対処不能ながら、サイボーグ戦士たちなんですから、このくらいの逆境がなければ。スケールだけでも負けず、正義の側も21世紀に対応し、立ち向かう敵にも一工夫。ルパン三世は神の名を騙る複製人間と対峙しましたが(「ルパン三世」)、彼らは果たして・・・。

 

 情報があふれ出すような印象があるのは「東のエデン劇場版U paradise lost」とご同様ながら、コレはシリーズが続くのだと思うと期待が膨らむ。あとから確実に効いてくるように情報量を多めにした流れが2012年の特徴かもしれません(「ボーン・レガシー」とか「プロメテウス」とか)。技術的にはデジタル・アニメーションだけでなく、3Dの見せ方も「攻殻機動隊 S.A.C SOLID SATE SOCIETY 3D」より進化しているし、料理し放題の情報は原作に詰まっている。とうとう神山健治 は超大作アニメーション監督になってしまいましたな。

 

現在(10/31/2012)公開中
オススメ★★★★☆ 

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  ルパン三世(ルパンVS複製人間) 

 

 着ているジャケットは赤だが、テイストは完全にファースト・シーズンのルパン三世。昔から見ている人(もう40代だよ)にとっては“これぞ本家なのだ”と思っている人は多いはず。画は粗いかもしれないけれど、動きは70年代のアニメーションらしく躍動的で、今(2012年)でも見劣りしない。中身も最初のシリーズに則っている。ルパンはスケベだし、次元は躊躇なくマグナムをぶっ放すし、そもそも五右衛門はルパンを殺そうとしていたし。もちろん不二子ちゃんを巡って騒動が勃発するわけだけれど、スケールはワールド・ワイド。1978年の作品だけど、合衆国の空母が出てきてハリヤー戦闘機が映っていたり、ピラミッドにホントの秘密があったり、侮れない。また70年代だけに“言葉狩り”がないから、五右衛門を罵倒する次元のセリフも激しい。

 

 クローン技術を知ったのはまさにこの作品のおかげで、「さらば宇宙戦艦ヤマト 愛の戦士たち」と同じ年に公開されている。実は上野で観たけれど、けっこう入っていたような(ま、曖昧な記憶です小学校6年生でしたから)。声優は信じられない豪華さで、西村晃が自らを神と称するマモーを演じ、主題歌を担当する三波春夫、梶原一騎、赤塚不二夫など原作者モンキー・パンチの人脈なんでしょうか?“神の名を騙る男”を認めない超現実的な男ルパンは、ガニ股でもカッコ良い。五右衛門の斬鉄剣が思わぬところで威力を発揮、相棒の次元が叫ぶ「行くな!ルパン!」と「夢盗まれちまったからな」は今でこそ響く。もちろん観た当時は分かりませんでしたよ、だからこそ大人向けなの。
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  ロボット

 

 「ムトゥ踊るマハラジャ」以来遠ざかっていたインド映画。外国が「スラムドッグ$ミリオネア」でスラムを、「食べて、祈って、恋をして」では祈りの場として描いたかの国。インド出身のターセムも合衆国で活躍中(「白雪姫と鏡の女王」)。さてもちろん本場もんは歌と踊りがなくては、ちゃんとやってますミュージカル近似値ってかんじの楽しいシーン満載。でも冒頭はCGで外国産に一歩も引けを取らない。そして“スーパースター!ラジニカーント”とクレジットされるとブッ飛ぶ。ところが最初はどこか垢抜けない感じがイイなぁと思っていたけれど、アクション・シーンにワクワクしながら画面に釘付けになり、ゲラゲラ笑うけれど、ラストはジーンとくる。加えて“なんだここでも手塚治虫(「メトロポリス」)の遺伝子が継承されているではないか”と感心してしまう。

 

 天才博士が開発したロボットだけど、コマンドを入力するのは人で、“人間の過ち”、“人間の傲り”が根底にはある。ムトゥ=ラジニカーントがありがちな科学者の常で、純粋に善から発していながら、やっているのは軍事利用。出産のシーンは人を感動させてしまうのは「トゥモロー・ワールド」「ソハの地下水道」しかりですけれど、ロボ=チッティの処置が冷静かつ迅速で「ブラック・ジャック」を思い出させる。“機械と僕は友達”を合衆国なら「リアルスティール」で、こちらはインド版。IT化が進む国だけに抜かりなく、アイザック・アシモフにも触れられているし、昨今合衆国より諸外国の方がSFはダイナミック(大ボラ)になる好例(「アイアン・スカイ」「宇宙戦艦ヤマト2199 果てしなき航海」)。もちろん冗長気味こそインド映画で、完全版は177分なんだって。
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