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僕達急行 A列車で行こう

  僕達急行 A列車で行こう

    

 別段避けているわけではないけれど、気がついたらページに載せる日本映画はコレが今年初だ。既に1本観ていたけれど、あまりのひどさに生まれて初めて途中で劇場を出ちゃった(タイトルは内緒)。巨匠クリント・イーストウッドの変態偉人伝「J・エドガー」のおかげで、懲りもせずせっせと映画館通いしているわけで、森田芳光の遺作なんだから劇場に行くのは当然。久しぶりに笑い転げるネタ満載で、後もう一回観たい。「武士の家計簿」 の時、最後に感動作とっといてるのかな?などとも思ったけれど、涼しい顔で逝ってしまいましたね。

 

 この作品は飛び飛びで観ている監督森田芳光の作品であることも大きいけれど、題材が身近なネタ満載。京急沿線に住んでいて、祖父さんが元国鉄職員で、鉄道オタクが主人公。今も京急で通っているし、そういや久里浜ってトコに住んでいた時はアパートの真横を京急線が走っていた。ちなみに「LIFE IN A DAY 地球上のある一日の物語」 で採用された映像の中に、久里浜駅を出発してすぐの窓から見える景色があったような・・・。品川の西大井に住んだこともあるから、あの工場の社長が遊びにいく蒲田、大井町の話も笑える。気がつけば放浪人生だったみたいで、子供の頃は都内在住だけに交通博物館に良く連れて行ってもらった。劇中主人公の瑛太が触れているけれど、秋葉原にあったあのカビ臭いところは忘れられない。祖父が何せ国鉄職員で、蒸気機関車運転していた人だけに、エピソード聞かされて育った。もっとも映画に関しては喰いつくけれど、それ以外はまったく存在しないのと同じだけど。

 

 好きなものは違えど主人公2人の物語は“うんうん、分かる、分かる”とずーっとうなずいてしまった。電車以外のことに関してはほとんど無頓着で、松山ケンイチ演じる小町君はマンションから出て行く羽目になっても動じない。もっともマンションの管理人が伊藤克信で、「の・ようなもの」 の主人公がチラリ出演、観ているこっちはガッツポーズ。瑛太扮する小玉君、中米出身の出稼ぎ労働者に天丼ご馳走している町工場の次期社長は、鉄道を除けば機械と生きてきた真面目青年で、遊び知らず。2人のキャラクター造形に扮した両名は大きく貢献。RVRで村上龍氏は草食系男子ってどうですか?と聞かれて“死人”って言ってたけど、瑛太の半死人寸前の表情はさすが。へたれジョギング姿を披露の松山ケンイチも笑わせてくれた。この2人は確実に日本映画のけん引役でしょう。「一命」があるから瑛太は信頼できるけれど、松山ケンイチという人は気がつかなかった。売れ戦映画の宣伝で媒体の露出頻度の高い人だなぁという認識だったけど、実はデータを漁ったら「アカルイミライ」や「茶の味」 にも出ている。日本映画を役者で観に行く習慣はないけれど、題材が好みでこの2人が出ていたら次回から要チェック。

 

 「そろばんずく」と似ていて現代サラリーマン物語でもあるから、小町君が勤めている不動産会社の部分は楽しい。九州に飛ばされて喜んじゃうのも笑えるけれど、「武士の家計簿」に引き続き登場の女社長=松坂慶子、太鼓持ちが恐ろしく嬉しそうな西岡徳馬が笑いをとってる。でもまさか転勤先の九州と融資が受けられない大田区の工場を結びつける展開になるとは・・・、ぜひご覧になってご確認を。現代を笑って描くには説得力のある物語を用意しなければならないし、嘆いたり批判するよりよっぽど健全です。ピエール瀧扮する“地元が大切”な社長と小町君が、接待の場で再会する場面はワクワクした。会社社長だって嫌々飲み屋にいく人がいるし、好きなものがハッキリしている人は世間話なんかどーだっていいのだ。「ココニイルコト」で島木譲二と堺雅人が球団の話で意気投合する接待の場面があるけれど、好きなものが同じだと話は通じやすい。

 

 「の・ようなもの」 以来ちっとも変わっていないように見える作品を遺して、逝ってしまうとは映画監督森田芳光、さすがとしか言いようがない。列車の描き方も「奇跡」みたいだったり「東京画」みたいだったり、少なくとも出てくる車両の種類は半端じゃない。列車を描くことは映画監督の資質を問われる わけだけれど、文句なしです。更に題材に適しているから起用されているのがRIP SLYMEで、決してありがちなタイアップとしか思えない×-×××の使い方とは真逆。日本映画あんまり観ないから本年度ナンバーワン最有力です。荻上直子 「レンタネコ」 、堤幸彦の「MY HOUSE」 神山健治「009 RE:CYBORG」 が楽しみだけど、現段階で本作が一番、最低でもあともう一回観たい。

 

現在(3/27/2012)公開中
オススメ★★★★★

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  の・ようなもの

 

 この作品と「僕達急行 A列車で行こう」 はやっていることは、あまり変わらないように見える。ところが映像に変化はないけれど、映し出されるものは実に貴重。お札が違うし、ソープランドをトルコと呼んでいるし、ビデオはカメラと録画機がセパレート。売り出し中の落語家が主人公で、監督自身の体験も案外反映されているのか?東京出身者だけに街の描写はどこか「うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー」を思わせてニヤニヤする。トルコ嬢に扮した“卵で子供を生みたい”が名言の女優、秋吉久美子は確実にこの時期美しい。桃井かおりともども“けだるい都会の女”がピッタリ。お話なんて有るような無いような、テイストがすっとぼけた感じがなにより“らしさ”。タイトル通り落語家“の・ようなもの”が主人公だし、それ以前の激しい時代とは異なる雰囲気は現在(21世紀)にまで至っている。この作品で試されたアイディアは後の「家族ゲーム」にも「そろばんずく」 にも使われていて、気をつけてみると楽しめるはず。尾藤イサオが歌うエンディング・テーマも悪くない。
オススメ★★★★☆ 

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