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白雪姫と鏡の女王

  白雪姫と鏡の女王

 

  “女の戦い2本立て”の第2弾は“陰な戦い”になるはずのグリム童話改変モノ。予想通りジュリア・ロバーツシャーリーズ・セロンの2本分を演じているみたいで可笑しくて仕方なかった。1本はもちろん「スノーホワイト」で、もう1本が「ヤング≒アダルト」。若く麗しい王子に迫る年増、強欲の意地悪ババアが実に楽しそう。もちろんもう若くはありませんけれど、「食べて、祈って、恋をして」「幸せの教室」も可愛い彼女。いつまで経っても大通り映画で悪役やらせてもらえないから、そのうっぷんを晴らすがごとく凄いです。若い娘の引き立て役も寸止めで(「チャーリー・ウィルソンズ・ウォー」)、「プリティ・ウーマン」の人気は衰えず(「ロミーとミシェルの場合」)、映画会社だって二の足を踏む。 ところが監督は“どうぞ思う存分やってください”という指示を出したみたい。 

 

 本作のお楽しみはジュリアの新境地開拓を拝むことも目的の1つだけれど、ターセム監督の新作だからに他ならない。「落下の王国 ザ・フォール」から「インモータルズ−神々の戦い−」まで3年待たされたけれど、今回は嬉しい1年のインターバル。毎月新曲を繰り出す日本のミュージシャンは気の毒で仕方ないけれど、あんまり間があいてしまうとハラハラするのが映画界。さらに彼の旧作とはまるで違った内容になっている。「ザ・セル」は二重構造のサイコ・サスペンス、「落下の王国 ザ・フォール」は二重構造はそのままで自然美を堪能する感動作、「インモータルズ−神々の戦い−」は持ち前のヴィジュアルを存分に発揮した史劇的コスプレ+3D(怒っている人もいたけれど)。なんと今回は妖しいヴィジュアルは抑え目に、ファンタジックなコメディに挑戦。ただし、ヴィジュアル重視のダーク・ファンタジーだと、ティム・バートン という第一人者がいる。よって監督の挑戦は彼の作風をかわしつつ、独自路線を貫く。

 

 そこに多大な貢献をしているのが男優の面々で、「J・エドガー」でホモ臭全開だったアーミー・ハマーは芸達者。浮世離れした王子様役だけに、ハミ出しているかのような濃い美貌を最大限に活用。声がどことなく「ハムナプトラ」のブレンダン・フレイザーに似ているし、過剰な役の後に「きっと忘れない」のような青春感動作などに出ると順調にキャリアを築いていく事が出来るかもしれない。また「ケビン・コスナー チョイス!」を前日に見ていたので、ネイサン・レインが選挙ブレーンの後にまたまた腰巾着の役で出ていて微笑ましい。七人の小人も見せ場が多々あるし、最後に登場の王様がなんとショーン・ビーンですよ。

 

 「ロビン・フッド」のショーン・コネリーほどではないものの、大物の貫禄(「パトリオット・ゲーム」のテロリストも年を重ねましたな)。もちろんタイトル・ロールの白雪姫はキチンと21世紀に適応のリリー・コリンズ。まさかフィル・コリンズの娘だとは思わなかったけれど、“easy lover”の父親に負けず、歌唱力をラストに披露、それがインド風なのが楽しい。さらにこの人の出演作「しあわせの隠れ場所」が大好きで、あのお姉さん役だったのねと観賞後に気がつく。「スノーホワイト」史劇的コスプレ・チャンバラでしたけれど、彼女も戦う白雪姫に変身で、クリステン・スチュワート より過激かも?お約束の“目覚めのキス”、“毒入りリンゴ”はかなりチェンジされているので、ぜひご覧になってご確認ください。

 

 明るくて楽しいコメディだし、ディズニー映画をパロっている証拠に音楽担当が「美女と野獣」「魔法にかけられて」のアラン・メンケン。ただしターセム監督のファンとしては今後彼は映画を撮れるのだろうか?という深刻な事情がある。実はヴィジュアル部分の心臓=石岡暎子は今年の1月に亡くなっており、本作は彼女に捧げられている。果たして彼女亡き後にあの独特の世界観を継続できるのか?2014年に公開予定の作品に期待と不安が募ります。もっともそれはターセム監督好きに限ってのことです。あのジュリア・ロバーツが新境地開拓だし、意地悪されてた女の子が自らの運命に立ち向かっていくお話だし、ホロッとくるところもあって贅沢、断然オススメできちゃう。「Virginia ヴァージニア」と同じで字幕担当が戸田奈津子さんってところがさらに品質の保証。

 

現在(9/18/2012)公開中
オススメ★★★★☆

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 アイ・ラブ・トラブル

 

 背が高い美人だけに、同年齢の男優さんと共演すると上手くいかないジュリア・ロバーツ「プリティ・ウーマン」の印象が強いだけに、“年の離れたダンディ”が相応しいのは分かるけれど、相手役がニック・ノルティだと聞いて???となった。ところが意外にピタッとハマっている。あの「48時間」ではエディ・マーフィを小突き回して、ウィスキーを飲みながら運転するようなタフな刑事とはまるで違う。売れっ子のコラムニストにして、お調子者のプレーボーイに変身。新聞社ですから90年代でもIT化が進み、締切が迫ると自分の過去の記事をコピー&ペーストしたりする手口を既にやっている。「ガリバー旅行記」のジャック・ブラックは盗用だけど、現実にありそうですね。

 

 ITの部分だけでなく、彼らが追うネタも現在に通じる問題で(「フード・インク」)、合衆国ではイタチごっこなのかも(「ファースト・フード・ネイション」)。後にジュリアは「エリン・ブロコビッチ」で企業を訴える弁護士のアシスタントをして勇ましいですけれど、企業はもちろん議員も抱き込んでいるから・・・。ただ「リアル・スティール」では紳士ながら、ジェームズ・レブホーンは出てきた瞬間に役割が分かっちゃうんだよな(見過ぎるのも困ったものだ)。現在はTVでさえ傾きかけているし(「恋のニュースのつくり方」「男と女の不都合な真実」)、新聞もご同様(「消されたヘッドライン」)。ところがこの時代まではスクープを狙う新聞社の競争が嘘くさくない。「ザ・ペーパー」もこの時期で、私生活なんてどっかイっちゃう。

 

 でも実は以前見たときは全然気にしなかった部分で、テーマが“日持ち”していることに驚かされる。案外女優ジュリア・ロバーツは作品選択眼がしっかりしているのかも?と今更ながらに感心。もっとも上品なラブコメ路線は今(2012年)見ても楽しくて、仕事ではライバルで、最初は反発しているけれど物語が進むにつれて・・・王道です。また強調されないけれど主演2人がバツイチという設定だから、20代後半向けのデート・ムービーとして良作。それにしてもジュリアは可愛いのだ。
オススメ★★★☆☆

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