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レ・ミゼラブル

  レ・ミゼラブル

 

 本来ミュージカルを観ない無粋な輩なんだけど、昨今の過情報映画に食傷気味で、文豪ヴィクトル・ユゴーの不朽の名作だし、主演の面々が気になり劇場へ。楽しみだったのはもちろん映画で“歌った場面”を観たことがない3人。ヒュー・ジャックマンラッセル・クロウアン・ハサウェイ。それぞれお気に入りの主演作もある人たちが、どんな歌を聴かせてくれるのかが最も気になる部分。なにせ「ムーラン・ルージュ」ニコール・キッドマンユアン・マクレガーの歌声に聴き惚れたし、「ロック・オブ・エイジズ」ではトム・クルーズにあっと驚かされたのがつい最近。恐る恐るながら「NINE」は豪華絢爛な華(女優)ざかりで楽しんだし、「アクロス・ザ・ユニバース」は楽曲がビートルズだけにノリノリ。「魔法にかけられて」「ナイトメアー・ビフォア・クリスマス」 もそう言えばミュージカル。

 

 数を観ているとどうしても行き着くみたいで、無粋なりに輝ける映画の1ジャンルを幾つか経験。本作は嫌というほど予告編で売りを見せてもらったけど、歌はアフレコではないそうな。技術革新が現在進行中で、監督たちも今まで出来なかった手法を試せる環境は整っている。「英国王のスピーチ」で知名度も上がったことだし、いっちょうやってみるかと監督のトム・フーパーが思ったかは判りませんが、なかなかにニクイ演出をしておりました。お芝居しながら歌っちゃう手法は、“どうも恥ずかしくなるんだよな”というワシでも抵抗なく作品世界に入っていける。事前の予習は功を奏し、物語の概要は掴んでいるから、ひたすら演技者の歌を聴くことができる。

 

 ところが聴き込んでいると、ラッセル・クロウの声がエルヴィス・コステロに似ている気がしてヤバかった。あの「ノッティングヒルの恋人」の“she”を歌った、「ワン・デイ 23年のラブストーリー」も担当の人。ラッセルが演じるのは悪役のジャベールですから、ソロで歌うたんびに失笑していては・・・。続いてアン・ハサウェイはというと、シャーリーンに聴こえちゃった。CFソングに極めて適している“愛はかげろうに(I've Never Been to Me)”を思い出し笑い。劇団四季も上演している世界的ミュージカルを笑いながら鑑賞とは不謹慎ですけれど、合わせ技でサシャ・バロン・コーエンとヘレナ・ボナム=カーターまで出てくる。ティム・バートンの異色ミュージカル「スウィーニー・トッド」 の2人ですからね、監督の仕掛けというかシャレというか映画好きにはたまりません。

 

 ジャン・バルジャンのヒュー・ジャックマンも今までとは違った演出法だけに、歌唱力はそこそこの印象。ところがアマンダ・セイフライドが歌いだした途端、一気に正統派のミュージカルに変貌する。すごいですよ、看板の3人でミュージカル・アレルギーを持つ人たちを作品世界に引き込み、温まったところで実に美しい歌声。ま、有名なミュージカルのポスターは他ならぬコゼットだし、「マンマ・ミーア」の主演女優だから当然なのです。加えてマリウス役のエディ・レッドメインとのハーモニーはどうか。「イエロー・ハンカチーフ」では小僧だったけれど、抜群の歌唱力でアマンダともっと歌ってほしかった。エボーニのサマンサ・バークスともども若手の美声で“いま俺ミュージカル見てるんだ”と実感、至福の時がやってくる。

 

 エマ・ストーン支持だけに、アマンダ・セイフライドの作品を熱心には観ないけれど、実力は文句ない。日本での認知度はそれほど高くないかもしれないけれど、彼女を好きな女の子は確実にいて、大女優に化ける可能性は大きい。エロティックなサスペンスも、グリム童話改変モノも、SFアクションも経ていてこの歌唱力ですよ。隠し球というかなんと言うか、監督の戦略はホントにニクイほどです。それだけでなく、ミュージカルも大切にするし、不朽の名作を再現している。予習のために見たリーアム・ニーソン版は非ミュージカルであるにもかかわらず、原作者の伝えたかったことを完全には消化していない(と勝手に解釈)。実は肝心な部分が抜けているのではないか?と本作のラストシーンに涙しながら思ってしまう。

 

 19世紀の文豪ヴィクトル・ユゴーは政治家でもあって、波乱の人生を送ったのだそうな。見てきた時代がまさに激動のフランス。血気盛んな若者が貧富の差に憤り、体制に立ち向かっていく様も、人々の多くはそう簡単に動かない様も見ている。革命がそんなに甘いもんじゃないことも、貧富の差がそう簡単になくならないことも作品にきっちり刻む。そして同時に失ってはならない情熱、人間らしさを高らかに歌い上げる。これはミュージカルならではの見せ場でしょう。ジャン・バルジャンのモデルは世界最初の私立探偵「ヴィドック」だそうですけれど、悪から転じて善を成す。これはナチの非道からユダヤ人を結果的に救い出した実在の人々のエピソードを思い出させる。ソハシンドラーも自らの欲から発しているのに、なぜか人助けをしてしまう。人間を余すところなく描き出すと、何世紀も継承されていくのはシェイクスピアとご同様。もっとも文豪の娘は不朽の名作執筆中に、新大陸でエライ事していたみたい・・・。

 

現在(12/30/2012)公開中 
オススメ★★★★☆

 

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 結果的にだけど、文豪ヴィクトル・ユゴーは「レ・ミゼラブル」執筆中に娘の奇行に悩まされていたことになる。狂気に陥っていく1人の女性を描きながら、歴史的な部分も盛り込めるのはさすがフランソワ・トリュフォーで、期待に応えるようにイザベル・アジャーニも渾身の芝居で鬼気迫る。役者さんは可哀相な人を演じることに、生き甲斐を見出す人種だと再確認。21世紀ならもちろんストーカーと称されて良い行為で、悩まされるのが美貌の青年将校に扮したブルース・ロビンソン。この人はその後「スティル・クレイジー」に出演したり、「ジェニファー8」「ラム・ダイヤリーズ」を監督するんだけど、モテモテだったでしょう。リバイバルで観たのが94年で、前の年に観た「可愛いだけじゃダメかしら」(ごめんなさいDVDレンタルありません)とイザベル・アジャーニの美貌が全く変わっていないのにアングリしたのは鮮明な記憶。本作は彼女のデビュー作で1975年の映画ですからね。
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